Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

イヌタデ

2006-09-14 | 四季の草花と樹木
タデ科って聞いて、私が真っ先に思うことは「雑草やんっ!」ってことなんですけど、8月半ばから忙しくて、家の周りを放ったらかしにしていたら、イヌタデが咲いていました。あちこちに。

でも、よく見るとピンクのツブツブがきれいだと思いませんか。
「こんなのほっといたら、またどんどん増えるのに!」なんて悲鳴も聞こえてきそうですが、まあ、咲いてしまったもんしょうがありません。(開き直り)

で、なんと玄関前の花壇にも繁殖していました。ホントはよくないんだろうけど、オレンジのジニア・プロフュージョンとなかなか良いバランスを取っております。


この後方に咲いているジニアというのがですね、今年は本当に次から次へと咲いてくれて大助かりでした。長雨も日照りもしっかり乗り越えました。ほんと強い花。


これ、晴れた時に撮った写真ですけども、今もこんな感じでどんどん花をつけています。オレンジのがそうですけど、これたった3つの苗だったんです。それがすんごい広がってるんですよ。

ジニアは百日草のことですが、このプロフュージョンというのはより耐暑性があって、たくさん花を付けるよう品種改良されたみたいです。初心者さんにはオススメ~。これは来年も購入決定だね。


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メメント

2006-09-13 | 外国映画(ま行)
★★★★ 2000年/アメリカ 監督/クリストファー・ノーラン
「騙されることを楽しめるか」


結局この映画はそこに尽きるように思う。「これは映画じゃない!」と当時叫んだのは私の夫。その気持ちもよくわかる。最後に示される大どんでん返しがもし事実ならば、それまで必至になって集中して記憶して、主人公と共に追い続けたことは、真相ではなかったんだから。

つつき始めれば、キリがない。サミーの話が実は自分のことだったなら、なぜ10分しか記憶が持たないのに、そのエピソードは記憶として保持し続けているのか。だって、サミーの話ってのは、妻がレイプされた後の記憶を自分で捏造した物でしょ。その時彼はすでに記憶障害だったんじゃないの?

この映画を「とことん楽しみたい」人はDVD見て、それこそメモ取りながら矛盾点を解明していく喜びを得られると思う。だけども、一度目の観賞で「もういいや」と思った人は、結局映画としての快楽を得られなかった112分になってしまう。

メメントは話が巻き戻っていくが、こういった時間軸をいじることで謎を楽しむ映画は他にもいっぱいある。例えば、時間、そして現実と夢が入れ替わる「マルホランド・ドライブ」。これだって、一度見た限りでは、よくわかんない。だけども、映画館で味わった映画的快楽がないか、と言えばそんなことはない。そこには、紛れもなくデビッド・リンチの世界が広がっているからだ。

では、メメントはどうだろうか。
私、個人としては「映画は120分という枠の中で、“初見の”観客が映画的快楽をきちんと感じられること」が基本的に大切だと、思っているので、メメントに関してはちょっと否定的。そもそも、この超小刻みなリバース物語の構造だけは、見る前に知っておかないと、本当に何の予備知識もなく見始めた人は始まってすぐに置いてけぼりをくらってしまうだろうから。

だけども「これは映画じゃない!」と言い切ってしまうほどの度胸もない。だって、知りたがり屋の私はやっぱり、あそこはどうなの?じゃああれは?なんてやっぱり何度も見てしまうから。「そういう人をターゲットに作ってるんだよ」なんて開き直られたらぐうの音も出ないんだけど。

懲りないオニヤンマ

2006-09-12 | 子育て&自然の生き物
よく家の中に入ってくるんですよ。

羽根のバサバサ~って音が結構大きいので、あっ来たなというのがすぐわかる。でね、どこへ行くかというと、扇風機。しかも、回っている羽に向かって突入していく。これ、なんででしょう?虫の生態に詳しい人ならわかるんだろうな。

