OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

神聖に萌える

2006-05-04 19:14:33 | Weblog

日頃から煩悩の塊のような私ですが、たまには神聖な気分に浸りたい時もあります。そんな時に聴くのが――

Oneness Silver Dreams Golden Reality / Carlos Santana (Columbia / Sony)

ラテンロックの大御所バンド、サンタナのリーダー&ギタリストであるカルロス・サンタナが1979年に発表した初のソロ・アルバムです。

とは言っても、演奏はサンタナのバンド・メンバーを中心にしていますし、A面は1976年にサンタナとして来日した時の大阪公演のライブを土台に使っているので、そんなに従来のイメージとは異なっていません。

ただ、これまでも度々指摘されているように、この時期のサンタナは宗教色が極めて強く、それがカルロス・サンタナのソロ作ということで、尚一層、強調されているようです。そのあたりは仏像が描かれたジャケットにも顕著ですが、しかしファンとしては、あの官能的な泣きのギターが流れてくれば、それでOKとするのが本音ではないでしょうか。

一応、主要演奏メンバーを記すと、カルロス・サンタナ(g)、トム・コスタ(key)、ナラダ・マイケル・ウォルデン(key,per)、グレアム・レア(ds)、アルマンド・ペラーサ(per)、ラウル・リコウ(per)、ピート・エスコベード(per)、サンダー・キング(vo)、グレッグ・ウォーカー(vo)、デボラ・サンタナ(vo) 等々です――

A-1 Chosen Hour / 精選の時
A-2 Arise Awake / 目覚めと鼓動
A-3 Light Versus Darkness / 光と闇
A-4 Jim Jeannie

 上記4曲はメドレー形式で一気に演奏されますが、初っ端の「精選の時」は何と黙祷と精神統一のような……。チーンという鐘の音から30秒ほど、お経のような唸り声が……。そして2曲目は緩やかなビートのウネリの中をキーボードとギターが荘厳なメロディを奏で、そのまんま3曲目に突入しますが、これも序曲風の繋ぎであり、ようやく激しさを伴った演奏になるのが4曲目からです。
 そしてこれが強烈! もったいぶった出だしから躍動的なリズムに乗って、サンタなのギターが鳴きまくりです。そして中間部は高速4ビート! これが最高の気持ち良さなのです♪

A-5 Transformation Day
A-6 Victory

 前曲からの拍手に導かれ、ここからまたメドレーで2曲が演奏されます。ちょっと「君が代」のようなキーボードのイントロから、楽しいラテンリズムに導かれて、この上も無く楽しいサンタナのギターが泣きます♪ バックのリズム隊も申し分なく、こんなに楽しくて良いんでしょうか! というほどの陽気なノリ♪ これは高中正義ではありませんよっ♪ それにしても最高です。
 ところが演奏時間が短すぎ! そのまんま、またしても大袈裟な6曲目に繋がっていくのですが、ここはラテン・パーカッションとドラムスの盛り上げが流石です。

A-7 Silver Dreams Golden Smiles
 一転して静謐なボーカル曲です。歌っているのはサンダー・キングですが、優しさ満点の歌いまわしに絡むサンタナの控えめなギター、大袈裟なストリングス調のキーボードが絶妙です。自然にフェードアウトして終わるあたりも嫌味がありません。

A-8 Cry of the Wilderness / 荒野の叫び
 で、躍動的なラテン・リズムで突如スタートするのが、この如何にもサンタナという一抹の哀愁を含んだインスト曲です。もちろん主役はサンタナのギターで、琴線に触れるアドリブメロディが連発されます。

A-9 Guru's Song / グールーの歌
 そして前曲が自然にフェードアウトして始まるのが生ピアノのイントロが爽やかにせつない、この名曲です。なにしろスローな展開でピアノとデュオを演じるのがサンタナのギターですから、これはもう、泣きはお約束♪ あぁ、せつないなぁ~、と思っているうちに、不思議な力強さが内側から漲ってくるという、魔法のような演奏です。

B-1 Oneness
 アルバムタイトル曲は波の音に導かれてスタートするアコースティックなムード曲です。この緩やかなノリと奥行きの深さは、当にこの当時のサンタナならではの世界です。もちろんギターは控えめに泣いていますが、時折聞かせる本性のような激情は、本当に最高です♪ そして最後には大泣き、涙がボロボロと流れるのでした……。

B-2 Life Is Just a Passing Parade / 果てしなきパレード
 そして続くのがファンキーなラテンロックです。歌っているのはグレッグ・ウォーカーで、思いっきりソウルフル! サンタナのギターも無機質なところから何時もの泣きに転じる瞬間があって、本当に辛抱たまらん状態になっちまいます♪

B-3 Golden Dawn
 珍しや! 生ギターのサンタナです。そしてこれが、何ともたまらん味の世界なんです。曲名に偽り無しの哀愁たっぷり♪

B-4 Free as the Morning Sun / 朝日のごとき自由を
 これも前曲からのイメージを引きずるようにスタートしますが、アッという間に陽気なラテンロックに変質していく名演です。ここでは生ピアノの活躍が楽しく、はて、サンタナは?

B-5 I Am Free
 サンタナの妻、デボラが詩を朗読し、そのバックでは荘厳なストリングスが響きます。ここでもサンタナ本人は何処に……???

B-6 Song for Devadip
 すると前曲のフェードアウトから逆にフェードインして、サンタナのギターが大暴れするフィナーレがっ♪ とにかく最初っからご機嫌の嵐です! 躍動的なリズム、唸るキーボード、哀愁の曲調で泣いて泣いて、泣きまくるサンタナのギター! これがファンの求めるサンタナ、そのものでしょう。当時流行していたフュージョンの色合も強いのですが、もう完全に満足させられてしまいますねぇ~♪

ということで、細かい曲の積み重ねで作られている作品ですが、A・B面各々に曲の流れが絶妙に素晴らしく、トータル性が感じられます。もちろん作り物すぎる感覚はライブを加工したA面に顕著なんですが、私には嫌味が感じられないのです。

カルロス・サンタナは、この後もバンド活動と平行してソロ・アルバムを幾枚も出していきますが、おそらくこれが一番素直に素晴らしいと言えるのではないでしょうか。

幸いなことに現在、リマスターも素晴らしい紙ジャケット仕様でCD復刻されていますので、ぜひとも聴いてみて下さい。かなり萌えますよ♪ 

コメント
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