OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

サイケデリックGSのビーバーズ

2009-09-10 11:52:33 | 日本のロック

君なき世界 c/w ホワイ・ベイビー・ホワイ / ザ・ビーバーズ (キング)

GSの実力派としては、ビーバーズも忘れられません。

今では日本のスーパーギタリストとして歴史に名を刻む石間秀樹が在籍していたことでも有名ですが、他のメンバーも凄腕揃い! しかもスパイダースの弟バンドという位置付けもあって、大野克夫や醐樹弦という変名で曲を提供したのが、かまやつひろし!

そういうサウンドプロダクトが最高に発揮されていたのが、本日ご紹介のシングル盤を含む初期の楽曲です。

もちろん後期には歌謡曲にどっぷりのスタイルに変遷するわけですが、バンドの活動歴はGSプーム以前から続く長いもので、その源流はスリー・ファンキーズのバックバンドとしてのワゴンマスターズを母体としているようです。

そしてロカビリースタイルからエレキインスト期を経て、ついに昭和41(1966)年にアウトローズとして本格的なロックバンド化! メンバーは淡村悠喜夫(ds) をリーダーに、早瀬雅男(vo,per)、成田賢(vo,hmc)、石間秀樹(g,vo)、平井正之(g,vo)、荒川宏(b,vo) という6人組でしたが、正式レコードデビューを契機に、バンド名をビーバーズに変えています。

これはもちろん、アイドル性が求められたGS全盛期におけるレコード会社からの要請だと言われていますし、その音楽性もまた、大衆路線を意識したシングル曲を出していますが、そこは実力派バンドの面目躍如というか、かなり頑固な自己主張があって、それは当時流行しつつあったサイケデリックの味わいを濃厚に表現しています。

なにしろデビュー曲となった「初恋の丘」からして、ボサロックをサイケデリックなギターで味付けしたような、しかし本質は歌謡曲という、今も昔もミョウチキリンな仕上がりなんですねぇ~♪

そして掲載したシングル盤は、それに続く2作目なんですが、A面の「君なき世界」は完全なる歌謡ロックのサイケデリック的な展開の決定版! 既に述べたように、かまやつひろしが作詞作曲したキャッチーで虚無的なメロディと弱気な歌詞が、石間秀樹と平井正之によるツインリードのラーガロックギターで彩られるという、これは明らかにヤードバーズやストーンズを意識しまくった目論見でしょう。

ちなみに発売は昭和42(1967)年11月とされていますが、当時の洋楽最先端を見事に薬籠中のものとした演奏は、今も驚くべき新鮮さ♪♪~♪ 個人的にはグレイトフル・デッドの影響すら感じてしまいます。ドライヴするリードベースやハモリを多用するツインボーカルも良い感じすぎます。

またB面収録の「ホワイ・ベイビー・ホワイ」が、これまたファズが唸り、突進するビートが痛快なアップテンポの和製ロック! もちろん作曲は、かまやつひろし! ですから、ほとんどスパイダース状態なんですが、同じツインボーカルながら、キーボードの代わりにギターが2本の絡みを強調したアレンジと縦横無尽にドライヴしまくるエレキベースが、実にたまりません♪♪~♪

残念ながら私はビーバーズのライプには接することが出来ませんでしたが、きっと生演奏は強烈だったと思いますねぇ~。その場を体験した皆様が裏ましくなるほど、このシングル盤は両面ともに最高です。

これが昭和42年だなんて、日本のロックも捨てたもんじゃないですよっ!

逆に勢いは、現在より凄いかもしれませんね。

そんなビーバーズの音源は以前にCD化されていましたから、聴くことは容易だと思われますが、このアナログのシングル盤はジャケットデザインも、丸っきり当時の雰囲気がモロ♪♪~♪ 私はすっかりGSブームが下火になった頃、中古で入手したんですが、リアルタイムでは小ヒットだったこともあり、探索には時間がかかりました。ただし値段は捨値だったのがラッキ~♪ 昭和46年になると、GSは流行遅れの象徴だったのです。

しかし、やっぱり中身の「音」と、それを包みこんでいる「ジャケット」の魅力が合致してこその楽しみは不滅でしょうね。

それと当時の曲タイトルって、昨日のアウト・キャストもそうでしたけで、邦楽・洋楽ともに「○□なき~」が多いんですよね。それだけ世相が何かを求めていたのかもしれません。昭和歌謡曲の魅力の秘密は、そんなところにもあるようです。

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今でも素敵なアウト・キャスト

2009-09-09 09:42:07 | 日本のロック

愛なき夜明け c/w ふたりの秘密 / アウト・キャスト (テイチク)

昭和元禄のGSブームでは夥しいバンドが活動していた、まさに日本のロックの全盛期だったと思いますが、その中にはメジャーになれずとも、確かな実力派も存在していたのは、ご存じのとおりです。

中でもアウト・キャストは本物の中の名バンドとして、リアルタイムよりは後になって評価されたのは、ある意味、幸せなグループだったかもしれません。

結成は昭和41(1966)年とされていますが、メンバーは各々がそれ以前からプロとして活動していた実力者揃いでした。そして当然ながら、それゆえに出入りはあったようで、正式デビュー時には轟健二(vo)、水谷淳(g)、藤田浩一(g)、堀口雄右(org,key)、大野良二(b)、中沢啓光(ds) という6人組になっていたようです。

実はサイケおやじは当時、ラジオかテレビの公開放送で、このバンドのライプに接していますが、歌謡フォークと強烈なロックを交互に演奏していたという、妙な印象しか残っていません。

まあ、このあたりは現在、元祖ガレージパンクなバンドとして評価されている事実と符合しているのかもしれませんが、デビュー曲が「友達になろう」なんていう、実にネクラなフォーク調の名曲だったんですよ。当時のラジオでも、ちょっとはヒットしていたと思います。そして続く2枚目のシングル曲も同路線の「愛することは誰でも出来る」でしたから、後追いの評判だけでアウト・キャストを聴いてしまうと、完全に???でしょうね。

しかしライプでは、そんな地味な印象とは逆というか、私が体験した時には全然知らないサイケデリックなロック曲を演奏していたんですが、オルガンの堀口雄右が楽器の上に乗ったり、ドラムスのスティックが飛んできたり、メンバーのアクションも派手だったんですよ。

もちろんメンバー自作のオリジナル曲も多数あったそうですし、迫力満点の演奏力は、今も記憶に焼き付いているほどです。特にギターの水谷淳は後に改名し、スタジオセッション等で活躍する名手の水谷公生ですからねぇ~♪ ライプでは藤田浩一とのツインリードで爆発する強烈なアドリブとか、唸りまくった堀口雄右のオルガンやハードにドライヴする大野良二のエレキベースも最高でした。また曲作りに関しては藤田浩一がメインでしたが、堀口雄右や水谷淳のアレンジも秀逸! このあたりは初期楽曲を聴けば納得でしょう。

ただし現実は相当に厳しく、発売されるシングル曲の地味~なイメージが昭和元禄にはウケるはずもなく、同じ事務所に所属していたタイガースやワルイドワンズの足元にも及ばない結果しか残せませんでした……。