もちろん、扇風機にはカバーが付いてるんで、中まで突入できないですけども、何かに当たって、ばーんとはじき飛ばされてる。それでも、何回か突入していきますよ、魚雷みたいに。

ちょっと、見ていてかわいそうになってくる。土間でも天井のどっかで脱出できなくて、ずっとバタバタ羽音させてる時があります。あんまり賢くないのかな(笑)。


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ツルボ

2006-09-11 | 四季の草花と樹木
我が家のすぐ裏の土手を見たら、うす紫色のつくしみたいな花がにょきにょき~っといっぱい生えている。ありゃりゃ、いつのまに、と思って近づくと、なんかツブツブの蕾がかわいい花なのです。

茎に葉がついていないのでホント、つくしみたい。下から花が咲くみたいですね。


こんな風に一面にツルボが広がっています。このすぐ裏にお地蔵様が奉られているため、地域の人はこのあたりを草刈り&草引きでとてもきれいにしているんですね。なので、このにょきっと感がよけいに際だつんです。
薄紫の花って、好きだなあ。


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稲刈りの季節

2006-09-10 | 野菜作りと田舎の食
今日は雨。朝からずっと降ってます。雨を見越してこのあたりの田んぼは、先週いろんなところで稲刈りをしていました。写真は8月25日に撮ったもの。今年は、豊作なのかなあ。


田んぼをしないか、という声は今まで掛けていただいたことはあるんです。節目節目に忙しい時期はあるけども、成育中はほったらかしでいいので、意外とラクだよ、なんて言われたりして。でもね、いったん田んぼを預かっちゃうと、稲を育てるだけじゃ、やっぱり済まない。

特に周辺の草刈りが大変。あぜ道をきれいにしないと。稲刈りが終わってからも、草ぼうぼうにはしておけないしね。あと、田んぼをしている人たちで水路やらの管理に関わるあれやこれやの役回りもついてまわるし。そのあたりがね、親子3人の核家族の我々には大きな負担なんですよ。

我が家で食べているのは、販売所で売られている地元のお米。決して安くはありません。今、米って値段が安い物もいっぱいあるけど、ほんとに中身は何なの?と思いませんか?なので、少々お高くても生産者がわかる米にしています。自分たちで作ることは、きっとこれからもないような気がするなあ。


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自家製のお茶

2006-09-09 | 野菜作りと田舎の食
これが今飲んでいる我が家のお茶。うちの縁側で干したものだ。何か枯葉みたいでしょ(笑)。

最初はね、味が慣れなかった。いわゆる緑茶の味とはほど遠いです。やっぱりね、第一印象は「薬草茶みたい!」って感じ。いやね、葉は普通のお茶の葉なんですよ。製法が違う。ってか、「なーんにも手間暇かけてない自家製茶」なわけです。


こちら、お茶の葉を頂いた時。5月の下旬でした。茶畑を持っている農家の方からたくさんもらった、という近所の方から、さらにお裾分けしてもらったのだ。とにかく干しとけばいい、と言う。

ご存じのようにお茶は煎って(または蒸して)、揉んで、乾かすという工程があるんだけども、そのどれもしない。どーだ、このぐ~たらぶりは!と自慢してみたりして。いや、実はねそれらしき製法で作ったこともあるんです。でも、結構たいへんだったんだよね。


で、こちら1週間後。日陰とか日向とか全然お構いなしで、放っておいたらこの通り。揉んでないから、葉っぱがそのまんま乾いてます。で、すごいかさばる。タッパに入れて、今年は冷茶で飲んでみた。これがね、さっき言ったけど、薬草茶みたいな味なんだよね。慣れてくると、どってことない。田舎に来てから、味覚の許容範囲がすごく広くなった気がするなあ。


