■Classic Yes (Atlantic)
1981年末に発売されたイエスのベストアルバムなんですが、これには当時、公式には未発表だったライブ音源を入れたシングル盤がおまけされていましたから、無視する事は絶対不可能!
A-1 Heart Of The Sunrise (from こわれもの)
A-2 Wonderous Stories (from 究極)
A-3 Yours Is No Disgrace (from サード・アルバム)
B-1 Starship Trooper (from サード・アルバム)
B-2 Long Distance Runaround (from こわれもの)
B-3 The Fish (from こわれもの)
B-4 And You And I (from 危機)
★おまけシングル盤
A-1 Roundabout (Live)
B-1 I've Seen All Good People (Live)
上記の収録演目からして、これはリアルタイムのイエスがライプで演じて盛り上がる人気曲ばかりなんですが、今日では良く知られているとおり、実はアルバム発売当時のイエスは活動停止という以上の解散状態……。
その経緯を簡単に述べれば、まず1977年に出したアルバム「究極」が、およそイエスらしくない、普通(?)のロックバンドの如き大衆性を提示した事から、それはそれで良質な仕上がりの名盤であり、正直に告白すれば、サイケおやじは、そうした新生イエスを心地良く受け入れていたんですが、続く翌年に発売された「トーマト」は、せっかくのLPとしての役割を放棄したんじゃ~ないかっ!?
と思わざるを得ないほど、ポップな軽さが目立つ楽曲の寄せ集めであり、リアルタイムから業界の流行になっていた所謂ニューウェイヴに媚びた感じが、本当はイエスにしか出来ない緻密な計算に基くサウンド作りがあったにしろ、古い体質のサイケおやじには、ど~しても馴染めない作品でした。
そしてさらに仰天させられたのが、1980年に発表された新作アルバム「ドラマ」での執念とでも申しましょうか、それまでのイエスの立役者であったジョン・アンダーソン(vo)、そして人気者のリック・ウェイクマン(key) が抜け、同時期にバグルスと名乗るニューウェイブのグループを運営していたトレヴァー・ホーン(vo) とジェフ・ダウンズ(key) が替わりに入りながら、提示されたサウンドは往年のプログレがど真ん中だったんですから、一歩進んで二歩下がるみたいな現実には、素直になれなかったんですねぇ~~~。
しかもご丁寧な事にジャケットデザインが「究極」~「トーマト」で新生イエスを正面から印象づけていたヒプノシスから、プログレ全盛期のイメージを象徴するロジャー・ディーンに担当回帰させたのも、潔くないというか……。
ただし、内容は決して悪くはありませんでしたよ。
極言すれば完全に死にかけていたプログレというジャンルにおいて、それに拘り続けていたファンには嬉しいプレゼントだったんじゃ~ないでしょうか?
気になるトレヴァー・ホーンのボーカルも、それほどジョン・アンダーソンの不在を感じさせない曲展開や演奏があれば、結果オーライと言えなくもありません。
実際、この「ドラマ」をプログレの傑作アルバムとする某評論家先生の熱弁も記憶に残っているほどです。
しかし、やっぱりファンの気持は晴れなかったのでしょう。
一応は巡業ライブもやっていたイエス本隊にしても、そのあたりを当然のように察したのでしょうか、前述したとおり、1981年には実質解散状態に……。
そしてこのベスト盤は、残された唯一のオリジナルメンバーであるクリス・スクワイアの選曲監修によるものとして、件のおまけシングル盤と定番ロジャー・ディーンのジャケットデザインという付加価値もあり、侮れない1枚になっています。
で、気になる公式未発表ライブ音源の「Roundabout」と「I've Seen All Good People」は何れも1978年10月の録音、メンバーはジョン・アンダーソン(vo)、スティーヴ・ハウ(g,vo)、リック・ウェイクマン(key)、クリス・スクワイア(b,vo)、アラン・ホワイト(ds,per) で、しかも結成10周年記念ツアーからの演奏は、まさに緻密と洗練とパワーに満ちた、物凄い勢いが堪能出来るんですねぇ~~♪
もちろんシングルの7吋盤といっても、33回転ですから、両面収録2曲共に長時間の歌と演奏は期待を裏切っていません。
「I've Seen All Good People」におけるライプならではのメンバー紹介も楽しい限り♪♪~♪
あぁ~、やっぱりイエスは強烈無比!