さて、本日のご紹介は、そんな現状打破を図ったのでしょうか、それまでの自作路線から一転し、作詞:橋本淳、作曲:筒美京平という黄金コンビによる隠れ名曲♪♪~♪ ちなみにジャケットをご覧になれば一目瞭然、発売された昭和43(1968)年1月の時点では藤田浩一と堀口雄右が脱退した4人組になっています。

で、肝心の楽曲は、その所為もあり、当然ながらオーケストラをバックにした完全なる歌謡曲なんですが、一応はエレキギターも聞かれますし、曲メロと歌詞は流石に昭和を代表するレベルに達しています。また轟二郎のベタベタした歌唱も捨てがたい魅力がありますねぇ。

個人的にはカラオケで歌いほどなんですが、残念ながら、それが無いんですよ。どっかで作ってくれませんかねぇ~。

またB面に収録の「ふたりの秘密」は、メンバーの大野良二が作詞作曲した、これまた秀逸な隠れ名曲! 泣きのメロディをグッと凝縮した節回し、せつない恋人達の物語を綴った歌詞がジャストミートのアレンジで演じられるんですから、たまりません。しかもこちらはバンドによる演奏がメインになっていますから、後のキャロルあたりがやった甘口のパラードを凌駕する魅力がいっぱい♪♪~♪ きっと奴らは聞いていたに違いないと思うほどです。

あぁ、水谷淳のギターが刹那に響き、オールディズ風味の曲の良さを尚更に引き立てますねぇ♪♪~♪ 本当にひとりでも多くの皆様に楽しんでいただきたい名演名唱です。

結局、アウト・キャストは所属が大手の渡辺プロでしたから、仕事は多かったと思うんですが、バンド側の音楽性とマネージメントの意向がズレていたのかもしれません。テレビでは、NHKの「みんなの歌」みたいな「えんぴつが一本」とかまで演じていたんですから、ライプでの激烈な演奏を知ってしまえば、呆気にとられるでしょう。

ですから、この「愛なき夜明け」も、全くヒットしていません。

しかし、どういうはずみか、後年になって再評価され、残された楽曲がCDで纏められるに至ったのは幸いです。個人的には、お気楽ロックな「きままなシェリー」とか、熱血ハードロックな「電話でいいから」、ヤードバーズみたいな「レッツ・ゴー・オン・ザ・ビーチ」といった日蔭のシングルB面曲が好きでたまりません。その演奏力の確かさは、同時代のGSの中でもトップクラスでしょう。堀口雄右のキーボードが最高のアクセントで、実に良い感じ♪♪~♪

ということで、本日はA面が歌謡曲、B面がロカパラードという構成が、如何にも「日本のロック」です。結果的にヒットせずとも、後々まで楽しみが消えないというところが、非常に味わい深いのです。

アウト・キャストは、メンバーがグループ解散後も裏方として様々な功績を残している結果を鑑みれば、やはり現役時代には進みすぎていたのかもしれません。それを飲み込んで聴くアウト・キャストの歌と演奏は、今でもやっぱり最高だと思います。

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セクシーアイドルだった奈美悦子

2009-09-08 10:29:51 | 歌謡曲

愛しているから / 奈美悦子 (日本ビクター)


男なら、どなたにでも忘れえぬ美女の思い出があるはずです。

私にとっては西野バエレ団の看板娘達が、まさにその美女集団♪♪~♪ 特に決定的だったのが、昭和42年からスタートした伝説のテレビバラエティ「レ・ガールズ(日本テレビ)」でした。

これは金井克子、由美かおる、奈美悦子、そして原田糸子、後期には江美早苗が加わり、ミニスカで歌って踊るという、非常に嬉しい番組でしたが、中でも美人度で最高なのが奈美悦子でした。

ちなみに金井克子はシャープな恐さ、由美かおるはキュートなおとぼけ、原田糸子はダイナミックなノリ、江美早苗は爽やかな可愛さ、そして奈美悦子はケバイ美しさというのが、私の印象です。

で、本日の主役たる奈美悦子は、中学生の頃から西野バレエ団に所属し、昭和42年、16歳で歌手デビュー♪♪~♪ ご紹介は、おそらく2枚目のシングル盤A面曲で、当時の流行だったエレキ歌謡にブリっ子なお色気路線を融合させた傑作です。

なにしろ彼女のボーカルが、カマトト系の極みながら、歌っている中身が抱いて欲しいという男への露骨な要求なんですから、いやはやなんとも……。

しかし曲メロの覚えやすさ、意図的に不粋に演じられたとしか思えない男性コーラス、しつこいストリングに薄めのエレキギターというサウンドプロダクトは完璧ですし、サビで聞かせる彼女の「コブシ」がネチネチとしていて、とても十代とは思えぬなんとやら♪♪~♪

さらにジャケットは皆様のご要望により、完全見開きを掲載するしかない、ジュニアアイドルを超越した脚線美とミニスカの奥が気になるという、実にアブナイものです♪♪~♪

ただし、このショットの彼女の表情は、魅力が半減ですね……。本来は、もっと派手な微笑みの人なんですよ。

ちなみに、この曲は昭和43(1968)年5月に公開されたザ・スパイダースの主演作品「大騒動(日活・森永健次郎監督)」でもヒロイン役の彼女によって歌われていますが、やはり奈美悦子は動いているほうが、ずっと魅力的だと思います。

近年の彼女は脂っこいおばちゃんとして、テレビのバラエティ等々で毒舌を披露しているばかりですが、実は女優としても確かな演技力がありましたから、デビュー当時から脇役とはいえ、多数の作品に出演しています。

まあ、ルックス的には別人と思えるほど、若い頃とは様変わりしてしまったのが正直なところではありますが、ちょいと前までは踊って歌うところも見せていましたし、その時の抑えきれない熟女のお色気には、クラクラさせられることもあったサイケおやじです。

それゆえに当時の「ブリっ子歌唱」が尚更に愛おしく、ついついジャケットを凝視してしまうのでした。

最後になりましたが、西野バレエ団の美女達が昭和44(1969)年に主演したセクシースパイのミュージカルテレビシリーズ「フラワーアクション 009ノ1 (フジテレビ)」が近々、ようやくDVD化されるのも朗報です。併せてお楽しみくださいませ。

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サージェント・ペパーズで修行した夏…

2009-09-07 10:56:04 | Beatles

Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band / The Beatles (Parlophone / 東芝)

昭和43(1968)年7月、発売から約1年遅れて、「サージェント・ペパーズ」は私の手元へやって来ました。

と言っても、買ったわけじゃなく、従姉から「永久貸与」されたんですが、ここまでの経緯については、ここをご一読願うとして、とにかくビートルズ至上主義の優等生への反発から、少年時代のサイケおやじは意地でも越えなければならない大きな壁が、「サージェント・ペパーズ」だったというわけです。

そしてその年の夏休みの間中、このアルバムに向き合って過ごすという、実に暑苦しい日々には、今でも自嘲するばかりです。

実は私だって、この1年前の発売時には、従姉から聴かせてもらってはいたんですが、正直、何が良いのか、ほとんど理解出来ませんでした。

こんな事を書くと笑われるどころか、顰蹙でしょうが、まずメロディの良い曲なんてひとつもないし、ポールが書いた名曲のひとつと言われる「She's Leaving Home」にしても、いまひとつの冴えを感じません……。