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意外とおいしい!どくだみ茶

2006-09-08 | 野菜作りと田舎の食
美容にいいと言われている「どくだみ茶」。前から飲んでみたいなあ~とは思っていたのです。なんせ家の周りにぼうぼう生えてますから。でもね、自分で取って、乾かして、というところまでモチベーションが上がらず。

そしたら1ヶ月ほど前に近くの販売所で売っていて、試しに飲んでみたんですよ。まず最初は、我が家の「自家製」のお茶と混ぜて飲んだんですね。そしたら、ウマイ!ちょうど夏場の暑い時期だったので「冷茶」にして飲んでいたんですけど、これが良かったみたい。で、徐々にどくだみ茶100%にしていきました。

あのね、ハーブティーの味ですよ。ええ、ええ、どくだみですからハーブなんですけどね。一番近いのはミントティーかな。おそらく冷たくして飲んでいるのがいいんではないかと。非常にスッキリした味わいで、飲んだ後口の中がさっぱりしています。

正直これだったら、もっと早く飲めば良かった!と思っちゃいますね。まあ、人間って味覚変わるじゃないですか。私も田舎暮らし始めて、年も取ったし、こういうのが大丈夫な味覚になってきたのかも知れないですけどね。

一つだけ難を言えば、やかんにどくだみの匂いが結構つくことかな。煮出してすぐは、もわ~っとどくだみの匂いが強烈にしますけど、別に慣れたらどってことないな。くさい匂いではないですよ。匂いが強いってことなんです。


はい、こちらがどくだみ茶。よく見るとどくだみの花の芯のようなところも入ってます。あんまり揉んだりとかしてないですよね。おそらく、そのまま乾燥させているんだろうな。もちろん、これはこのあたりの農家の方が作っています。そして、冒頭の写真の袋、これでなんと315円!結構入ってますよ~、と値段を自慢するあたりが大阪人の悲しい性だな。


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久しぶりに200円花

2006-09-07 | 四季の草花と樹木
夏場は花瓶の水がすぐにぬるくなってしまいますから、なかなか花を飾れなかったんですけど、久しぶりに購入。トルコキキョウです。もちろん、これ全部で200円。

このあたりでは、トルコキキョウを市場に卸している農家の方もいるようで、この時期たくさんのトルコキキョウが出回ります。一般的には白と紫がスタンダードですけども、私が買いに行った時は、たまたまこれしかありませんでした。でも、白、赤、ピンクと3色あって、なかなかゴージャスです。白と紫のトルコキキョウは可憐な感じですが、こちらは華やかですね。


こちら、白いトルコキキョウですが、八重です。バラみたいに見えませんか。ほんとにトルコキキョウかな(笑)?

ということでちょっとネットで調べてみたところ、最近は結構八重が出回ってました。トルコキキョウのアレンジ、25本で6500円というネットショップを見つけました。おいおい、すごい値段だな。


これは、濃いピンクです。ちょっと渋めですね。


そして、薄めのピンク。白と濃いピンクに比べるとインパクト薄いですけど、アレンジすると、この中間色があるから3色のグラデーションになるんですね。さあ、花を飾るのが楽しい季節になってきた!


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学校が始まった!

2006-09-06 | 子育て&自然の生き物
ながーい夏休みがようやく終わりました。日本全国のお母さんはさぞかしほっとされていることでしょう。私もようやく昼間にゆっくり仕事できる時間が確保できるように(泣)。

それにしてもですね、私のようにSOHOの人間はともかく、共働きのご夫婦はこのくそ長い夏休みをどうやって乗り切っておられるのでしょう?いちばん問題なのは、お昼ご飯ですよね。お弁当でも作っていかれるのでしょうか?共働きで残業もある、なんて方は一日中子供たちがどう過ごしているのか不安だろうし。外国なんかでは、よく子供たちだけでキャンプに行ってバカンスを過ごすなんてのも出てきますが。日本ではありえねーって感じですよね。


夏休みも残り三日になり、あわてて仕上げた工作がこちらの椅子。「いちおう」息子も手伝っておりましたが、またまたお父さん大活躍ってことで(笑)。座り心地もなかなか良いですよ。もちろん、安定感バッチリ。来年はしっかり計画立てて「研究」するのだぞ、息子よ!


