■朝の天使 / Marrie Rush (Bell / CBSソニー)
リスナーに愛され、また歌い継がれていく名曲には、ある日突然に聴きたくなる! そんな要素が確かにあります。
例えば本日ご紹介の「朝の天使 / Angel In The Mornig」という、ちょいと地味な名曲は、まさにそれじゃないでしょうか。
しかも、この歌が世に出るにあたっては所謂運命のいたずら的な光と影があって、曲を書いたのはチップ・テイラーという、アメリカンポップスの世界ではなかなかの才人なんですが、それゆえに最初のレコード化を巡っては幾人かの歌手からオファーがあったと言われています。
そしてイーヴィ・サンズという女性歌手によって、とにかく1967年頃にシングル盤が発売される事になったんですが、何かレコード会社とのトラブルがあったらしく、極少数が市場に出回っただけで回収されたとか!?
実はサイケおやじは、そのバージョンを大昔のラジオで一度だけ聴いた事があるんですが、なかなかソウルフィーリングが強いイーヴィ・サンズのボーカルは味わい深く、きちんと流通していれば、まちがいなく大ヒットになったと思われます。
しかし前述したように現実は厳しく、それゆえに楽曲の出来の良さを惜しんだ業界の主導により、メリリー・ラッシュという、やはりイーヴィ・サンズと同じ味わいを秘めたボーカルスタイルの女性歌手にチャンスが与えられ、結果は翌年からのロングセラーヒットになるんですから、これがまさに運否天賦ってやつでしょうか……。
ただし、そのメリリー・ラッシュは決して凡庸な歌手ではなく、この「朝の天使 / Angel In The Mornig」でも披露されているとおり、幾分ハスキーな声質を活かしながら、ジワジワと情感が高まっていく歌いっぷりは流石だと思います。
またジャケ写からも納得のキュートなルックスも良い感じ♪♪~♪゜
ちなみに彼女はポール・リヴィアーとレイダースの前座をやっていたそうですし、その時のバックバンド(?)だったタナー・バウツと吹き込んだのが、このシングルバージョンらしいですよ。
と、些か曖昧な事を書いてしまったのは、サイケおやじはメリリー・ラッシュが歌ったオリジナルのヒットバージョンで「朝の天使 / Angel In The Mornig」が好きになったのではなく、その地味な雰囲気からリアルタイムでは全く心に残っていないのが本当のところ……。
それが1981年になってジュース・ニュートンによる邦題「夜明けの天使」となったカパーリバイバルヒットが、なかなか気に入ってしまったんですねぇ~♪
つまり十代のガキにはわからない良さが、この歌にはあるんだと思います。
なにしろ歌詞の中身が、捨てられる女の強がりと我儘(?)ですからっ!?
ということで、生来凝性のサイケおやじは、すっかり好きになった「朝の天使 / Angel In The Mornig」について様々に調べ、中古ながら速攻でゲットしたのが、本日掲載のメリリー・ラッシュによるシングル盤でした。
もちろん同曲を歌っている歌手のレコードやCDも狙いをつけ、ゲットし続けていますが、ニーナ・シモンまでもが演じているんですから、やっぱり今やスタンダード化しているんでしょう。
冒頭に述べたとおり、ある日突然に聴きたくなる衝動が秘められていることも、必然性がある思います。
こういうジワっと効いてくる歌は、やっぱり良いですねぇ~♪