それとジョンの声は妙にねじ曲がっているし、潰れたようなドラムスの音、インド音楽や古臭いジャズの香り、そして何よりもブラスバンドみたいな助っ人や動物の鳴き声等々、ほとんど当時のロックの常識からは外れまくった音作りが、保守的なサイケおやじには???の世界だったのです。

もちろん直前に出ていたシングル曲「Strawberry Fields Forever」の呪縛もありました。

しかし1年を経ていたその頃はEP「マジカル・ミステリー・ツアー」によって良い方向の免疫が出来ていた所為もあり、意識を集中してスピーカーに対峙出来るようになっていたのですから、あとは精神修養だと思えば、自ずとビートルズを聴く喜びへの道も開けようというものです。

 A-1 Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band
 A-2 With A Little Help From My Friends
 A-3 Lucy In The Sky With Diamonds
 A-4 Getting Better
 A-5 Fixing A Hole
 A-6 She's Leaving Home
 A-7 Being For The Benefit Of Mr. Kite!
 B-1 Within You Without You
 B-2 When I'm Sixth-Four
 B-3 Loveely Lita
 B-4 Good Mornig Good Morning
 B-5 Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band (Riprise)
 B-6 A Day In The Life

各曲、そしてアルバムの意図については今更、言うまでもないでしょう。

しかし、やっぱり書いておきたいのがアナログ盤LP片面の、曲を通して自然な流れでしょう。拍手や擬音、意味不明の効果音の中から、すぅぅぅ~、と次の曲のイントロやメロディが現れてくる快感は、筆舌に尽くせません♪♪~♪

それとグッチャグチャに様々音が詰め込まれている中で、ベースの音が実に明快に録音されている気持の良さ! 同じくエレキギターの力強さは、まさにロックの証ですし、対照的に繊細な生ギターやストリングス、エグイばかりのシタールやインド系の楽器の鳴り、独善的に改変された各種キーボードの響き! それがあってこそ、ドラムスの潰れたような音が納得出来るんじゃないでしょうか。

第一印象として、つまらないと思われていた収録楽曲のメロディにしても、様々な装飾を施された完成トラックの中のひとつのパーツと鑑みれば、かえって結果オーライだと思います。

つまり「サージェント・ペパーズ」は壮大なモザイク!?!

これだけ緻密な造り物だというのに、何度聴いても飽きることがないのは驚異的どころか、その度に新しい発見があるような気にさせられるのです。

まあ、正直言えば、最初は苦行でした。特にお香が立ちのぼってくるようなB面ド頭の「Within You Without You」は大の苦手で、反則とはいえ、2曲目の「When I'm Sixth-Four」から聴いていたほどです。

しかし、それではダメなんですよねぇ。今は逆に、その「お香」が立ちのぼらないと満足出来ず、もしかしたら、このアルバムの中で一番好きな曲になったのかもしれません。

う~ん、時の流れって、本当に偉大ですね。

その意味で、永遠に不滅なのが、「Good Mornig Good Morning」の動物の鳴き声コラージュから「(Riprise)」を経て「A Day In The Life」へと繋がるクライマックスで、粗野なハードロックへの拍手歓声の中から生ギターのシンプルなストロークが出てくる瞬間の静謐な不安感は、本当に中毒症状を引き起こします。

ジョンのひしゃげたようなボーカルも最高の極み♪♪~♪

そして、ぐわぁぁぁ~~~ん、と盛り上がるブチキレのオーケストラからピアノがトドメの一撃を加える大団円! さらに意味不明のおしゃべりまで、これがやっばり唯一無二の凄さでしょうねぇ~♪

ちなみに、このアルバムはステレオとモノラルの両バージョンにおいて、夥しく明快な違いが随所に存在することは有名ですが、あえてサイケおやじはステレオバージョンを優先させます。と言うのは、これだけ凝りに凝った音が堪能出来る作品をモノラルという一方通行では勿体無いと思うからです。左右に広がったり、移動したりする様々な音の楽しみを粗略にするのは、あまりにも……、でしょう。

もちろん、モノラルバージョンにも、ちゃんとした魅力がある事は認めたうえのことです。

ただし、我国ではリアルタイムでステレオバーションしか発売されていませんし、それに馴染んだ耳と気持では、モノラルバージョンは違和感と新発見の面白みばかりが優先され、肝心の「サージェント・ペパーズという音楽」を聴く気持が殺がれてしまうように思います。当然、逆もまた、真なり! これは否定出来るものではありませんが……。

それと最初に私が聴いたのは、東芝のオデオン盤ですが、当時の日本盤の慣例となっていた歌詞カードや解説書の付属がありません。また海外盤に封入されていた、変装セットの切り抜きカードもありませんでした。

というか、そんな事は知る由もなかったわけですが、後にそうした付録を目当てに外盤を買ったのも、新たな発見への道となりました。

ちなみに裏ジャケットには堂々と全曲の歌詞が印刷されていますが、これも諸外国では画期的な出来事だったとか!? ポールだけが後ろ向きというのも、後の死亡説を誘発する巧みな演出とすれば、流石だと思います。

ということで、もうひとつ告白すれば、この時の私は従妹からストーンズの我国独自のベスト盤LP「あなたが選んだゴールデンアルバム」を一緒に借りていたんですが、サイケおやじの感性には、既にストーンズがジャストミートしていた事を追記しておきます。

「サージェント・ペパーズ」の鑑賞修行を終えた後に鳴らすストーンズの心地良さ♪♪~♪ これは絶品でしたねぇ~~♪

あっ、いかん! 決してストーンズを云々する場ではありませんね。

ビートルズとストーンズの魅力は別物です!

そして「サージェント・ペパーズ」の最大の魅力は、これだけ凝った中に、がっちりと「ロックの音」が封じ込められている事じゃないでしょうか?

本当に、そう思います。

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ジミヘン・ファンキーなアイズリー

2009-09-06 12:32:51 | Soul

The Isleys Live (T-Neck)

最初にアイズリー・ブラザーズを知ったのは何時頃だったのか、ちょっと明確ではありません。ただ、ビートルズで有名な「Twist & Shout」のオリジナルバージョンを演じていたのが、この黒人兄弟グループだったという事は知っていました。

それを教えてくれたのは、他ならぬジミ・ヘンドリックスのレコード付属解説書だったんですが、それというのも、ジミヘンは下積み時代にアイズリー・ブラザーズのバックバンドのメンバーとして、巡業はもちろんの事、普段から彼等の家に下宿していたほどの間柄だったとか!