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SHINOBI

2006-09-05 | 日本映画(さ行)
★★★ 2005年/日本 監督/下山天

「この映画のターゲットはどこなんだ?」



忍者が好きな子供たちなのか、アクション好きな若い男性なのか、それともラブストーリー好きな女性なのか。大体エンターテイメント映画ってのは、このターゲットに響くようにという「核」があるはずで、そこにしっかり力を入れれば、そのターゲット層の周りにいる人たちも取り込める。これは商業的なモノ作りの基本だ。でも、この作品は誰に見せたいのか、よくわからなかった。

あと、日本のCG技術って、まだこんなものなの?もともとアクション系はあんまり見ないのでわからないけど、ちょっと動きのなめらかさがハリウッド映画に比べるとまだまだって感じで。これは予算の関係なのかな。

さて、甲賀VS伊賀、しかもその長同士が恋人って設定。アクション映画として見せるのでも、ラブストーリーとして見せるのでも、このシンプルな設定はわかりやすくていい。でも、どっちが甲賀でどっちが伊賀なのか、わかんなくなった。グループ毎に同じ衣装とは言わなくとも何かシンボリックなものを統一させて欲しかった。5人のキャラ説明もちゃんとして、キャラクターを立たせれば、バトル物としてもっと面白くなったはず。

そして、主人公ふたりの術が「目力」ってのも、アクション的な迫力出せないし残念。せっかく、最後は愛する者同士の戦いなんだからボロボロになるまで戦うべき。愛しているけど、殺さねばならない。なのに、やけにあっけない幕切れだったなあ。その点、「Mr&Mrs スミス」は徹底的にやってた。あれくらいやらないと。大将同士の戦いで盛り上げないでどうする。

オダジョーは、仮面ライダー出身なんだからもっと開き直ってキャラになって欲しい。彼のいいところ、あんまり出てなかったよ。こういうのは「なりきり君」にならないと。俺はもうこんなのやりたくないムード漂ってませんでしたか(笑)。

なんだか子供だましなゆるさだよな~と思っていたのに、最後の朧の決死のシーンで不覚にも泣いちまった。つまり、仲間由紀恵でなんとかこの映画は持っていた、ということか。さすが、功名が辻(見てないけど)。


キツネノマゴ

2006-09-04 | 四季の草花と樹木
そこいらじゅうで咲いている「キツネノマゴ」。細長い花序にポツポツと小さいピンク紫の花が咲いています。

これ、ほんとに小さいです。でも、よく見ると紫系の花によくみられるまだら風の模様があります。きれいですよ。

これ、この房の周りがいっぺんに花をつけたらもっと豪華なのになあ。すんごい花付きがまばら。

さて、「キツネノマゴ」という名はこの花序を狐の尾っぽに見立てたみたいです。「尾」に見立てるって、結構ありますよねえ。納得。


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サマードレス

2006-09-03 | 外国映画(さ行)
★★★★☆ 1996年/フランス 監督/フランソワ・オゾン

「軽やかなゲイの目覚め」



たった15分の短編映画だけども、非常に印象的な作品。「海を見る」みたいにエグいシーンはなく、えらく軽やかな仕上がりですが、「おいおい、なんじゃこれ」とそのキッチュな映像センスにツッコミどころは満載。

のっけから若い男の子が「BANG BANG」という曲に合わせて踊るんです。えんえんと、しかもカメラ目線で。これが、なんか奇妙で面白いんですよ。で、それが「焼け石に水」では4人で一列に並んで踊るってシーンに引き継がれるんですが、そもそも劇中、歌うってのはですね、主人公の気持ちとかを歌にするわけですよね。ただ、これは全く何の脈絡もない状態で歌に突入するんです。それが、ミョーにむずがゆいんだけど、楽しい。

