Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

いま、会いにゆきます

2006-11-27 | 日本映画(あ行)
★★☆ 2004年/日本 監督/土井裕泰

「敢えて言わせていただきます」



泣ける。感動する。と評判の高い作品を見て、驚くほどつまらなかった時の複雑な気持ち。よくあることではあるが、この作品も例に漏れない。正直、私は2時間を無駄にした、とすら思った。このように「感動作がつまらなかった」と述べることは、感動した人をけなしているようで、どうも気持ちがモヤモヤしてしまう。私自身は決してそんなつもりはなく、結局「感動する」という言葉の持つあやふやさと、当たり前だが感動するポイントは人それぞれ違うのだ、ということが言いたいだけだ。

それにしても昨今、「感動作」と言う曖昧な言葉で、あまりにもマーケットが踊らされてやしないか、と思う。それは、「感動できない人は、心が豊かではない」と言われているような高圧感さえ漂っている。

私は今作に関しては、とどのつまりこの「死んだ妻が帰ってくる」仕掛け(オチ)自体が、とてもガッカリだった。そこで、タイムトリップネタかよ…。そんなことしたら、どんなストーリーも感動作にできちゃうよ、と思ったわけです。そのネタで2時間ひっぱられたわけね、と思うと無性に時間を巻き戻したくなった。不思議な体験があって、それは夢でした、とかタイムトリップでした、なんて都合のいいストーリー展開で観る側を惹きつけるのは、それ以前のストーリーによほどの深みがないと、納得できない。

ところが主演の竹内結子の演技が何だか平坦で、ちっとも胸に響かない。この人は、演技は上手いのかも知れないが、無味無臭のお人形のようだと感じるのは私だけだろうか。「春の雪」でも同じことを感じた。人間くささや体温が感じられない、とでも言うのかな。きれいごとを上っ面で撫でているような感じ。

結局、全編に漂うその上滑りな感じと大人の童話的ロマンチック演出に引きまくりの2時間だった。こんな私だが、もちろん感動する作品はたくさんあるのだ。