そしてジミヘンが大スタアになった後には、その頃の録音を集めたアイズリー・ブラザーズ名義のアルバムまでが、ジミヘンをウリにして発売されたほどです。

しかし我国でアイズリー・ブラザーズがリアルタイムで人気があったかと言えば、それは疑問です。少なくとも、私がアイズリー・ブラザーズを強く意識したのは、昭和49(1974)年以降の事です。

以前にも書きましたが、私は幸運にもこの年、3ヵ月ほどアメリカへ行くことが出来ました。そこでは後の私の趣味嗜好に多大な影響を受けた様々な事象に出会ったのですが、本日の主役たるアイズリー・ブラザーズとの出会いも、そのひとつでした。

それはラジオから流れてきたアイズリー・ブラザーズのライプ演奏で、これは途中から聴いたので、最初はアイズリー・ブラザーズと知る由もなかったのですが、そこで大暴れするギターが非常にジミヘンしていました。

で、途中から、これはアイズリー・ブラザーズの演奏だとラジオのDJから告知されるのですが、その瞬間、これは絶対ジミヘンがバックをやっていた頃の音源!?! と直感したのです。

しかし、それは大間違いでした。

と言うよりも、演じられている音楽そのものが、明らかにジミヘンが存命中の大衆音楽とは違っています。R&Bでも無し、ロックでも無し、まあ、それはジミヘンがやっていたことではありますが……。

正解はアイズリー・ブラザーズが当時の最先端を行くファンキーソウルを披露した、本日ご紹介のライプ盤だったのです。

 A-1 Work To Do
 A-2 It's Too Late
 B-1 It's Your Thing
 B-2 Pop That Thang
 B-3 Love The One You're With
 C-1 Lay Lady Lay
 C-2 Lay Away
 D-1 Ohio
 D-2 Machine Gun

まず特筆されるのは、演奏そのものがR&Bやソウルミュージックには「お約束」のホーンセクションを使っていないということです。しかも大胆にロックのグルーヴを取り入れ、それはサイケデリックとかニューロック、あるいはハードロックという範疇で語ることも可能な、極端に言えば白人音楽に近いものがあるのです。

そして演目も、キャロル・キングの「It's Too Late」やボブ・ディランの「Lay Lady Lay」、さらにCSN&Yの「Love The One You're With」や「Ohio」という、如何にもの選曲になっていますから、演奏は推して知るべし!

録音と発売は1973年、当時のアイズリー・ブラザーズはオーケリー、ルドルフ、ロナルドの3人がフロントのボーカル担当で、もちろん1950年代から活動を継続してきた実の兄弟ですが、ここではさらにアーニー(g) とマーヴィン(b) という弟2人、そして従兄弟のクリス・ジャスパー(p,key) を加えてファミリーの絆を強め、他にカール・ポッター(per,ds)、ネイル・バース(ds,per) をサポートに迎え入れてのファンキーロック大会が披露されています。

そして言うまでもなく、アニー・アイズリーのギターが完全にジミヘンしているんですねぇ。

ちなみにアイズリー・ブラザーズは既に述べたように、1950年代から活動しているわけですが、その時代の流れの中で、正統派R&Bの「Shout」や「Twist & Shout」といった大ヒットを出しつつ、様々な弱小レーベルを渡り歩き、1960年代中頃にはモータウンに在籍し、ロッド・スチュワートにカパーされた「This Old Heart Of Mine」を出しているのは一際有名でしょう。

しかし、それで潔しとしないのが、アイズリー・ブラザーズのしぶとさ! 自らが設立していた制作会社のTネックをフルに稼働させ始めたのが1969年で、いきなりファンキーど真ん中の「It's Your Thing」という特大ヒットを放ちますが、もちろん我国では知る人ぞ知る……。

反面、アメリカ本国では大変な人気を呼び、この頃から前述の弟&従兄弟を加えた6人組+サポートメンバーというレギュラーバンド形態が確立したようです。

その音楽性は、ジェームス・ブラウンを開祖とするR&Bファンクを更にハードロックで色付けしたものと言っては極端でしょうが、このロック色というのが、実は大きな魅力です。実際、我国で意味不明のブームとして広まった「フリーソウル」なんていう分野では、この当時に残されたアイズリー・ブラザーズのスタジオ録音盤が人気を集めたわけですが……。

そこで本日ご紹介のライプ盤は、その極みつきが堪能出来るとうわけです。

まずド頭の「Work To Do」はピアノのイントロからして山下達郎状態! というよりも、実は逆なんですが、このライプ盤が大好きだった山下達郎が自らのライプを作る時にお手本としたのが、このアルバムだったというのは有名なエピソードらしいですね。もちろんアイズリー・ブラザーズの熱気に満ちた歌と演奏は最高なんですが、これとて、実は露払いにすぎません。

続く「It's Too Late」はお馴染みのキャロル・キングのメロディを粘っこく、スローファンクに仕立上げていくバンドのグルーヴが心地良く、甘いコーラスと情熱のボーカルに加えて、コンガが絶妙のアクセントを提供しています。そしてお待たせしました! アーニーのジミヘン系ギターが強烈に炸裂する展開には歓喜悶絶♪♪~♪ 独得の間合いで蠢くエレキベースもシンプルに良い感じですし、ピアノがこれまた味わい深いですよ。実は私が最初に聴いたのが、このパートでした。

さらにB面に入ってはファンキーロックの火花が飛び散る「It's Your Thing」と「Pop That Thang」の同系演奏2連発! ヘヴィで粘っこいロックビートが単なるファンクを超越せんとする勢いが全く熱いのですが、それを爽快な気分に転換させてくれるのが、スティーブン・スティルスでお馴染みの「Love The One You're With」ですから、たまりません。もちろん、あの楽しく弾むようなリズムとラテンビートの融合が、ここでは熱血ファンクへと結実していますし、一緒に歌えるコーラスは「お約束」の楽しさでしょう。

そしてC面は、そうしたロック味を引き継ぎながら、メロウソウル仕立の「Lay Lady Lay」が、なかなかに和みますよ。ただし続く「Lay Away」は正統派すぎて、些か暑苦しいというご意見もございますが、しかしアーニーのギターは、もう最高♪♪~♪

こうして迎えるD面は、文句無しの大団円!

ニール・ヤングの「Ohio」にジミヘンの「Machine Gun」という、ベトナム戦争所縁の名曲メドレー! 大胆なソウルフィーリングでフェイクしまくったボーカルが熱すぎる前半、そこに炸裂するアーニーの爆発的なジミヘンギター!

あぁ、何度聴いても興奮します!

おまけに後半では、ジミヘンもどきの真骨頂となる「Machine Gun」がゴッタ煮されますからねぇ~♪ 当然ながらエレキギターで作り出される機銃掃射の擬音は、ドラムスやベースと激しく呼応し、さらに熱いボーカル&コーラスを煽るのです。また最後の最後では、ジミヘンに捧げる独白の如きギターパートも用意されていますよ。

ちなみにアーニーが、どうしてこうもまたジミヘンなのか!?

これは私の勝手な妄想なんですが、おそらくは子供の頃から自宅に下宿していたジミヘンに、それこそ間近に接していた影響が必ずあると思います。

ということで、これもサイケおやじの愛聴盤のひとつです。ただしちょいと録音がモコモコというか、おそらく狭い会場での録音だったのでしょう。音が回りきった状態なのが、昔っから賛否両論でした。

しかしそれゆえに尚更の熱気が充満した雰囲気というか、前述したように、あえてそれを大切してしまう山下達郎のような追従者もいるわけで、このあたりは聴いてからの十人十色でしょうね。

現在ではCD化もされているようですから、ぜひっ!

