Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

おくりびと

2009-03-01 | 日本映画(あ行)
★★★★☆ 2008年/日本 監督/滝田洋二郎
「後半の盛り上げ方が見事です」

ようやく鑑賞できました。仕事帰りに京都のシネコン。超満員でした! ラスト30分。怒濤の泣かせ攻撃に完敗という感じです。 これでもか、これでもか、の連打ですね。実はハンカチを忘れまして。ばかです。 めっちゃ我慢していましたが、余貴美子の 「お願いだから、行ってあげてちょうだい!」 で、涙腺の門が決壊してしまいました。

序盤のいきなり「解散します」宣言や、モックンの恥ずかしシーン(「シコふんじゃった」当時とそのまんまで、モックン変わってないことが妙な驚き)など、コミカルな描写は正直ベタだなあ、と引いてしまったりもしました。しかし、後半の見事な盛り上げ方、そして、意外とあっさりと幕を引く清々しいエンディングがいいです。

そして、今見るからかも知れませんが、最初からアカデミーを狙っていたのか?と思ってしまうほど ツボを得た作品です。 例えば、妻の美香がキッチンで驚く生きたタコ。確か、欧米ではタコは悪魔の化身ではなかったでしょうか。不吉な予感を感じさせます。そして徹底して様式美を見せるカメラワーク。最後の仕上げが、納棺師の所作を見せながらのエンドロール。日本人の私でさえ、儀式としての美しさに感じ入りました。外国人にはさぞや新鮮に映ったに違いありません。「父性」もテーマの一つであることもアカデミーが好みそうです。

もはや事前情報が入りすぎていまして、予告やニュースで見た映像が多かったのは残念。とはいえ、山崎努が植物に囲まれて生きているという辺りの意味づけは面白いし、笹野さんの、そうきたか!の驚きも良かったです。 広末涼子の「でへっ」という笑みは勘弁して欲しい。後半どの顔も同じ泣き笑いで、これが一番残念なところ。

あまりみなさん触れられていないのですが、私は夫婦が住む家が非常に良かったです。1階が喫茶店で2階が住まい。とても愛があふれる家に仕上がってました。また話題の銭湯はもちろん、NKコーポレーションの建物もすごくいいですし、温室部屋もいいです。ロケハン隊と美術さんのていねいな仕事ぶりがとても感じられました。

劇場内が明るくなっても、あまりの嗚咽で立てない人がおられました。 大切な人を見送った経験をお持ちの方は、きっとずっしりくるんでしょうね。