■さよならサハリン / ザ・ジェノバ (クラウン)
やっぱり寒中、寒さが身にしみてきましたですねぇ。来週からはちょいと極寒地へ行かねばならない予定もありますんで……。
そしてそんなわけも含めて、本日は冬の歌を出してきました。
今もカルトな人気で、もしかしたらリアルタイムよりも注目度が高いんじゃないか? と思われるジェノバというGSグループの局地的ヒットが「さよならサハリン」です。
しかし、ジェノバというグループは不思議な事に歌謡曲を狙いながら、やってしまってから実にロックになっていたというか、そのデビューの経緯の曖昧さも含めて、それが裏街道の名バンドになった要因かと思います。
例えばこの「さよならサハリン」は所謂シベリアサウンドであり、基本的な部分は昔から日本人にはウケていたロシア民謡を入れた歌謡曲だと思いますが、なかなか強いビートのドラムスや琴線ど真ん中のファズギター、ハイテンションの節回しを披露するボーカルがキメるシャウト!
そういうところは他のGSに勝るとも劣らない感性の勝利じゃないでしょうか。
メンバーは山本吉明(vo)、岩本まさる(g,vo)、金原まもる(org,vo)、佐々木章二(b,vo)、西田憲夫(ds.vo) という5人組ながら、いろんな事情でメンバーチェンジも頻繁だったようです。
また特筆しておきたいのがメンバー全員の歌の上手さ!
これは当時のサイケおやじがライプステージに接して感じたことなんですが、ダークダックスみたいなコーラスでロシア民謡調の歌をやっていた記憶があるんですねぇ~~。
ちなみにそれが昭和43(1968)年梅雨明け頃の体験で、本日ご紹介のシングル曲「さよならサハリン」もちょうどその当時の新曲でしたが、夏に哀愁のシベリアサウンドをやってしまうという潔さは最高ですし、実はジェノバはこれ以前にデビュー曲「サハリンの灯は消えず」、続く2作目の「いとしいドーチカ」、そして「さよならサハリン」という三部作は、共通の哀愁歌謡路線でした。
もちろん、そのあたりがキワモノ扱いされるんでしょうねぇ……。
現実的に大きなヒットも出せずに解散し、それが後年になって再評価されるという皮肉なブレイクは、しかし夏の歌が涼を呼ぶのと同じく、冬の歌はハートウォームな感受性を強くするところで、なかなか狙い通りのエバーグリーン♪♪~♪
だから昭和歌謡曲は最高なんですよっ!
いや、これは歌謡ロックと言うべきかもしれませんが、立派なニッポンのロックです♪♪~♪