OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

飛んだら何処へ行く

2019-12-06 20:04:35 | Rock
Jump / Van Halen (Warnar Bros. / ワーナーパイオニア)

ヘビメタには拒否反応ですが、ハードロックは大好きなサイケおやじは、だからこそ1978年早々に登場して来たヴァン・ヘイレンには直ぐにグッと惹きつけられたんですが、何故ならば、そのデビュー曲というのがキンクスが1964年に放った元祖ハードロックの聖典「You Really Got Me」のカバーであり、しかも野放図っぽいパワフルなボーカルと細かくて派手なギター、そしてイケイケでメリハリの効いたドラムスとベースがきっちり纏まっていたからでした。

もちろん、件のデビュー曲は忽ちヒットし、続けて発売された1stアルバム「炎の導火線」も売れまくり、以降の快進撃に繋がっていった事は今や否定出来ない歴史ですし、幾つもある彼等の魅力のひとつとして、サイケおやじは当時でもハードロックの主流であった所謂ブリティッシュ系のバンドとは決定的に違う、カラッとして、それでもヘヴィな音作りに殊更惹かれており、なんとっ!

ヴァン・ヘイレンはアメリカは西海岸出身のバンドだったという事実を知った時には、思わず唸ってしまいましたですねぇ~~!?!

当然ながら、アメリカの西海岸、例えばサンフランシスコやシアトル、そしてハリウッドにおいても、ハードロックをやっていたバンドは数多く登場していたんですが、ヴァン・ヘイレンには、そこで特徴的とも云えるサイケデリック風味が薄く、すっきりと垢抜けていながら、実はイナタイ感覚も併せ持っている様な印象だったんですねぇ~~~!?

ちなみにデビュー当時のメンバーはデイヴィッド・リー・ロス(vo)、エディ・ヴァン・ヘイレン(g)、マイケル・アンソニー(b,vo)、アレックス・ヴァン・ヘイレン(ds,vo) という4人組で、もちろんエディとアレックスは兄弟ですから、バンドの実質的な創設者であり、それなりに発言力もあったと思われます。

しかし、これまた当然ながら、バンドの人気者は時には破天荒なパフォーマンスをやらかし、ド派手に振る舞い、それでいてキリリとした歌を披露するデイヴィッド・リー・ロスであり、そこに当時としては画期的なスタイルとして知られる事になるエディ・ヴァン・ヘイレンのライトハンド奏法が加われば、特にライブの現場では向かうところ敵無し!

そ~ゆ~快進撃が続いたところで、1984年に出たのが本日掲載のシングル盤A面曲「Jump」だったんですが、これがアッと驚く、全くそれまでのヴァン・ヘイレンのサウンドとは異なる、いきなりキーボードシンセが曲をリードし、これまでウリにしていたハードなギターが出て来ず、それでもタイトなドラムスとイケイケのベースに乗っかって調子良くシャウトし、歌うデイヴィッド・リー・ロスの存在が、やっぱりこれはヴァン・ヘイレンと思うしかないと追い詰められた次の瞬間、飛び出す間奏のギターソロは細かいフレーズを積み重ねてのライトハンド奏法が炸裂するという、なかなか要領の良い(?)作りになっていますから、そのシンセによる覚え易いキャッチーなリフ共々、これがヒットしなかったらポップスの神様はっ!?

てなもんでしょうねぇ~、これはっ!

実際、サイケおやじがここで「ポップス」と書いてしまったのは、これまでの「ハードロック一直線」から変節したとまでは言いませんが、明らかな路線の変更を感じるからで、それを進化と受け取るか、転進と見なすかは十人十色の感性と思います。

そして説明不要、このシンセを弾いているのはエディ・ヴァン・ヘイレンであり、その導入についても本人の強い希望(?)であったそうですから、一座の看板スタアとしてギターと激しく対峙する事で個性と人気を確立して来たデイヴィッド・リー・ロスは、やっぱりバンドから脱退するのですが、それは後の話です。

少なくとも、この「Jump」を含むアルバム「1984」の制作時には不満はあったかもしれませんが、やっつけ仕事は決してやっていないはずで、それは件の「1984」を聴けば、きっちりギターサウンドに満ちたハードロックを歌っているトラックはもちろん、キーボード主体の演奏の中でも、自己主張は忘れていません。

そうです、バンドとしてのヴァン・ヘイレンは、ここまであくまでもエディ・ヴァン・ヘイレンのハードでテクニカルなギターをひとつの個性としていたわけで、それこそがヴァン・ヘイレンの魅力であると認めていたファンも夥しい中での、このキーボードシンセ優先主義による大ヒット曲の登場は、なかなか複雑な心境だったと思いますねぇ~~~。

それは決してサイケおやじだけの感慨では無いはず……。

同時に普通のポップスファンもヴァン・ヘイレンに注目し、新しい視野を広げたはずで、それはバンド側にしても益々の発展に結びつくはずが……。

既に述べたとおり、翌年にはデイヴィッド・リー・ロスが脱退し、その穴埋めに参加したのがモントローズのサミー・ヘイガー(vo,g)だった事により、確かに以前にも増して大ヒットアルバムを連発していきましたが、その商業的な大成功を果たして全盛期と称するかはファンそれぞれの立場の違いを表わすものでしょう。

その頃、一般的な音楽用語になっていた「産業ロック」が、ついにヴァン・ヘイレンにも適用されてしまったのですから、そりゃ~、売れた方がよ良いには決まっていますが、なんだかなぁ……。

そんなふうに思ってしまうのが、サイケおやじの天邪鬼です。

最後になりましたが、エディ・ヴァン・ヘイレンが広めた「ライトハンド奏法」とは、右利きのギタリストの場合の話ではありますが、弦をはじく右手の指を指板に叩きつける様にして音を出す奏法で、これは高出力のエレキギターとアンプがあれば尚更に高い効果を得られるわけで、本来の名称は「タッピング奏法」というのが正式らしいのですが、それはそれとして、奏法そのものは決してエディ・ヴァン・ヘイレンの発明ではなく、ジャズ系のギタリストは古くから試みていましたし、ロックではアラン・ホールズワース等々が披露していたのです。

でも、それをひとつの「見世物」としてウケ狙いのステージでやらかしところにエディ・ヴァン・ヘイレンの見事なプロ魂があったと書けば、お叱りは覚悟しております。

でも、実際、物凄くカッコイィ~~~んですよねぇ~~♪

そりゃ~~、見れば一発ですよっ!

ということで、告白すれば、サイケおやじは決して「Jump」をやっているヴァン・ヘイレンは嫌いではありません。

なにしろデイヴィッド・リー・ロスが歌い、エディ・ヴァン・ヘイレンがギターを弾き、マイケル・アンソニーがベースを響かせれば、アレックス・ヴァン・ヘイレンがビシバシにキメをハードヒット!

そんな素晴らしいバンドが何をやろうが、それは時の自由であり、好き嫌いもまた同様と思うばかりです。
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