■Emerson Lake & Palmer Live At The Mar Y Sol Festival '72 (Shout)
キーボードロックの雄であり、1970年代ではプログレなんていう枠を超越する人気バンドであったエマーソン・レイク&パーマー=ELPは、当然ながら世界中を巡業し、公式&非公式にかなりのライプ音源を残していますが、本日ご紹介のCDは1972年4月に出演したプエルト・リコ・ポップ・フェスティバルから、これは待望の纏まった復刻です。
01 Hoedown
02 Tarkus
03 Take A Pebble
04 Lucky Man
05 Piano Improvisation
06 Pictures At An Exhibition / 展覧会の絵
07 Rondo
と言うのも、当時のELPはまさに上昇期であり、1970年のデビューアルバム発表から翌年には「タルカス」、そして「展覧会の絵」という超絶ヒットの大名盤LPを連発し、さらにリアルタイムの新作「トリロジー」は完成直前! しかもその間に行われていた濃密なライプステージの評判も上々でしたから、既に熱演は期待を裏切らないはずです。
ところが当時、実際に公式音源化されたのは「Take A Pebble ~ Lucky Man」という、グレッグ・レイクがメインのアコースティックなパートだけが、この音楽祭をダイジェストした2枚組ライプオムニバスLP「マール・イ・ソル(Atlantic)」に収められての発売……。
ちなみに件のフェスティバルは3日間の開催で、出演したのはオールマンズ、フェィセズ、マハビシュヌ・オーケストラ、カクタス等々の人気ロックバンドの他にもデイヴ・ブルーベックやハービー・マンといったジャズ系ミュージシャンが多数参加した、今となっては夢のコンサート企画でしたから、前述したライプアルバムだけでは収まらなかった音源がブートで流出していたのは言わずもがなでしょう。
このELPのステージにしても、そうやって聴けた部分もありましたし、実は数年前になりますが、「イン・ザ・ビギニング」という既発音源メインのCD&DVDで構成されたボックスセットのウリとして、ファンには絶対の開陳となったのですが……。
正直に言えば、ステレオライン録音のそれは如何にも臨場感に乏しく、とてもバカ高い件の箱物の価格とは折り合えません。
ですから、ここにCD1枚物として、ほとんど同じ内容が、しかもリマスターされて登場すれば、これは速攻でゲットするのがファンの宿命でしょう。
さらに言えば、ここに収録の演目は、今や伝説となったELP初来日公演のプログラムと極力近いのも高得点!
期待度満点のバンド紹介から、強引に飛び出す「Hoedown」が鳴り出せば、あの後楽園球場の狂熱が思わず蘇ってしまう皆様も絶対に多いはずで、そのアドレナリンの噴出逆流度は天井知らずでしょう♪♪~♪
もちろん「Tarkus」と「展覧会の絵」あたりの人気組曲は当然如く熱血と狂乱の長尺演奏ですし、「Take A Pebble」と「Lucky Man」のアコースティックセットでは、前述したライプオムニバスアルバムではカットされてしまったキース・エマーソンが十八番の「Piano Improvisation」が存分に楽しめますよ♪♪~♪
ちなみにリマスターされた音質はステレオライン録音で、基本的には左にキース・エマーソン、右にグレッグ・レイク、そして真ん中にカール・パーマーの三者定位になっていますが、今回はかなり厚みが感じられるミックスに変えられているようですから、大音量にするほどに違和感は失せていく感じがしています。
また演奏そのものも既に述べてように、これが上り調子の勢いというやつなんでしょうか、現実的には会場の湿度と熱気によって暴走気味だったと言われるキース・エマーソンの各種シンセやムーグ等々の響きが結果オーライの興奮度を生み出していますし、要所で炸裂するカール・パーマーの大車輪ドラミングや力強くて、さらに味わい深いグレッグ・レイクの歌いっぷりは言うまでもありません。
ですからオーラスの「Rondo」はご存じ、キース・エマーソンがナイス時代から引き継いだ人気演目とあって、もう勢いは止まりません!
ということで、ファンにとっては録音の古さ加減も含めて、まさに至福の時間が過ごせますし、繰り返しますが、あの初来日公演を体験された皆様であれば、懐かしさがこみあげてくるに違いありません。
もちろんサイケおやじも、そのひとりとして、あの日の興奮に胸キュン感を覚えつつ、この復刻CDを楽しんでいるのでした。
その頃に従兄弟からELPの「展覧会の絵」を買ってもらい、何回も聴きました。
そのせいか、ステレオ購入後に再生したら、ノイズだらけでした。
ELPと言うと、どうしてもその頃の事を思い出してしまいます。
ちなみに中学時代の友人(僕にロックを教えてくれた人)は、「リック・ウェイクマンよりもキース・エマーソンの方が上手いよ」って言っていましたが、僕にはそれが良く分かりませんでした。
コメントありがとうございます。
リック・ウェイクマンとキース・エマーソンの比較は当時、ひとつの論争の花形でしたよね(微笑)。
個人的にはリック・ウェイクマンはイエスでも証明済みですが、確固たるアンサンブルやアレンジの中で好き放題やるタイプ、一方のキース・エマーソンは自分が牽引していくスタイルを通す、まあ、両者の共通点は我儘でしょうか(笑)、そう思います。
私は二人とも好きですよ。