OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

お金は天下の回りものなれど…

2016-01-29 15:49:56 | Blues

俺の借金全部でなんぼや / 上田正樹と有山淳司 (bourbon)

昨日は甘利代議士の、あまりに他人事という作文朗読に呆れかえった皆様も大勢いらっしゃるでしょう。

そりゃ~、その時点で大臣やってる人だから、頭脳明晰で言語もなんとか明瞭ではありましたが、普通に聴いてる我々に対しては、前後関係の脈略を混乱していただくような、多分に恣意的なものが強く感じられたんじゃ~ないでしょうか。

もちろん、そ~した部分は列席したマスコミ各社に配布されている会見内容と同じ文章コピーで後ほどのフォローは可能という結果は想定されているにしろ、質疑応答の部分で肝心の本人がシドロモドロになっていたのでは、説得力が薄まってしまったのも当然が必然だったと思います。

おそらく、これは本人サイドもマスコミや世間一般の大多数も、日頃から献金や口利きが常態化し、ゴリ押しも理屈もゴッタ煮で繰り返している代議士の日常茶飯事では、金銭感覚も失われているはずという常識に沿ったものかもしれません。

しかし、いずれにしろ、甘利代議士本人が金銭の授受を認め、さらには秘書が私的にお金を流用していたという実態は看過される事ではなく、辞任する意向を示したのは政治家としての矜持云々よりも、その潔さは当然ですから、褒められるわけありませんよねぇ~~♪

ほとんど涙ぐんでいた場面もあった昨日の会見でも、果たして自分自身が何を分かっていたか、それが伝わってきたと思う国民は決して大勢とは言い難いはず!

さて、そこで急に思い出したのが本日掲載のシングル盤A面曲「俺の借金全部でなんぼや」で、その歌詞には友人知人から借金をしてはギャンブルの勝ち負けで一喜一憂している男の日常が、なかなか具体的に伝えられながら、実は本人もリスナーも、積み重なっている借金の総額が瞬時には把握しかねるという……。

しかも演奏スタイルがアコースティックな古いブルース様式というあたりが、普通にコミックソングとは括れない、まさにこれもブルースの真髄!?

なにしろ演じている上田正樹(vo) と有山淳司(g) は、これが発売された昭和50(1975)年当時、関西でブルース&ソウルなファンキーバンドのサウス・トゥ・サウスを組んでいて、そのコテコテに熱い歌と演奏は「ぼちぼちいこか」「この熱い魂を伝えたいんや」という2枚のLPに残されていますが、この「俺の借金全部でなんぼや」は前者からのシングルカットであり、その軽妙洒脱の泣き笑い演歌こそがブルースのひとつの真髄であるとすれば、実はサウス・トゥ・サウスのライブステージでは最初にアコースティックなセット、後半がエレクトリックなバンドスタイルで披露されていた関西版ブルース、ここにありっ!

もちろん、当然ながら前述した2枚のアルバムは、その両パターンを意識的に分けた作りになっているわけで、その頃は洋楽でも本場のブルースが市民権(?)を得ていた我が国においても、堂々と「和製」が自作自演出来ていたという先駆けであり、後に登場する憂歌団あたりにも負けない存在感があるわけですよ。

ちなみに上田正樹は既にソロシンガーとして、今日では歌謡曲のジャンルでも有名な説明不要の存在ですが、ここで相方を務めている有山淳司はフィンガーピッキングのギター奏法に秀でた名手で、しかもここで聞かれるような、アメリカの戦前カントリーブルースとかラグタイムスタイルのジャズブルース、例えばブランド・ブレイクのようなシンコペイトした低音弦の使い方を織り交ぜた伴奏&独奏系のアコースティックギターは、一朝一夕には真似することも出来ないはずで、それを当時の日本でやっていたというだけでも、尊敬されて然るべきミュージシャンでありました。

そして肝心の「俺の借金全部でなんぼや」は当然ながら関西弁で歌われていながら、作詞したのが三上寛!?!

もう、このクレジットだけでも凄さ全開の証でしょう。

つまりはその頃、青森出身の三上寛と関西で活動していた上田&有山組が交流していて、しかも、これは実際に聴いていただくしかありませんが、歌詞の中の登場人物は前述したサウス・トゥ・サウスのバンドメンバーだとか、そんな諸々の私生活(?)や内部事情が開陳されているんですから、そこに曲を附した主役コンビの奮闘(?)自嘲も真実味があるわけでしょうか。

いゃ~、本当にここで歌われているような中途半端な借金&返済を繰り返す生活をしていたら、自分の金銭収支どころか、日々のやるべき事柄さえもブルースに彩られてしまいますよねぇ~~~♪

ということで、甘利代議士にかぎらず、永田町の先生方には、今こそ「俺の借金全部でなんぼや」を替え歌して、「俺の献金~」とやって欲しいもんです。

えっ、それで昨夕の弁明は割り切れたかって?

それこそ、割り切れない、余り素数みたいなもんです。

ダジャレのおやじギャグ、失礼致しました。

コメント (5)
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