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洋食屋の平山三紀が好き♪

2009-09-05 11:44:15 | 歌謡曲

ビューティフル・ヨコハマ / 平山三紀 (日本コロムビア)

日本歌謡史に燦然と輝く大名曲「真夏の出来事」を歌ってしまったことで、平山三紀は永久に不滅の存在になっていますが、果たしてその事が良かったのか、否か……?

なんて書いてしまうと、きっと世界中の皆様から顰蹙でしょうねぇ。はい、お叱りは覚悟していますし、「歌ってしまった」と書いたのも、それゆえの覚悟です。

というのも説明不要かと思いますが、「真夏の出来事」はソウルミュージックを色濃く滲ませた洋楽ポップスの傑作歌謡メロディですし、その完成されたアレンジと演奏、悲しい出来事が起こらないように、直向きに瞬間を生きようとする女心の刹那の気持を綴った歌詞を、クールに感情移入した平山三紀が畢生の名唱♪♪~♪

それには素直にシビレて、私も大好きです。

さて、ここで少し話は変わりますが、世界中で一番、いろんな国の料理が食べられるのは日本だと言われています。

しかし我国で提供される諸外国の料理は、多かれ少なかれ、その味が日本人向けに改良されている内幕は言わずもがなだと思います。

それが究極に行ったのが、レストランではなく、洋食屋で出される料理だと思いますが、昭和も後期になると、「洋食屋」はダサいので、例えなんであろうとも「レストラン」の方がお洒落だという世相になりましたですね。

ところが更に年月が流れると、所謂「B級グルメ」の再発見に伴い、「洋食屋」の味わいが懐かしさとともに、新鮮な存在として注目されはじめました。

で、「真夏の出来事」は「レストラン」、そして「ビューティフル・ヨコハマ」が「洋食屋」じゃなかろうか?

というのが、本日の結論です。

この曲は「真夏の出来事」の前、昭和45(1970)年11月に発売されていた平山三紀のデビューシングルでしたが、当然のようにヒットしていません。

もちろん作詞:橋本淳、作曲:筒美京平という、「真夏の出来事」以降にも素敵な楽曲を彼女に提供し続けたゴールデンコンビなんですが、その曲調や歌そのものが、「真夏の出来事」と比較して、古臭いのは確かでしょう。

ご推察のように、この「ビューティフル・ヨコハマ」は、いしだあゆみの代表曲「ブルーライト・ヨコハマ」の続篇ともいうべき位置付けでしょう。当然、作詞作曲は前述のゴールデンコンビですが、異なる大きな味わいは、「ビューティフル・ヨコハマ」は「コブシ」がなければ歌えない楽曲だという点じゃないでしょうか。

実際、平山三紀の歌いまわしは完全に「コブシ」が全開しています。

が、しかし、流石は橋本&筒美!

重いビートの土台を固めるエレキベース、絶妙のアクセントに使われるタンバリン、ホーンセクションのイナタイ雰囲気の良さ、薄めのストリングも素晴らしいアレンジだと思いますし、何よりもエグイ味わいの平山三紀の声質を最初っから想定したと思われる曲作りの妙が、聴くほどにジワジワと効いてきますが、いかがなもんでしょう。

繰り返しますが「真夏の出来事」は、あまりにも洗練されていました。それゆえに、その後に「ビューティフル・ヨコハマ」を聴くと、なんてダサイ……!? これが正直な気分でしょう。

以降の彼女は、さらに洋楽テイストを強めた楽曲を歌い続け、それはロックやソウルしか聴かない青少年にも末長く愛され、また昭和歌謡曲を追体験される皆様からも、絶大なる支持を獲得しています。

しかし私は、もちろん「真夏の出来事」は大好きですが、「ビューティフル・ヨコハマ」路線の彼女の「コブシ」を、もう一度ど聴かせて欲しいと念じつつ、今日まで来てしまいました。

「真夏の出来事」が「レストラン」、「ビューティフル・ヨコハマ」が「洋食屋」という構図を強引に描き出したのは反省するところです。

しかし、やはり古いタイプのサイケおやじは「洋食屋」を、こよなく愛しているのでした。

ビュ~ティ~フルな、お話ねぇ~~♪

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ここ一番のブライアン・オーガー

2009-09-04 11:08:57 | Rock Jazz

Second Wind / Brian Auger's Oblivion Express (Ghost Town / Polydor)

ジャズロックとロックジャズが、どう違うのか?

その議論からはひとまず逃げながらも、私は初期イエス、初期スティーリー・ダン、ジョン・マクラフリン、ジェフ・ペック……等々と並んで、いや、もしかしたら中でも一番好きなミュージシャンがブライアン・オーガーかもしれません。

キャリアのスタートはR&Bやモダンジャズというオルガン&ピアノ奏者ですが、イギリスという土地柄ゆえでしょうか、次第にブルースロックからソウルジャズに傾倒! ついに1967年になって自己のバンドを結成し、そのトリニティ名義で「オープン」という隠れ名盤を出しています。

しかし、この人は愚直なまでに頑固な生き様というか、決して世渡りは上手くないようですねぇ……。

イギリスや欧州では相当な力を持っていたマネージメントのジョルジオ・ゴメルスキーとの関係も上手くいかず、それは自分の道か、お金への執着かという二者択一とはいえ、その一途な情熱が、残された作品群に顕著に感じられるのは確かです。

つまり売れなくとも、好きな人には、たまらなく好きになるしかない! そんな演奏ばっかりなんですよ。

さて、本日ご紹介のアルバムは、ブライアン・オーガーが前述したジョルジオ・ゴメルスキーと別れ、独力で結成したオプリヴィオン・エクスプレスという新バンド名義の3作目ですが、発売された1972年当時としては最高にハードでカッコ良すぎるロックジャズが満載♪♪~♪ 前2作にあった迷いが見事に払拭された名盤だと思います。

メンバーはブライアン・オーガー(p,el-p,org) 以下、アレックス・リジャーウッド(vo,per)、ジム・ミュレン(g)、バリー・ディーン(b)、ロビー・マッキントッシ(ds) という、今でもちょいと無名に近い面々ですが、その腕前は強靭無比!

A-1 Truth
 重いビートとキメまくりのリフ、随所に仕掛けられた罠を潜り抜けて披露される演奏は、強靭なグルーヴとロックだけが持つ爽快感に満ちています。作者の強みを活かしたアレックス・リジャーウッドのボーカルも、実に熱いですよ。
 う~ん、しかしこれは、最初に聴いた時から唸ってしまったんですが、曲の構成やキメが、前年に発売されたジェフ・ペックのリーダー盤「ラフ・アンド・レディ(Epic)」に収録の「Situation」に、丸っきりのそのまんま!?! もちろん歌詞は変えてあるんですが、実はアレックス・リジャーウッドは、そのジェフ・ペックのアルバムセッションに最初は参加しながら、ソリが合わずに追い出されたと言われています。そうした経緯から、「Situation」はジェフ・ペックが書いた曲ということになっていますが、ご存じのように、ジェフ・ペックは曲が作れない有名ロックスタアの筆頭ですからねぇ……。何となく裏事情が読めてきそうな感じですし、曲タイトルも意味深!?!
 まあ、それはそれとして、とにかくここでの熱気溢れる演奏は圧巻!
 言ってはならないとは思いますが、ジェフ・ペックの「Situation」と比較しても、こちらが好きな皆様も多いんじゃないでしょうか。
 ジム・ミュレンの白熱のギター、ブライアン・オーガーのエキセントリックなオルガンとモード節が出まくったピアノのアドリブ! ヘヴィなビートを提供するベースとドラムスのコンビネーションも最高ですが、中でもハードロックがど真ん中の大嵐から、ブライアン・オーガーがピアノで見事なモダンジャズへと場面転換を演じる瞬間は、ゾクゾクして感涙悶絶♪♪~♪ ロックジャズを聴く喜びに満ちていると思います。 

