落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

砂漠の王様

2006年02月27日 | movie
『ジャーヘッド』
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2週間前に公開されたばっかりなのに一度もランキングに入って来ず、しかももう既に大半の上映館で興行が終了している。まだやってるのはごく一部だけか、やっててもレイトショーのみ。
なぜに?レビューとかみるとそれほど評判は悪くないのに。もしかして春休みくらいにDVDとか出す気だったりして。ありえるなー。
けど昨日ぐりが観た映画館は半分以上は席埋まってましたよ。あんま宣伝しないわりにはまあまあの入りなのではないかなー、と思うのですが。
内容もおもしろかったし。ぐりはこの映画スキです。他人にもふつうにオススメできます。

ただ、観てみて「なるほどこれは宣伝しにくいな」とは思いました。
この映画は湾岸戦争に派兵された海兵隊員の手記が原作なんだけど、ストーリーが全然ドラマチックじゃない。むしろあえてドラマ性を真っ向から否定している。原作者はとにかく、戦場にドラマなんかない、戦争にヒーローなんかいない、殺しあいなんか結局みんな無意味だ、という現実を声の限りにわめきたかったのだろう。
それはスゴイわかる。ほんとによくわかる。
けど商業映画としては宣伝しにくいよね(笑)。だって世間一般の戦争なんか行ったことない人間は、戦争映画といえば反射的に涙や感動や暴力のスペクタクルを期待しちゃうもんなんだからさ。だから『男たちの大和/YAMATO』が大ヒットしちゃったりするんだろう。ぐりは『大和』観て泣いた人にこそ『ジャーヘッド』オススメしたいです。あたしゃ『大和』みてませんけど(爆)。

とかなんとかいうと重い映画みたいに聞こえるかもしれませんが、ぜーんぜんそんなことありません。むしろ逆。
とくに前半は爆笑の連続です。若い男の子ばっかりで集団生活なんだから、寄るとさわるとバカばっかやる。下ネタ・セクハラ、オールOK。全員やることなすこと下品すぎ。台詞でもfuckとかmasturbationとか連発しまくり。おかしいです。笑える。
もーだからホンットに、画面にはドラマとかヒーローとか感動とかそういうのはキレイさっぱりなくって、出てくるのは国に帰って女とヤルことしか考えてないアホな男どもと、あとはひたすら汗とか砂とかうんことかセックス(正確にはマスターベーション)。サイコー。いやサイテーなのか。
でも物語が後半になってくると、そういう笑いが消えて本当の“戦争の現実”が主人公の目の前に現れる。もちろん、戦争はサマーキャンプなんかじゃない。あたりまえのことだ。

ぐりはコレもっとたくさんの人が観ていい映画だと思います。原作も今度読んでみます。
主演はジェイク・ギレンホール(またかよ)。さすがにこの前観た『遠い空の向?アうに』よりは多少大人っぽくはなってるけど、やっぱり海兵隊にゃー見えない。顔が幼すぎるのだ。背が高くて役づくりで筋肉ムキムキ?ノなってるので(オシリまでぶりんぶりんになっている)、首から上と下がすんごいチグハグなんだけど・・・このギャップがいいのか。
『遠い空〜』といえばおとうさん役だったクリス・クーパーが上官役で出てきてビックリしました。ジェイミー・フォックスは相変わらずクールっすねえ〜かっこよかったあ。予告編みたときはサミュエル・L・ジャクソンかと思ったけど(爆)。だって喋りがソックリなんだもん・・・。
それと、2年くらい前にある仕事で湾岸戦争の記録映像を資料にしてた時期がしばらく? って、ところどころ「あ、このカットはあの資料使ってるな」とかわかっちゃう部分があって懐かしかったです。

原作レビュー:『ジャーヘッド アメリカ海兵隊員の告白』アンソニー・スオフォード著

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