Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

CASSHERN

2009-03-15 | 日本映画(か行)
★★★★ 2004年/日本 監督/紀里谷和明
「陶酔し過ぎて、気づいたら制限時間過ぎてた」

<伊勢谷クン巡り②>
伊勢谷クンが出てなかったら、絶対見ないジャンルの作品。公開当時も、宇多田ヒカルのPVとこきおろされていたしね。でも、蓋を開けてみると、そんなに悪くないんだな、これが。20世紀少年よりは、よっぽど作り込まれてるし、CGのレベルも高いと思う。「オレはこういう世界観を絵にしたかったんだよっ!」って、意気込みはギンギンに伝わる。

ここで言ってる新造細胞って、最近話題のEPS細胞を想起させるでしょ。日本が第二次世界大戦に勝っていて帝国を築いているという設定は、「K-20」もそうだったし。あながちハチャメチャ過ぎてお手上げって感じではないの。20世紀少年より、役者陣のチョイスは断然渋いし。寺尾聰、大滝秀治、西島秀俊、三橋達也。この辺りの人選がすごく私の好みにもドンピシャで。

正直初監督作品なのに、よくこれだけのメンバーがお付き合いしてくれたなあ、ってことが疑問。CGもむちゃくちゃお金かかってるでしょう?どういう兼ね合いでスポンサーがこれほど投資したのか、裏事情が気になったりして。

まあ、そんなことはさておき。「思ったよりも悪くない」という感触が、後半見事に「飽きてきたな」という感覚に変わっていく。この作品の欠点の全てはここだと思う。監督のナルシズムがどんどん増幅され、観客はもうお腹いっぱいになってしまう。この後半の、早く終わらないかと思える焦燥感に宇多田ヒカルの歌がかぶってしまうため、壮大なる宇多田のPVという印象を最終的には観客に与えてしまう。コース料理を食べて最後のデザートが台無しだと、どんなおいしい前菜もメイン料理もかすんでしまうのと同じ。後半の1時間は無駄なカットが多すぎた。特に何度も繰り返しインサートされるフラッシュバックに辟易。

さて、お目当ての伊勢谷クン。すらりとした長身を生かして、何とかスーツに身を包んだお姿はステキ。苦悩してばかりのダークヒーローってのは、彼に合ってると思う。ただ、敵役の唐沢寿明と見比べると、その存在感は少し劣るように見える。金髪頭に赤いマントの唐沢寿明は、まんま蜷川舞台時の様相で、本作ではなかなか光っている。20世紀少年では、あんなにしょぼく見えたのに。そういうところでも、本作はあながち悪い作品じゃないんだと思う。何度も言うけど、後半をタイトに締めてくれれば、もっとカルトな面白味のある作品になったんじゃないだろうか。