ローリング・ストーンズのドラマーとして、この偉大なるバンドのリズムとビートを司ってきたチャーリー・ワッツが彼岸へ旅立ちました。
故人は俗にサイレント・ストーンと呼ばれていたとおり、寡黙な大人のイメージも強かったんですが、ストーンズならではのグルーヴとノリを表現出来ていたのは、初期においてはリーダーのブライアン・ジョーンズ(g) とグル(?)になった突進力を最大の武器にした演奏の要であり、1960年代中頃からのズレた様なリズムパターンによる楽曲の成り立ちには、殊更ライブの現場においてはビル・ワイマ(b) との共同作業によるポリリズムとタイトなビートの融合という、独自の芸風を確立させ、例えば1969年の大ヒット曲「Honky Tonk Women」で聴かせてくれた、あの麻薬的なビート感は以降、ストーンズをストーンズとして認知させる、完全なチャーリー・ワッツだけの芸当でありましょう。
それはミック・テイラー(g) 参加後の所謂ライブ最強時代になると、ほとんどリズムギターが弾けていないミック・テイラーと危なっかしいキース・リチャーズ(g) を上手くリードして、もっさり型グルーヴのビル・ワイマンのベースに繋ぎ込むという働きが冴えまくりだったと思うんですが、いかがなものでしょう。
逆に言えば、全く合っていないノリのリズム隊をバックに歌うミック・ジャガーが頼りにしていたのは、チャーリー・ワッツのドラミングだったのかもしれません。
そのあたりは、1975年以降にロン・ウッド(g) やビリー・プレストン(key) が参加した安定期のステージライブで尚更に顕著に感じられ、いよいよ16ビートの本格的な導入に踏み切ったストーンズが古い体質を改善していく中で、チャーリー・ワッツがやってしまったのが、寸止めドラミング!?
このあたりは、サイケおやじの稚拙な筆では説明が難しいわけですが、当時のライブ映像を鑑賞すれば、途中でリズムを端折り、ビートに隙間を作りながらも、全体としてのポリリズムを敲き出す故人のアクションに釘付けにされるのが、サイケおやじの本性です (^^♪
巷では普通に云われるチャーリー・ワッツのドラミングのスタイルはシンプルなリズム云々という、ロックの基本に根差したところばかりなんですが、それはそれで正解でありながら、もうひとつ、ジャズにもルーツを持つ個性が、ついには自己名義のビックバンドまで結成し、レコーディングや巡業ライブまでやっていた事で証明されたんじゃ~ないでしょうか。
個人的には、そのあたりを最初に意識させられたのが例のブライアン・ジョーンズ追悼ライブとなったハイドパークでの演目中、「悪魔を憐れむ歌」でアフリカのバンドであるオシビサの面々とやらかしたアフロラテン(?)なポリリズムドラミング!
これは公式映像化されていますので、皆様にはお楽しみいただきたい、チャーリー・ワッツの至芸であります (^^♪
ということで、人間としてのチャーリー・ワッツは、1980年代からドラッグの魔の手に溺れた時期もありましたが、全員が強烈な曲者揃いのストーンズの面々の中にあっては、最も冷静にバンド活動を全うしたんじゃ~ないでしょうか。
故人は決して聖人君子ではなく、むしろ一般人からすれば、桁外れの人生を過ごした奇特な人でありましょう。
告白すれば、本日は朝から、ずうぅ~~っとストーンズばかりを鳴らしております、音量ボリュームは絞ってますけどね (^^ゞ
チャーリー・ワッツ!
永遠なれっ!
PS:ストーンズ関連の音源諸々に関しては、拙ブログ内カテゴリー「Rolling Stones」を御一読願えれば、幸いでございます <(_ _)>