主人公のミックはバカンスのために友人と共に別荘に来ている。ふたりはゲイのカップル。でも、友人はなぜか機嫌が悪いので、ミックは一人で海にいって真っ裸で泳ぎ、そのまま昼寝してしまう。すると一人の女がミックを誘ってそのままセックス。このくだりがね~、実にあっけらかんとしてるんだよ~。はいはい、やりましょね~って感じで。ミックにとっては、女の子とするのは初体験なワケ。

で、浜辺に戻ると洋服が盗まれていて、結局女の子のワンピースを借りて帰ることになる。最初は恥ずかしいんだけど、自転車をこいでる内になんだ気分が高揚してくる。で、別荘に戻ってゲイの彼と晴れ晴れと(またまた)…。

世の中、性の目覚めを描いた映画って結構あるでしょ。古くは「青い体験」とか。でもね、ゲイとして性に目覚めるっていうテーマで、こんなにウキウキした軽やかな描き方って、あんまりないと思うんだよね。要は「僕はする方よりされる方が好きだったんだ!」ってことなんだけど(んまあ~お下劣)、ここまであっけらかんと描かれると、「そうか、スッキリわかって良かったな!」なんて、ぽんぽんと肩を叩きたくなっちまうよ(笑)。ほんと、お下品でキッチュで愉快な作品です。

海を見る

2006-09-02 | 外国映画(あ行)
★★★★★ 1996年/フランス 監督/フランソワ・オゾン

「ぼんやりしてると毒盛られるよ」



私がオゾンを見た順番は「焼け石に水」→「まぼろし」→「海を見る」。

「焼け石に水」で、感覚的にこの監督のセンスって好きかもと思って、
「まぼろし」を公開時に観て、へえ~こういう深い作風も撮れるんだね~と感心して、
じゃあ、昔の作品も見るぞ~と思い、
「海を見る」で、ぶっ倒れた。

その後昔の作品は一通り見て、新作が出る度に見ているわけだけども衝撃度はこの作品がNO.1。

夫が仕事で出張中で赤ん坊と二人で過ごす若い主婦。そこに、庭にテントを貼らせて欲しいという若いバックパッカーの女がやってくる。夫の不在で人恋しくなった主婦は、やがてその若い女と親しくなっていくが、やがてその女はとんでもない行動に出始める…。

この家があるのは、海辺のやたらと自然が美しい場所。そこに真っ赤なテントでしょ。コントラストのキレイな映像。と、思ってみていたら、あまりのドッキリショットに何度パンチを喰らったことか。リビングのテーブルの角で自慰にふける主婦のシーンにびくっとして、極めつけはテント女がわざと残していく便器の中の汚物。やられました。まず、こんなものを堂々とカメラで撮っていいの?人様に見せてもいいの?この映画は短編なので、よけいに印象が強烈に残るんです。

構造としては、寂しい心に付け込む悪魔の所行ということなんだけども、この主婦がね、あまりにも無防備なんですよ。見ているこっちはハラハラしっぱなしで、「ダメだよ、そんな奴家に入れちゃ~」って叫んでました。

このテント女の存在は、何かのメタファーであるのは間違いない。で、それが何のメタファーなのかは、きっと観る人それぞれによって違うんだろうな。テント女は悪魔の使いなのか、それとも人間なら誰しも持つ心の暗闇といった普遍的なものを指すのか。衝撃のラストと共に「コイツは誰なんだ」という問いが頭の中をぐるぐる回る。

毒のある映画が好き、なんて気取ったこと言ってる奴に、ホントに毒盛りやがったなって感じの作品。ただね、映画って観客がいてこそ成り立つものでしょ。観客を徹底的に喜ばせるための映画作りもある一方、こんな映画撮っちゃうなんて、何とフランソワ・オゾンという男は肝が据わっているんだろう、と違った意味でほんとに感心した。この毒があまりにも強烈だったので、最近は濃度が薄いなあ、と思ったりもしてる。

