梅雨の空 蛇の目蛇の道 傘の道
団塊が30代半ばの頃だったろうか?
雨の中、文具店に立ち寄って、帰ろうとした際、傘立てを見ると、 新調したばかりの傘がない。
代わりに少し似た、色あせた傘が残されていた。
道路に目をやると、お孫さんと一緒に、我が傘をさして去っていく女性を発見。
追いついて「すみません、傘を間違えられていませんか?」と尋ねると「えっ?どうしてこの傘が、あなたの傘と言えるのですか?」と、安部公房の小説もどきの受け答え。
おもむろに、その女性が手にする傘と同じ柄の袋をポケットから出すと、態度が一変して「ごめんなさい、申し訳ありません」と平身低頭の体だった。
もしも、傘袋がなかったら、防犯カメラもない時代、不毛のやり取りの末、お人好しが馬鹿をみたのだろうか?
あれから30年以上。
もちろんその傘は、今では存在しないし、その後、どこかに置き忘れたか、古くなったのでお釈迦にしたのかさえ記憶にない。
そして、某文具店さえヒャッキンに圧されて閉店。
もしも、お孫さん連れの女性が、傘を間違えてなかったら、
全ては忘却の雨の中。
存在は記憶の中にあり、記憶はアクシデントによって刻まれる。
(存在と記憶)
団塊が30代半ばの頃だったろうか?
雨の中、文具店に立ち寄って、帰ろうとした際、傘立てを見ると、 新調したばかりの傘がない。
代わりに少し似た、色あせた傘が残されていた。
道路に目をやると、お孫さんと一緒に、我が傘をさして去っていく女性を発見。
追いついて「すみません、傘を間違えられていませんか?」と尋ねると「えっ?どうしてこの傘が、あなたの傘と言えるのですか?」と、安部公房の小説もどきの受け答え。
おもむろに、その女性が手にする傘と同じ柄の袋をポケットから出すと、態度が一変して「ごめんなさい、申し訳ありません」と平身低頭の体だった。
もしも、傘袋がなかったら、防犯カメラもない時代、不毛のやり取りの末、お人好しが馬鹿をみたのだろうか?
あれから30年以上。
もちろんその傘は、今では存在しないし、その後、どこかに置き忘れたか、古くなったのでお釈迦にしたのかさえ記憶にない。
そして、某文具店さえヒャッキンに圧されて閉店。
もしも、お孫さん連れの女性が、傘を間違えてなかったら、
全ては忘却の雨の中。
存在は記憶の中にあり、記憶はアクシデントによって刻まれる。
(存在と記憶)
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