A-2 Don't Look Away
 ファンキーフュージョンのブリティッシュロック的な展開とでも申しましょうか、歯切れの良いファンクビートに抑揚の無い曲メロ、さらに怖いキメを多用したブライアン・オーガーのエレピが、極めてジャズっぽいアドリブを披露しています。
 このあたりの無機質なグルーヴは、完全に同時代ではクロスオーバーと呼ばれたフュージョン前期のモデルケースのひとつだと思います。何よりもバンドとしての一体感が最高ですね♪♪~♪
 ちょっと聴きには馴染めない演奏かもしれませんが、中毒症状は必至でしょう。

A-3 Somebody Help Us
 これは初期スティーリー・ダンを更にハードした雰囲気が濃厚!
 アップテンポで痛快なリズムギターを聞かせてくれるジム・ミュレンは、井上バンドの「太陽にほえろ!」ですよっ。思わずニヤリとする皆様が、きっといるはずです。
 そしてアレックス・リジャーウッドは、この曲調では、当然ながらドナルド・フェイゲン風になるのですが、ここぞっ、での熱血シャウトは、やはり一味違います。
 また、それに追い撃ちをかけるのが、ブライアン・オーガーの激走するオルガンアドリブ♪♪~♪ このスピード感、実にたまらんですねぇ~♪

B-1 Freedom Jazz Dance
 さてさて、これはタイトルからしてもご推察のとおり、エディ・ハリスが畢生の名曲に独自の歌詞が付けられた人気演奏♪♪~♪ モダンジャズではフィル・ウッズやマイルス・デイビス……等々、有名なバージョンが数多残されていますが、ロックジャズではブライアン・オーガーを外すわけにはいきません。
 実際、ハードロックなボーカルとファンクビート主体の演奏パートが、ジワジワとリスナーを興奮させてくれる、その高揚感がクセになります。ミディアムテンポで深みのあるリズム、またビートのヘヴィな躍動感は、決して一筋縄ではいきませんが、安直な快楽主義に走らないブライアン・オーガーの頑固な姿勢が、そのまんまの凄みになっているようです。

B-2 Just You Just Me
 これまたアップテンポのファンキーロックで、いきなり緊張感を撒き散らすギター、刹那的なボーカルが曲メロを愚直に歌う背後からは、バンドの陰湿な思惑が滲んできます。しかし、これが実に心地良いですねぇ~♪
 そのフィール・ソー・グッドな時間を提供してくれるのが、ブライアン・オーガーのエレピという仕掛けがニクイばかり♪♪~♪ ただし、それとて快楽主義を優先させているわけではありません。あくまでもハードなグルーヴを追及しつつ、人生「苦」もありゃ、なんとやら♪♪~♪
 こういう、そこはかとないロックジャズのソウル風味こそが、このバンドの特異体質かもしれませんね。私は好きです。

B-3 Second Wind
 アルバムタイトル曲はプログレ風味も強いゴスペルフュージョンのヘヴィロック!
 と、例によって回りくどい表現しか出来ませんが、勿体ぷった中にもジワジワと表出してくるストレートな熱気が良い感じです。ただし一抹の重苦しさが、賛否両論でしょうねぇ……。

ということで、当時のブライアン・オーガーは経済的に相当に苦しかったと言われています。なにしろ巡業移動の交通費にも事欠き、レコーディングでは借金だらけ……。このあたりは弱小のプロレス団体のようですが、しかし何時だって手抜きをしない姿勢は、ようやくこの頃になって認められ、このアルバムも真っ当な売れ行きを示したそうです。

実際、私はこのアルバムによって、ますますブライアン・オーガーのロックジャズ天国へと導かれ、コンプリート収集の道を模索し始めたのです。

しかし現実はやはり厳しく、ようやく売れかけたバンドからはジム・ミュレンとロビー・マッキントッシが去ってしまい、ここで聞かれた熱血のロックジャズは、二度と再現されることがありませんでした……。

ちなみにロビー・マッキントッシは直後にアベレージ・ホワイト・バンドの結成に参加しているとおり、もっとソウルファンク的な演奏がやりたかったのかもしれません。

その意味ではブライアン・オーガーも、続くレコーディングでは黒人系のグルーヴを旗幟鮮明に追及していくのですが、個人的にはそれも好きとはいえ、だんだんと普通のフュージョンになっていたったのは残念……。

やはりロックジャズを演じているブライアン・オーガーが、一番好きなのでした。

近年はCD化もされておりますので、ぜひともお楽しみ下さいませ。特にA面ド頭の「Truth」は必聴ですよ。

コメント (4)
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ちあきなおみ、もう一度!

2009-09-03 11:40:10 | 歌謡曲

雨に濡れた慕情 / ちあきなおみ (日本コロムビア)

昭和歌謡曲といえば、それを代表する女性歌手のちあきなおみを抜きにしては語れません。

昭和47年のレコード大賞曲「喝采」、それ以前のコミカルなお色気路線、また「矢切の渡し」等々の正統派演歌からニューミュージック、懐メロや洋楽、さらにジャズ風味のポップス路線と、何でもござれの実力派ですが、そのいずれもが「歌謡曲」というスジの通し方は、流石だと思います。

その歌の上手さは、とにかく圧倒的!

さて、本日のご紹介は昭和44(1969)年6月に発売された、ちあきなおみのデビューシングル曲で、リアルタイムでは小ヒットでしたが、その洗練されたポップス性と正統派歌謡曲の味わいが見事に融合した名曲名唱になっています。

まず全体のサウンド作りが、当時の流行最先端というCTI系イージーリスニングジャズですよ♪♪~♪ 弾むピアノとグルーヴするエレキベース、軽いボサロックのドラムスにミステリアスなストリングが素晴らしくお洒落ですし、ギターはもちろんジャズロック♪♪~♪

そして肝心のちあきなおみのボーカルが、洗練された曲メロを大切にしながらも、実に自然体の「コブシ」を披露してくれます。

あぁ、この節回しの魅力は、ちあきなおみが永遠の歌の女神として降臨した証でしょう。

ちょっと鼻にかかったような声の伸びやかな表現は唯一無二だと思いますし、少しばかり虚無的な歌詞に絶妙の湿りっ気を含ませるあたりが、強い印象を残します。

ご存じのように彼女は幼少の頃から歌の道に入りながら、一緒に米軍キャンプ回りや有名歌手の前座をやっていた弘田三枝子や伊東ゆかりの後塵を拝しての下積みが長く続きました。

しかし、その歌手としての実力を高く評価していた当時の所属プロダクションの力もあって、昭和43(1968)年にはコロムビアのオーディションを通過し、このデビュー曲を書いた鈴木淳に預けられたところから、翌年の正式なレコードデビューとなったのです。