SAYURI

2006-09-01 | 外国映画(さ行)
★★★★ 2005年/アメリカ 監督/ロブ・マーシャル
「ツィイーはミスキャストじゃないか」


「ラストサムライ」同様、「ここが違う!」とツッコミを入れないことを肝に銘じて見始める。

さて、この作品は貧しく田舎から置屋に売られてきた少女さゆりの波瀾万丈物語である。しかし、チャン・ツィイーという女優はその感情表現の豊かさにおいてとても優れた女優であるはずなのに、今作品ではどうも全体的に表情が「こわばった」ような感じが否めなかった。「何があっても動じない、凛とした一流の芸者」を演じることが邪魔をしているのか。それとも、チャン・ツィイーには、これが精一杯なのか。

会長様への秘めた思いや戦後再び芸者として復帰する決意などがもっともっと表情で伝わってもいいはずなのに。そこがとても残念。見終わった時の物足りなさは、この部分がすごく大きいと私は感じた。

私が一番楽しめたのは「アジアを代表する美しい女優たちの競演」という点においてである。もともと私はコン・リーという女優が好きだ。女の情念をぷんぷん匂わせる妖しげな役がよく似合う。なぜか「コン姐さん」と呼びたくなる(笑)。もちろん、今作でも妖艶。ただ置屋にいる時のコン姐さん、その崩れ方は芸者というより遊女だよ…。

そして豆葉を演じるミシェル・ヨー。私、この方の作品あまり見てないんですけど、一番美しかったんじゃないですか。着物が非常によく似合ってました。売れっ子芸者としての品格が漂っておりました。そして、日本代表、桃井かおり。(えっ、工藤夕貴ですかね…)まあ、何をやってもウマイですよ、この人は。日本人を日本人が演じているわけですから非常に安心して見れましたしね。

ただね、さゆり、初桃、豆葉。この主演級3人に、やはり日本人女優が入って欲しかったな。芸者とはこういうものよ!と本物の優雅な舞いを見せて欲しかった。じゃあ、誰がいるという現実的な話はおいといて。

「さゆりと会長、延さんをめぐる三角関係」か「さゆりを巡る置屋のドロドロ模様」のどちらかにもっと中心をおいても良かったんではないかな。ちょっと大風呂敷を広げてしまったなあ。だから、どれもが中途半端な感じで。「さゆりVS初桃」なのか「さゆりVSおカボ」なのか、このあたりの構図ももっとシンプルにすれば良かったんでは…とちゃちゃを入れ始めるときりがない。

気にしない、と思い始めて見たけれど、どうしても気になったのは2点。
●日本語と英語が混在している
「ねえねえ」とか「みてみて」とか何気ない日本語のセリフの後に英語。これは絶対おかしいだろう。置屋の雑踏のざわめきも日本語。とにかく全編英語にして欲しかった。会長様を「Chairman」と呼ぶのなら「延さん」は「Mr.Nobu」にしてほしい。(おカボはPumpkin!と呼ばれていたのにさ)
●BGMの尺八
何でアメリカ人はこんなに尺八ミュージックが好きなの?ぶぅうぉうぉ~~んという尺八の音色聞くと、茂みからさ~っと忍者が出てきてそうなチープなニンジャ映画を連想しちまうよ~。でも、ジョン・ウィリアムズなんだよなあ。ラストのヨーヨー・マは良かった。全部ヨーヨー・マに任せても良かったんじゃないのかなあ。

衣装や美術は、豪華絢爛。さすがハリウッド、金かかってます!でもなあ、さゆりという一人の女の人生の浮き沈みをもっと心に迫るように表現して欲しかった。そうそう、渡辺謙より役所広司の方が発音上手。そして、いつもながら、暑苦しかった。いいぞ、役所!