★JANJANでさとうしゅういち氏が正論を展開しています。 (ネット虫)
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民主党の小沢一郎幹事長の政治団体「陸山会」の政治資金報告書の虚偽記載について捜査していた東京地検特捜部は、2月4日に元秘書の石川知裕・衆院議員の拘留期限が切れることを受けて、石川議員を起訴するとともに、小沢さんについては「嫌疑不十分」で不起訴にする方針を固めた、ということです。
本当の事を言えば、これ自体がリーク記事で、けしからん話です。それはそれとして不起訴は当然だと思います。
なぜ「受託収賄」で立件しない?
今回の事件については、「事件」とさえ呼べるのか?という疑問がわきます。そもそも、特捜部は小沢さんが水谷建設からお金をもらい、それを不動産購入の原資に当てた、というシナリオを描いていました。
しかし、それを立証するだけの証拠などなかったのでしょう。ただ、水谷建設の元社長を「お前、小沢さんサイドに裏金を渡したよな」と締め上げ、「はい」という返事を得るのは簡単でしょう。
それをマスコミを通じて流す。それによって小沢さんに対して嫌がらせをする。そういう按配ではないでしょうか?
2009年3月3日に、小沢さんの会計責任者の大久保秘書が西松疑獄で逮捕された後にも似たようなことがありました。
「小沢さんから天の声があった」と、大久保秘書が反論できない西松建設元社長・国澤幹雄さん(執行猶予中)の裁判の冒頭陳述で検察官は主張しました。しかし、実際に「天の声」があったなら、特捜部はぼんやりしている場合ではありません。小沢さんを直ちに受託収賄で逮捕すべきなのです。
小沢さんは幹事長どころか、議員も辞職すべきでしょう。ところが受託収賄を立件もしないで「天の声があった」と「冒頭陳述」で主張するだけです。実に、奇怪ではありませんか?
「大岡越前」的風土悪用し、小沢さんに嫌がらせ?
結局、西松疑獄でも今回の「事件」でも、「立件する」だけのネタはないが、「小沢さんが怪しい」というイメージを拡散するためだけに東京地検特捜部は動いているように見えてしまう。
この西松疑獄では、小沢さんの大久保秘書は逮捕する一方、二階さんの腹心の泉信也被疑者(参院議員、元国家公安委員長)らは、検察審査会の不起訴不当議決にもかかわらず「不起訴」としてしまった。
地検特捜「不起訴」を2検事でキャッチボール-JanJanニュース
http://www.news.janjan.jp/living/0908/0908048286/1.php
そして、人々がすかっり事件を忘れたころに、政策秘書の略式起訴でお茶を濁してしまう。略式起訴ですから、正式裁判で、二階さんと西松の癒着が明らかにされる機会は失われました。野党だった小沢さんと違い、与党で閣僚を何度も務めた二階さんこそ、「職務権限ありまくり」で、小沢さんよりよほど「怪しい」と見られても仕方がない。なのに、この有様です。特捜部は国民をなめきっているのではないでしょうか?
