■御意見無用(いいじゃないか)/ モップス (東芝)
例によって独断と偏見に満ちたサイケおやじが選ぶ「日本のロック・ベスト100」には、必ずや上位に入れるのが、昭和46(1971)年にモップスが出したシングル盤A面曲「御意見無用(いいじゃないか)」です。
なにしろパワー満点のドラムスにヘヴィなギターリフという、所謂ブリティッシュロックどっぷりのイントロに導かれ、ボーカルのグイノリとバンド演奏の迫力の疾走感は、もちろん英語詞がメインではありますが、キメになっているのが「いいじゃ~ないかっ! いいじゃ~ないっ!」という日本語!
それが全く違和感無く、ストレートにロックしているところへ、フェードアウト&インで炸裂する日本的和太鼓のリズム&ビート!
もう、ここまでやってしまうモップスの開き直りといってはミもフタもないかもしれませんが、しかし実に痛快ですよっ!
ちなみにサイケおやじが、この「御意見無用(いいじゃないか)」に邂逅したのは同年の日活お正月映画「野良猫ロック・集団暴走 '71」の本篇劇中であり、その物語展開とは無関係に唐突なモップスの登場と演奏シーンが如何にも当時のヒッピー文化というか、昭和元禄爛熟期にはジャストミートのインパクトでしたねぇ~~♪
また、その頃からラジオの深夜放送ではオンエア率も高まり、テレビでも「ヤング720」に出演のモップスが、朝っぱら「いいじゃ~ないかっ! いいじゃ~ないかっ!」とシャウト&ロックする雄姿は、未だ十代だったサイケおやじを鼓舞してくれましたですよ♪♪~♪
ですから、ほどなくレコードを入手し、学内同好会のバンド組でやりたいと画策したのも当然が必然であり、ついに最上級生になった時にはバンド組の生え抜きとして強権発動したわけですが、なんとっ!
その時にボーカルを任していた新入生から、「カッコワリィ~ですよ」と強烈な反発があって、全く立場を失ったサイケおやじの苦渋をお察し願いとうございます。
だって鈴木ヒロミツのボーカルはド迫力だし、星勝のギターのロック性感度の高さは抜群! そしてドラムスやベースにしても、その録音も含めて、全くハードロックが直球のストライクだというのにっ!?
しかし、件のボーカル新入生の言う事も確かに分かるんですよ……。
それは前述した「和太鼓」の部分に「阿波踊り」系のリズムが用いられているからで、そういうところに「日本のロック」を恣意的に表現しようとする、あざとさがダサイって事でしょう。
でもねぇ~~、似た様な事は、はっぴいえんどやフラワー・トラベリン・バンドが同時期に作っていたレコードにも散見されるわけで、彼等の音源が現代でも高く評価される現実に鑑みて、モップスの蔑まれかたは、ど~にも納得出来ないサイケおやじです。
そのあたりはモップス本人達だって百も承知だったんでしょうか。実は「御意見無用(いいじゃないか)」には後に日本語メインの別バージョンが作られ、今ではベスト盤等々にはそれが収録されることも多いというほど、なかなか素晴らしい仕上がりになっています。
つまり作詞:鈴木ヒロミツ&作曲:星勝が狙っていたのは、それまでのGSから進化したサウンド全体の本格的ロック志向だったように思いますし、商業的には売れたとは言い難い「御意見無用(いいじゃないか)」が今も強烈な破壊力を失っていないのは、その所為じゃ~ないでしょうか。
ということで、今年の抱負はスバリっ!
「御意見無用」といきたいサイケおやじではありますが、表面的には「いいじゃないか」とダブルミーニングの融通も利かせていかなきゃ~ならない、そんな気分にはモップスの同曲が効くんじゃないかと自分に言い聞かせているのでした。