■小麦色の少年 / 原美登利 (ワーナーパイオニア)
夏向き音楽と云えばウエストコーストロックやボサノバというのが現代の定番かもしれませんが、昭和40年代には、まだまだハワイアンの人気も高いものがありました。
そして当然ながら、ハワイアンを入れた歌謡曲もどっさり作られ、ヒットしたレコード以外にも名曲名唱が残されたのは芸能史の真実です。
本日掲載のシングル盤A面曲「小麦色の少年」もそのひとつで、作詞:山上路夫&作編曲:鈴木邦彦が企図したのは、発売された昭和47(1972)年の流行を踏まえれば、ハワイアンとフォーク歌謡のハイブリット感覚とでも申しましょうか、穏やかにしてポップなメロディとロマンチックな恋の傷心を歌い込んだ曲調がたまりません♪♪~♪
本当に歌が上手くないと、このしっとりした情感と色気は表現出来ないと思いますし、加えて絶妙の爽やかさには胸キュン満点♪♪~♪
また、それを彩る演奏パートにはハワイアン特有の「スラックキー」と称される変則オープンチューニングを使ったギターが用いられ、一般的なのは「オープンG」=「D・G・D・G・B・D」と言われていますが、ここではさらに微妙なチューニングの変更があるように思われますので、ここは皆様のご意見をお聞かせ願いたいところです。
それとメロディラインがどうにも山下達郎の「LOVELAND, ISLAND」に似ていると思うのはサイケおやじだけでしょうか? もちろんそっちはテンポアップしてフュージョンアレンジを施した仕上がりですから、違うって言われれば、それまでなんですけど……、「小麦色の少年」を作った鈴木邦彦は本場ハワイアン曲からのパラフレーズを用いるのが得意で、例えば黛ジュンの「天使の誘惑」あたりはその代表ですからねぇ~、まあ、いろいろあるんでしょう。
緩和休題。
で、これほど上手い歌手の原美登利は、しかし歌謡ポップス本流の作品はこれだけのようで、後は急速に小柳ルミ子路線へ傾き、数枚のレコードを残してフェードアウトしているのは個人的に残念です。
ただし、サイケおやじ、それでも決して彼女が嫌いではなく、例えば「初恋の町」という小柳ルミ子っぽくて、それでいて原美登利の個性がしっかりと表出した名曲名唱が大好きなんで、追々にご紹介しょうと目論んでいるほどです。
ということで、今日は一足早い「過ぎ去りし夏の思い出」の素敵な歌を取り出してみましたが、好評ならば、ちょっと続けようかなぁ~~、と独り善がりしているのでした。