このごろ大変憂鬱だ。都知事選挙で慎太郎圧勝が伝えられている。そうだろうと、思う。既存社会体制の何も信じられなくなった時には、自信ありげな、声の大きい奴がのさばってくることは歴史の示すところであるように思うから。そこに加えて、こんな天変地異が重なれば、なおさらのことだろう。
石原は、福島から帰ったばかりの消防隊にねぎらいの言葉を掛けた場で、泣いてみせる事までをやってのけた。自己の言動に酔うナルシズムも、ヒトラーや毛沢東にそっくりではないか。彼らは皆共通して卑劣漢政治屋、演説屋でもある。僕にはニヒリストに見えるほどに。石原で言えば、東京銀行や、身内への貴族主義的な態度。裕次郎をあれほどまでに持ち上げて自分の武器にするあのやり方は、どうだ!そう言えば「てっぺん野郎」とかいうノンフィクション(下に紹介)を書いた作家も居たな。彼には勿論、毛沢東やヒトラーのように何事かを成すという力などあるまい。不純異性友好の前科があるソノマンマナニガシと良い勝負なのだろう。
既得利権体制死守のために民主・小沢を叩き続けてきたことが明白な官僚とマスコミ。そこへもってきて原発を巡る東電、政治、マスコミ等々の無能、腐敗は目を覆うばかりと、そう思うのは僕だけではないだろう。「『5メートル』の津波しか想定せずに、『安全』と言い続けた東電、財界」。「初動ミスが明白な内閣」。「政権のミスを待望・切望しているのではないかと疑われても仕方ないほどに、サボタージュを決め込んでいたやの官僚群」。しかもこの官僚群が、原発に関わる開発と保安を同じ省内で受け持っていたと言うではないか。東電にも天下って、超高額の給与を得た人物が次期副社長を狙っているとかの報道もされているし。マスコミがまた、彼らの本分、これら一切への批判を忘れたかのごとくなのだ。電波法関連で最大の既得権益者になってしまったマスコミなんて、家のセキュリティーを任された泥棒のようなもんだろう。これら一切のよってたかったナブリ回しのせいで、福島原発は今や「再臨界」が理論的に推論され始めている。
これから日本は一体どうなるのだろう。
以下は佐野眞一著「てっぺん野郎」の、ある読書評。福岡県弁護士会の「弁護士の読書」サイトから取りました。
【 2003年12月01日 てっぺん野郎
著者:佐野眞一、出版社:講談社
石原慎太郎・東京都知事の半生を克明にたどり、慎太郎の本質を見事に解明した本です。
慎太郎の父親は愛媛県に生まれ、宇和島中学を1年で中退し、山下汽船に店童(小僧)として採用され、叩き上げていった人物です。51歳で若死にしていますが、お酒の飲みすぎだったようです。慎太郎は、弟・裕次郎には絶対かなわないという根深いコンプレックスをずっと抱いてきました。裕次郎は慶応高校に失敗し、慶応農業高校に通いましたが、札つきの不良少年でした。その不良仲間の遊びを小説化したのが慎太郎の『太陽の季節』です。私は読んだことがありませんし、読む気もしません。芥川賞受賞に反対した佐藤春夫は、『太陽の季節』について、風俗小説としてもっとも低級であり、作者の美的節度の欠如しか感じられず、嫌悪を禁じえない、と言っています。これでは読む気がなくなります。保守反動派を自認する慎太郎も、名門の湘南高校時代には左翼的学生でした。一橋大学に入ってからも、破防法反対のデモに加わったことがあります。今の慎太郎からは、とても想像もできませんが・・・。慎太郎は選挙のとき霊友会の力を借りていますが、若いころには母親とともに世界救世教を信心していました。今、週に2日しか都庁に出勤しない慎太郎の代わりに都政を牛耳っている濱渦副知事は国際勝共連合と深い関わりをもっています。慎太郎には銀座の高級クラブでホステスをしていた女性に生ませた息子がいます。この子の認知のときには、妻と息子4人の全員が参加する家族会議で、今後は絶対に浮気はしないと約束させられたのだそうです。慎太郎の政治家としての信条を述べた言葉があります。「公約なんて、実現不可能なことは言わないものです。実現できなかったときに支持率が落ちるだけですからね。公約は、オッと思わせることが大事なんです」(週刊現代、2003年4月26日号)
慎太郎は、とにかく飽きっぽい、ものは早見えするけれど、すぐに行き詰まる。そして行き詰まると、たちまち投げ出す。人々の耳目を集めることにプライオリティーの重きを置いた独特のポピュリズム的手法を得意をする。とかく問題になる乱暴な言葉づかいにしても不用意な発言ではなく、こういったらマスコミが取りあげてくれるな、という計算の上での発言だ。慎太郎は、「毒舌」「暴言」という形で、日本人の隠されたホンネを先取りしてあぶり出してきた。慎太郎は2度にわたって300万票という大量得票を実現しました。しかし、私にとっては、慎太郎は虫酸の走る男でしかありません。そんな唾棄すべき男に、なぜこんなにも多くの日本人が間違って魅かれてしまうのか。この本は、その理由を考えるうえで大いに役に立ちます。
投稿者 霧山昴 | URL | トラックバック (2) 】
石原は、福島から帰ったばかりの消防隊にねぎらいの言葉を掛けた場で、泣いてみせる事までをやってのけた。自己の言動に酔うナルシズムも、ヒトラーや毛沢東にそっくりではないか。彼らは皆共通して卑劣漢政治屋、演説屋でもある。僕にはニヒリストに見えるほどに。石原で言えば、東京銀行や、身内への貴族主義的な態度。裕次郎をあれほどまでに持ち上げて自分の武器にするあのやり方は、どうだ!そう言えば「てっぺん野郎」とかいうノンフィクション(下に紹介)を書いた作家も居たな。彼には勿論、毛沢東やヒトラーのように何事かを成すという力などあるまい。不純異性友好の前科があるソノマンマナニガシと良い勝負なのだろう。
既得利権体制死守のために民主・小沢を叩き続けてきたことが明白な官僚とマスコミ。そこへもってきて原発を巡る東電、政治、マスコミ等々の無能、腐敗は目を覆うばかりと、そう思うのは僕だけではないだろう。「『5メートル』の津波しか想定せずに、『安全』と言い続けた東電、財界」。「初動ミスが明白な内閣」。「政権のミスを待望・切望しているのではないかと疑われても仕方ないほどに、サボタージュを決め込んでいたやの官僚群」。しかもこの官僚群が、原発に関わる開発と保安を同じ省内で受け持っていたと言うではないか。東電にも天下って、超高額の給与を得た人物が次期副社長を狙っているとかの報道もされているし。マスコミがまた、彼らの本分、これら一切への批判を忘れたかのごとくなのだ。電波法関連で最大の既得権益者になってしまったマスコミなんて、家のセキュリティーを任された泥棒のようなもんだろう。これら一切のよってたかったナブリ回しのせいで、福島原発は今や「再臨界」が理論的に推論され始めている。
これから日本は一体どうなるのだろう。
以下は佐野眞一著「てっぺん野郎」の、ある読書評。福岡県弁護士会の「弁護士の読書」サイトから取りました。
【 2003年12月01日 てっぺん野郎
著者:佐野眞一、出版社:講談社
石原慎太郎・東京都知事の半生を克明にたどり、慎太郎の本質を見事に解明した本です。
慎太郎の父親は愛媛県に生まれ、宇和島中学を1年で中退し、山下汽船に店童(小僧)として採用され、叩き上げていった人物です。51歳で若死にしていますが、お酒の飲みすぎだったようです。慎太郎は、弟・裕次郎には絶対かなわないという根深いコンプレックスをずっと抱いてきました。裕次郎は慶応高校に失敗し、慶応農業高校に通いましたが、札つきの不良少年でした。その不良仲間の遊びを小説化したのが慎太郎の『太陽の季節』です。私は読んだことがありませんし、読む気もしません。芥川賞受賞に反対した佐藤春夫は、『太陽の季節』について、風俗小説としてもっとも低級であり、作者の美的節度の欠如しか感じられず、嫌悪を禁じえない、と言っています。これでは読む気がなくなります。保守反動派を自認する慎太郎も、名門の湘南高校時代には左翼的学生でした。一橋大学に入ってからも、破防法反対のデモに加わったことがあります。今の慎太郎からは、とても想像もできませんが・・・。慎太郎は選挙のとき霊友会の力を借りていますが、若いころには母親とともに世界救世教を信心していました。今、週に2日しか都庁に出勤しない慎太郎の代わりに都政を牛耳っている濱渦副知事は国際勝共連合と深い関わりをもっています。慎太郎には銀座の高級クラブでホステスをしていた女性に生ませた息子がいます。この子の認知のときには、妻と息子4人の全員が参加する家族会議で、今後は絶対に浮気はしないと約束させられたのだそうです。慎太郎の政治家としての信条を述べた言葉があります。「公約なんて、実現不可能なことは言わないものです。実現できなかったときに支持率が落ちるだけですからね。公約は、オッと思わせることが大事なんです」(週刊現代、2003年4月26日号)
慎太郎は、とにかく飽きっぽい、ものは早見えするけれど、すぐに行き詰まる。そして行き詰まると、たちまち投げ出す。人々の耳目を集めることにプライオリティーの重きを置いた独特のポピュリズム的手法を得意をする。とかく問題になる乱暴な言葉づかいにしても不用意な発言ではなく、こういったらマスコミが取りあげてくれるな、という計算の上での発言だ。慎太郎は、「毒舌」「暴言」という形で、日本人の隠されたホンネを先取りしてあぶり出してきた。慎太郎は2度にわたって300万票という大量得票を実現しました。しかし、私にとっては、慎太郎は虫酸の走る男でしかありません。そんな唾棄すべき男に、なぜこんなにも多くの日本人が間違って魅かれてしまうのか。この本は、その理由を考えるうえで大いに役に立ちます。
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