そこまでの経緯は、昭和49年10月にレコーディングされたライプ盤「ちあきなおみリサイタル(JDX7047-8)」に収録の「私はこうして生きてきました」という半生告白の歌に集約されていますが、続けて、このデビュー曲が歌い出される流れには、思わずウルウルしてくるほどですよ♪♪~♪

そして彼女は順調にスタア歌手への道を歩み始め、ついには頂点に輝きながら、夫で俳優の郷治との死別以降、全く活動を停止してしまったのは残念至極……。そのステージでの生歌を一度も聴く機会がなかった私は、それを今もって後悔しているほどです。

ただし奇蹟的にも、私はちあきなおみに、唯一度だけ、身近に接したことがあります。

それは今から18年も前になりましょうか、多分広尾だと記憶していますが、某喫茶店に入ったところ、そこは郷治が経営している店でした。そして本人が自ら、あの苦みばしった表情で、とても美味しい珈琲を入れてくれたのですが、なんとその時、ちあきなおみが店にやってきて、私の頼んだ珈琲を運んでくれたのです♪♪~♪

どうです、羨ましいでしょう。

ただし、その時の私は、憧れのスタアふたりを前にして、ガチガチに緊張してしまったですよ。実は仕事の打ち合わせだったんですが、もう、頭の中は真っ白でしたねぇ。流石にサインを頼むという非礼を慎むのが精一杯……。

ということで、ますます、ちあきなおみが大好きになった私です。

思えば彼女がデビューした頃はミニスカ全盛期でしたから、隠しきれないお色気がいっぱいというちあきなおみが、その二十歳前のエロスが滲む女の魅力を発散させるのは当然でした。もちろんサイケおやじの性癖嗜好にはジャストミートのお姉さん系♪♪~♪

基本的には愛嬌顔でありながら、本質的なスケベ心を刺激する面立ちと熟れた肉体、そして歌で表現される様々な愛の形や人生の機微、そうしたものの最高峰が、ちあきなおみであることに間違いはありません。

残された音源は全て絶大な価値があると断じて憚りませんし、テレビ出演も多かったわけですから、そうした宝石を纏めたボックス物も出ていますが、まずは、このデビュー曲は決して外せないところでしょう。

ちなみにB面に収録の「かなしい唇」は、全くのド演歌ですよ♪♪~♪ しかし、これも彼女ならではの味わいが絶品!

ちあきなおみの復活を心から願っています。

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中村晃子、それだけでいい!

2009-09-02 12:23:35 | 歌謡曲

虹色の湖 / 中村晃子 (キング)

その全盛期は、やはり昭和40年代前半という中村晃子は、現在でも歌手活動を続けておりますが、本来は松竹の女優さんでした。それが昭和37(1962)年からの事で、主に青春映画で溌剌とした演技を披露していたそうですが、私はリアルタイムでは観たことがありません。

ただし、中村晃子が歌手として成功した後、幻の主演作品として今や伝説の「ちんころ海女っこ(昭和40年・前田陽一監督)」は観ることが出来ました。もちろん離島の美少女海女♪♪~♪ ですからねぇ~♪ 期待どおりの美味しい場面はちゃ~んとあるんですが、むしろ乙女心の繊細な演技演出をきっちりと見せてくれたことが、失礼ながらちょいと意外な素晴らしさです。

そして当時の映画スタアは「歌う」ことが当然の成り行きから同年には、いよいよ歌手デビューするのですが、幾枚か出したシングル盤はそれなりの名曲もありながら、ヒットしていません。もちろんリアルタイムで出演していた映画の中でも、歌う場面はあったそうです。

こうして泣かず飛ばずの時代が続いた後の昭和42(1967)年、ついて大ブレイクを果たしたのが、本日ご紹介のシングル曲! 覚え易くてミステリアスなムードのメロディーは、どなたも聞いたことがあるはずです。

それは今日、エレキ歌謡の定番になっているほどのGSブームを背景にした名曲名唱なんですが、ここで聴かれるグッと重心の低いビート、テンションの高いドラムスにアタックの強いエレギベースの存在感、そして中村晃子の分厚いボーカルのグルーヴからは、明らかにアメリカ南部ソウルの味わいが感じられます。地味ながらキレのあるリズムギターも良い感じ♪♪~♪

そこにはフェイムスタジオ等々で作られるサウンドのキモが確かにあって、しぶといストリングやコーラスのイナタイ雰囲気が絶妙なんですねぇ~♪

このあたりは同じキングレコードに所属していたピンキーとキラーズの初期楽曲にも残されている魅力ですから、これがヒットしなかったら歌謡曲の神様が怒るでしょうね。翌年の大ヒット「恋の季節」なんか、モロ! ちなみにピンキラは当初、セルジオ・メンデス系のボサノバグループとして企画されていたそうですから、吃驚しますよ。

閑話休題。

で、歌手としてスタアになった中村晃子は、もちろん映画出演も続けており、GS映画の名作「進め!ジャガーズ・敵前上陸(昭和43年・前田陽一監督)」では、堂々のヒロイン役として、この曲を熱唱しました。ちなみに劇中でのバック演奏は、当然ながらジャガーズというのも、嬉しかったですねぇ~♪

そして歌手としても、ノリノリだったのが昭和43年♪♪~♪ 「砂の十字架」「なげきの真珠」というエレキ歌謡ど真ん中の連続大ヒットは、今日でも不滅でしょうが、随所に光る「コブシ」の魅力にも、ハッとさせられるほどです。

あぁ、これが昭和歌謡曲の魅力だと思います!

また翌年に出した「涙の森の物語」が、実にカッコ良いソウル歌謡の大名唱♪♪~♪ ご存じ、「白鳥の湖」をモチーフにしたイントロから、アップテンポのピートが炸裂する場面転換が実に鮮やか演出となり、グイノリでエグイ中村晃子ならではのボーカルが素晴らしすぎる仕上がりになっていますよ。これも必聴!

他にもこの年には、お色気ボサノバ歌謡の「ローマの灯」や、フォークロック歌謡の「風とバラの荒野」という隠れ名曲を連発しています。

ところが昭和45(1970)年に入ると、何故かヒットが出なくなり、ついに彼女も決意のセミヌードまで披露して発売したのが、今日では昭和歌謡曲のR&B部門では最高峰のひとつとなった「裸足のブルース」でした。しかし、それも結局は……。

以降、中村晃子は苦闘の時代と言っては失礼でしょうが、細川俊之とデュエットしたカパー曲の「甘い囁き」とか、ピアノの弾き語りが印象的な「恋の綱渡り」がヒットしたぐらいなのが、残念です。

歌手としての実力もあり、ルックスも魅力的だった彼女が、何故に人気を落としていったのかは、個人的に納得出来ないものが多々あります。

もちろん堅実な演技力がありますから、ロマンポルノのヒット作「待ちぬれた女(上垣保朗監督)」にも主演していますが、一時の流行だったヘアヌード写真集だけは??? まあ、本音は古本で買ってしまった……(自嘲)。

ということで、やっぱり中村晃子は忘れえぬスタアです。特にご紹介したシングル曲を筆頭に、昭和40年代前半に残されたレコーディングは最高!

昭和歌謡曲の輝ける宝石として、お楽しみくださいませ。

ちなみに全盛期の彼女は自分が可愛がっていた「小鳥のピーコ」と、何時も一緒にテレビや映画に出ていたのも、懐かしいです。

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満足と違和感のオールディーズ

2009-09-01 08:43:53 | Beatles

A Beatles' Collection Of Oldies (Parlophone / 東芝)

大傑作EP「マジカル・ミステリー・ツアー」によって、ようやく私がサイケデリック期のビートルズに目覚めたは、昭和43(1968)年春のことでした。そして発売から既に9ヵ月以上経っていた世紀の名盤「サージェント・ペパーズ」を真剣に聴いてみようと覚悟を決めたのですが……。

ここにひとつ、大変に魅力的な「壁」が存在していました。

それが本日ご紹介のアルバム「オールディーズ」です。

ご存じのように、これは英国パーロフォンが独自に編集発売した、ビートルズ初のベスト盤! その経緯は1966年のクリスマス商戦用の企画だったわけですが、毎年恒例として出されていたビートルズの新作が、この年には用意出来なかったのが真相です。理由はもちろん、ビートルズがコンサート活動を止め、メンバーがそれぞれの活動を始め、レコーディングセッションも停滞していたからに他なりません。

そしてイギリスでは予定どおり、その年の12月に発売されるのですが、その所為でしょうか、表ジャケットにはメンバーの写真が使われず、しかもイギリスでのオリジナル作品としては、初めてチャートの1位を逃したアルバムとなりました。

しかし中身は極上の名曲揃いですから、やはり魅力は絶大!

 A-1 She Loves You (simulated)
 A-2 From Me To You
 A-3 We Can Work It Out / 恋を抱きしめよう
 A-4 Help!
 A-5 Michelle
 A-6 Yesterday
 A-7 I Feel Fine
 A-8 Yellow Submarine
 B-1 Can't By Me Love
 B-2 Bad Boy
 B-3 Day Tripper
 B-4 A Hard Day's Night / ビートルズがやって来るヤァ! ヤァ! ヤァ!
 B-5 Ticket To Ride / 涙の乗車券
 B-6 Paperback Writer
 B-7 Eleanor Rigby
 B-8 I Want To Hold Your Hand / 抱きしめたい

という全16曲のテンコ盛りも大サービスですが、特筆すべきはこの時点でイギリスはもちろん、我国でも未発表だった「Bad Boy」が入っていることでしょう。また、これまでモノラルでしか聴けなかった曲のステレオバージョンでの収録にも、グッと惹きつけられます。

実際、我国では昭和42(1967)年2月頃の発売だったと思いますが、この曲数で2千円というコストパフォーマンスの良さもあって、相当な勢いで売れていたはずです。しかしサイケおやじは例によって、経済的な理由からリアルタイムでは入手出来ず……。

ですから、一念発起して「サージェント・ペパーズ」を買う決心をしても、そのお金があるのなら、本質的に気が弱いサイケおやじは安全策というか、結局はこの「オールティーズ」を先にゲットしてしまったんですねぇ。

それが本日掲載した「東芝オデオン盤」です。

ちなみに私はその頃までに、ビートルズのシングル盤やEPは何枚か持っていましたし、一応は日本盤LPの主要なところを従姉から聴かせてもらい、また個人的には「ヘルプ」と「ラバーソウル」を所有していて、それこそ連日連夜、聴きまくっていた前科ゆえに、いくらベスト盤とはいえ、ダブっている曲をまた買うというのは、幾分の抵抗があったのは事実です。

しかしそこは「ステレオバージョン」と「未発表曲」という、非常に美味しい撒き餌につられてしまったというわけです。

ところが、聴いて仰天!

まずA面ド頭の「She Loves You」が、日本盤の「EP第1集」に続いて、またまたの疑似ステレオ!?! いきなりの詐欺にやられた気分でした。

そして、さらに追い撃ちの驚愕的事実として、A面2曲目の「From Me To You」では、なんとシングル盤では聴かれたイントロのハーモニカが入っていないのです!?!

あぁ、こんな強烈な2連発があるでせうか!!?!

また、この時点で初めて聴けたステレオミックスの「恋を抱きしめよう」「I Feel Fine」「Day Tripper」「Paperback Writer」「抱きしめたい」が実に新鮮♪♪~♪

特に「Paperback Writer」はシングル盤のモノラルミックス以上に躍動するポールのエレキベースが感動的ですし、テープ編集の痕跡がリアルに感じられたり、リンゴのドラムスも生々しくて最高!

それと前述の「EP第1集」では疑似ステレオだった「抱きしめたい」が、ここではついにリアルステレオのバージョンが初登場♪♪~♪ ジョージのリードギターが、はっきりと目立つほど大きくミックスされていますよ。

そして気になる未発表曲の「Bad Boy」が、これまた実にカッコ良すぎるR&Rのカパー曲! オリジナルはアメリカの黒人歌手として我国でも人気の高いラリー・ウィリアムズで、ビートルズは他にもこの人のカパーとして「Slow Down」や「Dizzy Miss Lizzy」を録音していますが、いずれもジョンの強烈なシャウトと強引な節回しが最高の魅力でした。そしてもちろん、この「Bad Boy」も、それこそ何度聴いても飽きないどころか、その度にシビレまくって震えが止まらなくなるほど、感動の嵐!

あぁ、やっばり自分は、こういうビートルズが好きだぁぁぁぁぁ~♪

と思わず絶叫するのが、サイケおやじの偽らざる心境でした。

ちなみに今では有名な事実ですが、このアルバムのイギリス盤では、裏ジャケットに使われたメンバーの写真が「裏焼き」なんですねぇ~。そのショットは来日公演時に撮られたものですが、ポールが着ている羽織の文字が逆なので、大笑いでしょう。

しかし、この「東芝オデオン盤」では、流石にそれは訂正してありますし、当時はイギリス盤なんて拝むことも出来ませんでしたから、後に知っての「大笑い」もご理解願いたいところです。

ということで、今では「赤」「青」の両ベスト盤や各種編集盤が巷に出回っていますから、本質的には役割を終えたアルバムでしょう。それでも、ここに収録された「From Me To You」のハーモニカ抜きバージョンは、未だに公式なCD化は無いと思われますし、同時にステレオバージョンの存在そのものが貴重だと思います。

また詳細は長くなるので今回は割愛致しますが、「Day Tripper」についても厳密には、ここだけのバージョンです。ギターのイントロが左右両チャンネルに振り分けのダブルトラック録音というのは有名ですが、それが現行各種CD等々とは音の大きさのズレが異なるように感じます。ただし、これはあくまでもサイケおやじの感覚だと、お断りしておきますが、そういう十人十色に必要以上の拘りをさせられてしまうのも、ビートルズなればこそっ!

ですからオリジナルのアルバム&シングルは当然として、各種再発盤やベスト盤にまで神経を使わされるビートルズって、やっぱり罪深いんでょうか……。

う~ん、今日もまた不遜な締め括りになってしまいました。ご容赦下さい。

そしてサイケおやじの「サージェント・ペパーズ」への道は、まだまだ遠いのでした。

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