落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

甘い男

2007年06月24日 | movie
『ひまわり』
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母が大好きだった映画なので、子どものころ何度かTVやビデオで観た記憶がある。うちにも録画したビデオがあったんじゃないかなあ。どっかに。けどたぶん20年ぶりくらい。意外とほとんど覚えてました。『魂萌え!』を観て以来再見したかったので、観れて満足しましたです。
今観るとけっこう短い映画なのに長大な大河ドラマのように記憶してたのは、物語の中で流れる時間の重さのせいだろう。イタリア軍のロシア出兵は1942年、ジョバンナ(ソフィア・ローレン)がロシアまでアント(マストロヤンニ)を探しにいくのはスターリンの死後なので1953年以降、夫婦の別離には少なく見つもっても11年以上の歳月が流れている計算になる。それに対してふたりの新婚生活はたった12日間しかない。12日間対11年間。
32歳だといっていたアントは43歳。ジョバンナの年齢はでてこないけど、女盛りの若く美しい時代を、生きているか死んでいるかもわからない夫をただただ待って過ごした11年間。重い。

印象的なのは「きみにはわからない」「うまく説明できない」という、戦争を表現しようとする男たちの台詞。
世に反戦映画や戦争映画は多々あるけど、この『ひまわり』も一種の反戦映画といっていいと思う。戦闘シーンもないし、死ぬ登場人物もいないけど、みんなが戦争の犠牲者だ。家族も含め彼らがどれだけひどいめに遭ったか、どんなにつらい思いをしたか、それをこの作品ではあえて映像にせず、言葉でも説明していない。そんなことできない、でもひどいんだよ、説明なんかできないくらいひどいんだ、きっとわからないと思うけど、そうとしかいいようがないんだよ。
ある意味ではすごく謙虚だし、もしかしたらこれ以上能弁な表現はないかもしれない。
『ひまわり』の夫婦のような物語は、戦争をした国なら世界中どこにでもいくらでもある話だろう。日本でも蜂谷弥三郎夫妻とか近衞文隆夫妻の例は有名だし、彼らは再会できたにせよできなかったにせよ、消息がわかっただけでもまだよかった方かもしれない。いっさいの消息もなく永久に引き裂かれたまま終わった夫婦や恋人も大勢いたに違いない。同じイタリア映画でも、『ニュー・シネマ・パラダイス』のトト少年の父親はロシア戦線で行方不明になったまま、という設定になっていた。
そこまでして戦争をする意味ってなんですか。ぐりにはわからない。わかりたくもないです。

甘い男

2007年06月24日 | movie
『甘い生活』
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大学時代に授業だか課題で観て以来だから十ン年ぶりの再見。
んー。フェリーニは巨匠だけど、実はぐりはそ〜んなに好きくない。ほとんど内容覚えてなかったです(おい)。
作品紹介ではセレブな人々の頽廃的な生活ぶりを描いてどーのこーの、とゆー書き方をしてるものが多いけど、今みるとセレブのバカバカしさよりもゴシップマスコミの愚かさの方が印象的にみえる。カネに飽かせて無意味に時間を浪費するだけの人間に必死に群がるパパラッチ、“聖母の出現”を目撃した子どもを追いまわし再現ビデオならぬ再現フィルムまで撮るマスコミ(どっから見ても信心なんかどーでもよさげ)、不幸にあったばかりの人にさえ容赦なくストロボを浴びせまくるカメラマンたち。滑稽というより俗悪、グロテスクでさえある。
有名であることやお金をもっていること、あるいはお金になることに、それそのものに意味がなくても後づけでどうとでもなってしまう。騒げば騒ぐほどお金になり、お金になればなるほどどんどん空っぽになっていく、無意味のスパイラル。
アニタ・エクバーグの爆乳にゃ観念しました(爆)。すんごいプロポーションだよねえ。アヌーク・エーメもきれいだったあ。しかし『モンパルナスの灯』のジャンヌ役と同一人物にはまったく見えず。ずびばぜん。
それにしても出会う女をいちいち本気で口説けるマルチェロ(マストロヤンニ)のキャラは無節操っちゃ無節操だけどどーしても憎めない。カワイイ(笑)。キミならいいよ、好きにしたまえよ、とゆー気分になぜかなってしまう。なんでかなあ。