西松建設「二階ルート」、なぜ忘れた頃に立件?-JanJanニュース
http://www.news.janjan.jp/government/0912/0911293795/1.php
残念ながら、まだまだ、逮捕された人=悪人という固定観念が国民にもマスコミにもある。まるで、裁判官=検察官だった時代劇「大岡越前」や「遠山の金さん」の時代が今でも続いているかのように、です。
政権交代を機に「大岡越前」「遠山の金さん」から卒業を-JanJanニュース
http://www.janjannews.jp/archives/2367321.html
そうした風潮をうまく利用し、東京地検特捜部は小沢さんの足を引っ張っています。
「週刊朝日」にも圧力、甚だしい特捜部の思い上がり
その上、今度は、検察に比較的批判的な報道を行なっていた「週刊朝日」に対する露骨な圧力をかけるという事件を起こしています。
ノンフィクション作家・岩上安身さんのTwitter( http://twitter.com/iwakamiyasumi/status/ )によると、以下のようなことがあったようです。
「重要! 検察から、週刊朝日編集部に、出頭要請があったのは、事実だった!、情報が二転三転して申し訳ない。以下が真相。今日の午前中、検察から週刊朝日に対して、文書が届き、すぐに来てくれ、捜査妨害だ、話を聞きたいと。明白な出頭要請が。
重要!2 この出頭要請情報は、たちまち外部にも流れたが、これに対して、検察は記者クラブを通じて、朝日新聞本社に圧力。なんと朝日新聞本社は、この圧力に屈して、週刊朝日編集部トップに対し、抗議文が来たことだけにして、出頭要請は伏せろと指示。
重要!3 本社の圧力に対して、週刊朝日編集部トップは抵抗したが、本社側の強い圧力に押し切られた。編集部の平部員や、外部に対しては、出頭要請はなかった、抗議文だけだったということにして、山口編集長は、明日、出頭することになるという。
重要!4、検察の異常な強権発動、それに唯々諾々と従う記者クラブ、権力に屈して、身内を売り、出頭がなかったことに偽装を強要する朝日新聞社、それらすべてに、断固として、抗議する。」
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検察に呼び出されることの恐怖は計り知れません。特捜部のやり方は、恫喝そのものです。もはや、「自分たちは、なんでもできる」「俺たちの邪魔をする奴は許さん」、と東京地検特捜部は思い上がっているのではないか?
このまま、彼らを放置すれば、戦前の特高警察のようになりかねないと思います。選挙で選ばれたわけでもない人間が、政治を左右するのはいかがなものか? 乱暴に言えば、国民が質の悪い政治家を選挙で落選させれば済む話です。
なんでもかんでも、政治家を微罪逮捕して弾圧、というふうにエスカレートしないようにすべきです。クリーンさを求めるはずの政治資金規正法も「治安維持法」になりかねない。
やはり今国会で可視化法成立を
わたしは、政府は取調べ可視化法案を是非成立させるべきだと思います。そうしないと、小沢さんの首と引き換えに検察と手打ちした、などという疑いを国民から招きかねない。
別に小沢さんのために可視化があるのではなく、足利事件の菅家さんや富山事件(女性暴行事件)、志布志事件(公選法違反のでっち上げ)などで、違法な取調べやでっち上げにより、多くの人の人権が蹂躙されている現実があるからです。
「国民目線」に戻り、企業団体献金禁止・取調べ可視化を-JanJanニュース
http://www.janjannews.jp/archives/2390649.html
そして、でっち上げ捜査や、強引な自白強要などがあれば、適切な指揮権発動を法務大臣が行なうべきです。選択肢として指揮権発動を除外してはいけないと思います。
「政治と金」より「もっと大事なことがある」
そもそも、「政治と金」ばかりを今の国政のメインテーマにするのは間違っていると思います。実を言えば、わたしは、野党第一党が政治と金で民主党を追及することに力を割きすぎる事を苦々しく思っていました。「もっと大事なことがある」と思っていました。「クリーンで無能」よりは「少々ホコリがあっても有能」な政治家のほうが良い、というのが合理的な判断だと思います。
政治資金では日本共産党は一番クリーンでしょう。無所属でいえば、浅野史郎さん(元宮城知事)は非常に金には厳しい。
しかし、多くの政治家なり政治勢力は、叩けば大なり小なりホコリが出てきます。もちろん、日本共産党が個人からの党費やカンパ、新聞で財政をまかなっているのは立派です。民主党もそういったしっかりした財政と組織を確立すべきだと思います。企業団体献金禁止に向かうべきです。
それはそれとしても、「今まで散々金権政治をやってきた自民党」が、「政治と金」ばかりを追及するのはいかがなものでしょうか?
国会審議で大事なのは、一にも二にも、生活再建、経済再建ではないでしょうか? 今はその議論に集中すべきだと思うのです。そうしないと、冗談抜きで失業者がもっと増えるし、日本は取り返しがつかないことになりかねないと思います。