そういう思いを再認識させられましたですよ、実際♪♪~♪
ちなみに、あらためて言うまでもなく、同時期のライプ音源は、このベスト盤が世に出る以前の1980年、問題作(?)「ドラマ」に続いて発売された「イエスショウズ」と題する2枚組LPにも幾つか収められているんですが、あえて拙ブログで順番を逆にご紹介させていただいたのは、1970年代末頃のイエスとロック業界におけるプログレの存在意義を皆様に再確認していただきたかったからで、その「イエスショウズ」の素晴らしさ、楽しさについては追々にという事で、ご理解下さいませ。
最後になりましたが、プログレが現在、どのような状況に置かれているかは知る由が無く、それはサイケおやじが現在進行形の音楽に興味が持てず、OLD WAVE にどっぷりと浸かっているからでして、それを微温湯と揶揄されたとしても、満足度が違うわけです。
その意味で、1983年に劇的な復活を遂げたイエスがプログレというよりは、さらにモダンなロックバンドに変身していた事に対しても、失望と羨望がアンバランスに溶け合った気分でした。
ただし、それでもイエスはイエス!
アッと驚かされる真実の提示は、以降も続いていくのでした。
コメント、感謝です。
流石にリアルタイムからの体験が滲みますねぇ~。
「プログレ」という用語以前は「サイコデリック」や「アートロック」「ヘヴィロック」という括りで、新しいバンドが語られていたように思います。
ただし「プログレ」と称されるには、まずは特有の様式美と演奏テクニックがなければっ!?
個人的には末期ピンク・フロイドは苦手なんですが、プグレをBGM化したような音楽性は評価されるべきと思います。
逆にジミヘンは感性一発ながら、ストレートに分かり易いテクニックと情動のバランスが圧巻でしたからねぇ~♪
それだけで充分にプログレなんでしょうが、世間的にはアート&サイケなハードロックと受け止められて……。
結局、私にとっての最も「らしい」プログレバンドはイエスと決めつけているのでした。
それと往年のミュージックライフや評論家の諸先生方々が提唱していたロックに対する基本姿勢は、今や堂々の正論になっている事を認めるべきと思いますが(苦笑)。
「進歩的」といふ言葉、あくまで、初期ロック・サイドから見た場合の形容であり、ヨーロッパ白色人種達からすれば、むしろ心地よい「伝統主義的」ロック、と命名したかったのではないでしょうか。
そのような意味において、先輩ご指摘のとおり、イエスほど、プログレらしいバンドは見当たらない、と大いに賛同する次第です。
現在のプログレ・シーンがどうなっているか、私も知ることは少ないですが、メタル派、シンフォニック派等々に枝分かれしながらも、北欧・東欧など、ヨーロッパ各地にて、しぶとく棲息しているようです。
スウェーデンのグループ「アネクドテン(Anekdoten)」など、メロトロン中心の初期クリムゾンサウンドを今だに追及して、それなりに人気がある由、プログレ・ファンは、字義とは裏腹に、まったく保守的な存在、と言わざるを得ません。もちろん、私もその一人であります。
コメント、ありがとうございます。
貴兄の考察、確かにアメリカのジャズソング以降の楽曲がユダヤ人モードに黒人のビートを混濁させたものと思えば、欧州系白色人種が対抗策としてプログレと称されるジャンルを打ち出したのも納得されますねぇ~~。
クラシックや現代音楽の闇雲な流用やジャズの活用も、それが高尚なものと思い込んだリスナーの弱点を逆手に活かした策略かもしれません。
しかし、プログレが一般ウケした時代は、いろんな要素が一回転して、「ふりだしに戻る」状態寸前の飽和があればこそだったんじゃ~ないでしょうか?
今となっては萎みつつあるプログレも、息を吹き返す可能性は、予想以上!?