九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

保守系論客の歴史欺瞞・偽造を切る その11       千里眼

2006年11月16日 08時38分29秒 | Weblog
 <その4>
 「OSSに対してルーズベルトが与えた任務は」‥‥「単純な情報活動だけでなく、相手を心理的に参らせる謀略的宣伝を行うこと、さらに正規の戦争と対応した破壊活動を行うこと。これらは明らかに敵の社会を混乱に陥れるという、一見、戦争の一環のように見えるが、これだけ独立させると、革命運動につながる政治性をもっていたと考えられるものである。その点ではこれが、戦争とともに、隠れマルクス主義、隠れ共産主義の運動になりえたのである」と言う。

* 戦時中の後方霍乱の工作は、革命に通ずる内容を持つとし、それゆえ、それが「隠れマルクス主義」・「隠れ共産主義」の運動になりえた。と田中英道氏は論じている。こういう見方ができるとは、私には考えもつかない。これでは、なんでも革命に結びつけることができることになる。                         パターン11.誇大妄想のレトリック

<その5>
 「重要なのは、この野坂の天皇論が『日本革命の二段階論』と国務省で言われるようになり、GHQの重要な案件になったことである。天皇制廃止を主張せず、かえって軍部と対立させる、というもので、‥‥」「これは41年の段階でOSSが提案していたものであった」、この考えは、戦後、「国務省内の政策決定機関である極東小委員会で検討され、親委員会すなわち、極東委員会において若干修正されたうえで正式の政策となった。戦後の日本政策が憲法を含めて、このアメリカが『日本革命』の二段階論を支持した中で行われたことになる」と言う。

* 筆者の言う「GHQの重要な案件」の「案件」とは、どういう意味なのか。この場合には、きわめて曖昧な語句として使われている。二段階革命がGHQの政策として取り上げられたという意味で使われているのであろうか。とにかくGHQが二段階革命論に犯されていたと言いたいのであろう。
 上記引用の後半部分では、明快に二段階革命論が極東委員会で決定され、GHQはその政策のもと、占領政策を実施し、日本国憲法もその流れのなかで制定されることになった、と述べているのだ。
 二段階革命とは、「ブルジョア民主主義革命を経て、社会主義革命を達成する」という革命論のことである。
 そんな馬鹿げた見解はあるはずはないと、誰しも思うであろうが、現に田中英道氏はそう主張するのである。

<その6>
 自由党、進歩党などの「日本案に満足できなかったマッカーサーが、‥‥GHQの民生局長ホイットニーを呼び出し、憲法草案の作成を命じた。ケーディス大佐、ハッセー中佐、ラウエル中佐らが集まったが、そこには憲法の専門家はいなかった。」そこで‥‥「この人物(ラウエル中佐のこと)こそ、鈴木安蔵の憲法研究会案を英訳させて回覧させ、GHQの憲法草案に取り入れたのであった。鈴木安像は共産主義者であり、ノーマンも共産党員であった。」‥‥「ホイットニー、ケーディス大佐、ラウエル中佐 ニューディール政策を支持する民主党左派の「隠れ社会主義者」といってよい」‥‥「日本人は早くこの憲法が、共産党、社会民主党に支持されてきた理由を理解し、共産革命への第一段階を目指すものであったことを認識する必要がある」と言う。

* 憲法制定過程について、私はその詳細をしらない。日本の憲法研究会の草案が取り入れられて、GHQ草案になった、という筆者の記述が正しいかどうかは私には分らない。その経過については、後に調べ触れることになろう。
 民生局長ホイットニーを始め、主要な幹部が「隠れ社会主義者」であった。鈴木安蔵が共産主義者であった。という筆者の判断は何を根拠にしているのであろうか。ノーマンについては以前に記したとおりである。
                                   パターン11.誇大妄想のレトリック
 
まとめに変えて、この論文の論理の流れを整理しておく。

1. ルーズベルトのニューディール政策は、社会主義の計画経済を手本にしたものであり、それを支持推進したのは「隠れマルクス主義者」や「隠れ社会主義者」である。
2. アメリカ知識人に大きな影響を与えたフランクフルト学派は、「隠れマルクス主義者」である。
3. OSS(国家情報戦略局)は、これらの「隠れマルクス主義者」が多数、巣くっていた。
4. OSSの援助と支援で、中国共産党は政権を奪取できたのである。
5. OSSの戦時中の日本工作は、革命運動につらなる政治性をもっていた。それを進めたのはOSSの「隠れマルクス主義者」たちである。
6. 戦後の対日政策について、国務省はOSSの流れに乗って、「二段階革命論」を取り入れ、GHQに指示した。
7. GHQ民生局長ホィットニーを始め、幹部はニューディール政策を支持する民主党左派で、「隠れ社会主義者」である。
8. マッカッサーの指示のもと、彼等は、鈴木安蔵ら「共産主義者」の作った憲法研究会案を取り入れて、GHQ憲法草案を作った。
9. したがって、日本国憲法は、二段階革命の第一段階を達成するためのものであった。
 
 こうやって整理して見るとよく分るのだが、何でもかも「隠れマルクス主義者」「隠れ社会主義者」に仕立てられてしまう。そして、二段階革命の最初の段階、ブルジョア民主主義革命を達成するために作られたのが、日本国憲法だと言うのである。これが筆者のこの論文の中核的結論なのだ。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする