落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

ノートに綴る愛

2007年06月23日 | movie
『あるスキャンダルの覚書き』
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えーーーーーーー。
イタかったです。ひじょーに。シャレならんです。
映画としてはすごくよくできてると思うよ。ぐりはキライじゃないです。
しかし。イタかったー。
この監督よっぽど女嫌いとみた(爆)。それか相当な男尊女卑主義者か。どっかの都知事みたいな。
もうねえ、最悪よ。女の最も醜悪な部分が、これでもかこれでもかとグロテスクなほどのしつこさで描きつくされてる。
すんげー。こんな企画、日本じゃ絶対通んないね。しかも主演がジュディ・デンチとケイト・ブランシェットってふたりともオスカー女優じゃん。大スター。ありえねえ。つかむしろ大スターじゃなきゃ成立せんのか?逆に?

けっこういろんなところでメアリー・ケイ・ルトーノー事件がモデルになってると書いてあるけど、99?投ヨ係ないです。
この映画の主題は「スキャンダル」じゃなくて「覚書き」の方だから。たとえばスキャンダルが教師と生徒の情事じゃなくてもストーリーそのものは成り立つんじゃないかと思う。盗癖とか、ドラッグとか、別の犯罪でもいい。
じゃあなんで教師×生徒じゃなきゃいけなかったのか?思うにたぶん、その罪が非常に複雑で、単純に「教師=加害者、生徒=被害者」という図式になりにくく、ちょっと状況を変えれば誰にでもあてはまってしまう性質を持ってるからだと思う。
映画では生徒(スティーブン:アンドリュー・シンプソン)の年齢が15歳だというのでみんな大騒ぎするけど、教師(シーバ:ブランシェット) と夫(ビル・ナイ)も親子ほども年の離れた元師弟同士で略奪愛結婚の夫婦だ。シーバと主人公バーバラ(デンチ)も大体それくらい年?ェ離れている。シーバの長女ポリー(ジュノ・テンプル)と画面には出てこないボーイフレンドもどうも“年の差カップル”であるらしい。明?轤ゥに狙った設定だよね。コレ。
なのに犯罪視されるのはシーバとスティーブンだけ。学校の混乱ぶりやマスコミの狂乱がどこか滑稽に描かれてるのも意図的なものだろうと思う。

結局バーバラはシーバを愛してなどいなかったのだろう。彼女が愛していたのは彼女自身だけ、バーバラはシーバを孤独を慰めるペットかオモチャのようにしかとらえていないし、あるいはもともとそういう愛情しかしらないのかもしれない。さみしい人だ。オールドミス以前の、基本的な人格の問題だろう。
徹底的にモテる女=シーバと徹底的にモテない女=バーバラの対比があまりに極端で、一見すると超非現実的な話にもみえるけど、ぐりも独身なんでかなり身につまされる部分もあり。
とりあえず、ストーカーにだけはなんないよーに気をつけよーっと・・・。
ところでケイト・ブランシェットってホントに綺麗だよねえ。ちょっとファンだったりします・・・。

関連書レビュー:
『禁じられた愛 それは愛なのか、それともレイプだったのか?』 メアリー・ルトゥルノー&ヴィリ・ファラウ著

魔の山

2007年06月23日 | movie
『ハリウッドランド』
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1959年、人気TVシリーズ『スーパーマン』の主演俳優が自宅で頭部に銃弾を受けて死んだ。警察は状況から自殺と判断、早々に捜査を打ちきったが事件の背景には・・・という、実話を基にした業界内幕モノ。
昨日書いたブラック・ダリア事件と同じくハリウッドで起きた血腥いスキャンダル。ブラック・ダリアは無名の女優志望の若い女で、公式には未解決だけど非公式には犯人が特定されている。一方でスーパーマンは世界中の誰もが大好きなヒーローで、公式には自殺として解決しているけど実際はそうではない。対照的です。ブラック・ダリア自身には殺される理由がなくて、スーパーマンには殺される理由も自殺する理由も揃ってた、ってとこも。
おもしろかったです。あんまし話題になってないし劇場も空いてたけど、うん、いい映画だと思う。ぐりは好きです。

物語の主人公はスーパーマン=ジョージ・リーブス(ベン・アフレック)の老母(ロイス・スミス)から依頼を受けて事件を調査する私立探偵のルイス(エイドリアン・ブロディ)。
妻子と離れて暮らし無頼を装い、最初は功名心と金のためだけに強引に調査を進める彼のパートと、一介の売れない俳優がMGMの重役の妻トニー(ダイアン・レイン)の愛人になり、スーパーマン役に抜擢されてスターになる生前のリーブスのパートが、同時進行で交互に画面に登場する。
一見するとまったく似ていないふたりだが、不思議なことに物語が進行するにつれて奇妙に重なりあって見えてくる。はっきりとどこに共通点があるというわけではない。孤独だったとか、不運だったとか、コンプレックスに苦しんでたとか、そういう一般論の問題ではなくて、時間や立場を超えて、ルイスとリーブスが人間同士として共鳴しあうように見えてくる。

事実をもとにした物語なので結末はやはりはっきりしない。
だがおそらくこの物語で重要なのはスーパーマンの死の謎などではない。
スーパーマンを演じるスーパーヒーローであっても人は人だし、どんなに多くの人に愛されていても、結局は自分で自分を愛せなければ人間は生きてはいけない。真の孤独とはそういうものではないのだろうか。
ストーリーそのものは他愛のないものだけど、成功すればするほど孤立していくスターを見事に体現したベン・アフレックの熱演には脱帽しました。スゴかったです。こんなにいい俳優だとは知らなんだよ(爆)。ダイアン・レインも素晴しかった。綺麗だし、貫禄も品位もあってものすごく役にハマってました。
エイドリアン・ブロディはこの役の設定にはやや若すぎる気もしなくもないけど、そういえばこないだ観た『ゾディアック』のジェイク・ギレンホールも子持ちバツイチ役だったよな・・・。
史実=生前のリーブスのパートがあくまで淡々としているのに対して、フィクション=ルイスのパートがきりきりにツイストしたミステリー風なのが、メリハリが利いててよかったと思います。

ところで実在のリーブスは1914年生まれ、52〜58年のスーパーマン放送時にはなんと38〜44歳。どっひゃー。
作中にリーブス=ベンアフが某アカデミー賞作品(ホンモノ)に出てるシーンがあるんだけど、合成が不自然でおかしかったですー。