落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

悪人て誰

2007年06月09日 | movie
『隠し砦の三悪人』
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先週末から開催中の特集上映「黒澤明の軌跡」での鑑賞。
ぐりは初見です。ていうか黒澤作品をスクリーンで観るのは今回初めて。TVでは何本か観てるけど。
寝坊してギリギリに着いたらなんと立ち見。リバイバルなのにやっぱ黒澤は違うねー、と思いきや、出演者によるトークショーがあったらしい。ぐりは時間の都合で見なかったけど。

しかしこの「隠し砦の三悪人」というタイトルは奇妙だ。隠し砦はほんの一部のシーンの舞台になっているだけで、作中にはとくに「悪人」は出てこないから。
『スターウォーズ』のC-3POとR2-D2のモデルになった太平(千秋実)と又七(藤原釜足)は強欲だが単に愚かなだけの一庶民でしかないし、ふたりを騙したりすかしたりしながら金を運ばせる真壁六郎太(三船敏郎)も主家に忠実なだけで悪意はない。この3人を含めどの登場人物も「悪人」と呼ぶにはどう考えてもムリがあるのだ。
まあ娯楽アクション活劇らしい雰囲気のあるタイトルではあるけど。

三船敏郎かっこいいですねえ。これぞ!銀幕のスタア!って感じで。つながった眉毛もいい、声もいい。ノースタントで演じてる殺陣も迫力あるです。
ところが二転三転するストーリー展開を、あえてこのスーパーヒーローの活躍によってではなく、コメディリリーフである農民コンビが転がしていくところがたぶんこの作品の魅力なんだと思う。ふたりがやらかした失敗や目論見違いが凶と出れば三船敏郎がうまく立ち回って切り抜ける。アクシデントが吉に転ずることもある。偶然と偶然が重なりあうようにして物語が進んでいく。娯楽アクションの定番ともいえる構成だけど、この映画では観客を笑わせるキャラクターと興奮させるキャラクターを別々に用意しているところが巧みだ。おかしなやつは思いっきりおかしく、かっこいいやつは思いっきりかっこいい。

白黒のコントラストのくっきりした映像がまた印象的。
雪姫を演じた上原美佐はぐりはこの作品で初めて見たけど、すんごいプロポーションだよねえ。 スラッとしてて目がぱっちりしてて、日本人離れしたインパクトのある美貌。すぐ引退しちゃったそーで、もったいないす。