■Magic / Pilot (EMI / 東芝)
これまでにどういう経緯があったにせよ、やはりサイケおやじはビートルズが好きですから、必然的にその影響下にあるバンドや歌手、あるいは楽曲の諸々には大いに気が惹かれます。
例えば本日ご紹介のパイロットは1970年代ポップスがお好みの皆様にとって、まさに説明不要というビートルズ後追いバンドのひとつであり、同様の路線で1960年代末から活躍し、大変な人気を集めたアイビーズ~バッドフィンガーが小型ビートルズならば、パイロットはイギリス版チューリップというのが、サイケおやじの独断と偏見による分類です。
と言うのも、我国のチューリップが「魔法の黄色い靴」で公式デビューしたのが1972年なのに対し、パイロットのそれは1974年という時差は決定的でありますが、しかしビートルズというドグマの呪縛を良い方向へと解釈進化させた音楽性は極めて同質の魅力に満ちているんですねぇ~♪
しかもチューリップが広く大衆に受け入れられた大ヒット曲「心の旅」で完全ブレイクしたのが、1973年夏! ということは、パイロットが既に好んで使う似たようなエレキギターの響きや曲メロの展開手法、そしてコーラスの用い方等々が如何にも!????
う~ん、このあたりには何かミッシングリンクのようなものが存在しているんでしょうねぇ……。
という疑問を瞬時に抱かざるをえないほど、パイロックのというバンドは気になる存在で、このデビュー曲「Magic」発売時のメンバーはデヴィッド・パットン(vo,g,b)、ビル・ライオール(vo,key)、スチュアート・トッシュ(ds) という3人組でしたが、実際には数人のギタリストが交代で参加していた言われています。
とすると、この「Magic」で好ましいテンションのギターを弾いているのは誰でせう?
実はパイロットのビートルズ趣味を探求する時、絶対に無視出来ないのがプロデュースを担当したアラン・パーソンズの存在で、今日まで続くこの才人の活動の根底にあるのが、後期ビートルズのサウンドエンジニアだったという履歴でしょう。
その周辺については、何れじっくりと書きたいところですが、とにかく正式デビュー前のパイロックに既に濃厚であったビートルズっぽさを増幅させるに必要な因子が、アラン・パーソンズであったとすれば、我国のチューリップが尊敬の念を抱いて目標とした道筋が、何故か共通の響きであったという、ちょいと上手く表現出来ないミステリアスな魅力は何時までも残るんですねぇ~。
きっと、その間にはサイケおやじが未だに知らない事象があるはずというのは、本当に悔しいです。
しかし、そうは思いつつも、現実的にパイロットというバンドは大好きですし、この「Magic」を端緒として残された音源は全てが愛おしいばかり♪♪~♪
それゆえに現在まで、きっちり纏まった復刻が成されていないのも、また悔しいところですが、まずはひとつひとつ、楽しんでいくのが得策なのでしょう。
皆様にも、ぜひ聞いていただきたいところです。