■Mr.Tambourine Man / The Byrds ( Columbia / 日本コロムビア)
告白すると、サイケおやじがビートルズよりも、そしてストーンズよりも先に好きなったのが、本日の主役たるザ・バーズでした。
良く知られているように、彼等の作りだすサウンドは「フォークロック」と呼ばれ、それはボブ・ディランが実践し始めた試みのバンド的な発展形でしたが、もちろん、その基本はビートルズを筆頭にしたイギリスのグループにありました。
つまりエレキギターとドラムスを主体とした強いビートが必須だったんですねぇ。
さらにザ・バーズが特徴的だったのは、そこに絶妙のコーラスワークを施したことでしょう。
さて、本日のご紹介は、そんなサイケおやじが初めて買ったザ・バーズのシングル盤で、もちろんこれは彼等のデビュー曲として、アメリカでは1965年初夏に大ヒット! そのまま日本でも8月頃には発売されていたという、当時としては最高にリアルタイムの扱いが、業界でのインパクトの強さを物語っていると思います。
そして私は夏休みも終わりの頃、ラジオで聴いた瞬間、ザ・バーズにシビレました!
まずイントロの強烈なギターの響きが鮮烈極まりなく、これは後で知ったことですが、エレキの12弦ギターを使用するキメは、ザ・バーズの音楽的なウリとなっていくのです。
また、キャッチーなメロディを歌う、全く気だるいコーラスワークと微妙にスパイスの効いたボーカルの味わいは、他のバンドや歌手には無かったものです。というか、サイケおやじは、そのメリハリが効いているのに、どこかモヤモヤしたミステリアスなところに惹きつけられたようです。
ちなみに当時のメンバーはロジャー・マッギン(vo,g)、ディヴィッド・クロスビー(vo,g)、ジーク・クラーク(vo.g,hca)、クリス・ヒルマン(b,vo)、マイク・クラーク(ds,vo) という5人組ですが、このシングル盤両面では演奏パートがスタジオミュージシャンによるものというのが定説になっています。なにしろマイク・クラークはザ・バーズに加入してから、初めてドラムスの練習をしたらしく……。
しかしメンバーは各々がザ・バーズ以前からフォークやカントリーの分野ではキャリアを積んでいたことから、コーラスワークやボーカリストとしての力量、さらに曲作りの才能には長けていました。
ただ、この大ヒットしたデビュー曲が、ご存じのとおり、ボブ・ディランのオリジナルとあって、ザ・バーズは以降もボブ・ディランとの繋がりや関連が切り離せないものとなるのです。
とは言え、このシングル盤のジャケット裏解説には「ボブ・ダイランの作品を歌っている」なんて書かれているのは、ご愛敬とばかりは言えません。昭和40(1965)年の我が国洋楽事情は、それが精々ですし、実際、このレコードにはメンバーの名前すら載っていないのですから!? しかも扱いは「コーラスグループ」なんですよっ!
つまり裏を返せば、それほど速攻に発売されたという証だと思うのです。
それともうひとつ、魚眼レンズを使ったジャケット写真が、少年時代のサイケおやじには強い印象を与えています。
ご存じのように、ザ・バーズは以降、フォークロックの旗手として活躍し、また相当に早くからサイケデリックの扉を開けた存在ですが、それはこのデビュー盤のジャケットから既に始まっていたというわけです。
おまけに訳詞を読んで妙に納得したのが、「もうろうとしている私のために、歌を聞かせてよ、私の死に行くところはないんだもの」なんていう、刹那的なところが、歌とコーラス、そして演奏でしっかりと表現されているんですねぇ~。これは齢を重ねるほどに、鮮明なメッセージとして心に響きます。まあ、本当の意味は別のところにもあるわけですが……。
ということで、自らのルーツを解き明かすうえでも、忘れられないシングル盤のひとつなんですが、それにしても小学生の頃から、こんな曲やグループが好きになるというサイケおやじの変態性には、自嘲するばかりです。
ありがとうございます(__)
私の「12弦」への思いも強いものがあります。
↓
http://blog.goo.ne.jp/8823blue/d/20110916
ダブルネックも欲しかったですけどねぇ~~。
バーズに関しては、拙プログに幾つかありますので、よろしくです。
ロジャー・マッギンというギタリスト、この分野ではかなりの名手と聞きます。この最大ヒット曲のスタジオ・バージョンでは弾いてないとのご解説、意外です。
そのマッギン氏のヴォーカルですが。聴くほどに、いわゆるダウナー系そのもの、と思わざるを得ません。何か脱力感を覚えます。自身のバンド、「サンダーバード」でも、演奏は熱いのですが、下降感を伴う声質・唱法は不変です。
https://www.youtube.com/watch?v=SctqA7sTfO8
これが、ハードロックとは一線を画す、フォーク・ロックの特徴、といふものでしょうか。
もう少し研究したく、バーズのベスト・アルバムを購入することにしました。
それにしても、小学生にして、なにか諦観のようなものさへ漂ふ、このバンドの音楽がお好きだったとは。
さすが先輩、と申し上げるしか、言葉が見つからないのであります。