寺島実郎氏は、「中立」を演出することに長けていると言われることもありましたが、私は「中庸」の意見として参考にすることしばしばでした。
3、11以降も、彼は「私は推進論者ではない。ベストミックスを志向しているのです」(『東洋経済』)と中立を表明してきましたが、浜岡原発停止の事態が起こるや、一転「浜岡の停止で拍手を送るなんてトンデモナイことです」(サンデーモーニング)と中立の装いをかなぐり捨て、8月14日の同番組でも「〈脱原発〉を口にすることが、あたかもポジティブであるかのような風潮は悲しむべきこと」と発言し、同席者一同を白けさせました。
寺島氏の原発問題に対する表向きの立ち位置は、村上春樹に対する反論によく表れています。(報道ステーション)
「私たちは、効率とか便宜とかに惑わされずに、被爆国としてノーを叫び続けるべきだった」【村上】
「いや、核兵器を持たずに平和利用に徹して日本こそ、世界の原発の管理者にならなければならないのです」【寺島】)
この寺島発言に司会の古館は、「これは命をとるか、金をとるかの問題だと思います」と一蹴しましたが、寺島は何故これほどまでに原発の擁護をしなければならないのでしょうか。
彼はエネルギー庁の原子力委員として〈原子力立国計画〉を策定、鳩山政権では有力ブレーンとして原発の増基を強力に進めようとしましたが、鳩山退陣を受けて「管追い落とし」の一翼を担うようになりました。
寺島実郎氏が「バランスのよい知的リーダー」(『時代の深層テイリュウ読む』東洋経済社)と評価しているのが、吉本隆明氏。
「核爆弾と原子力発電の問題は捉えるべき視点は違う、と吉本さんは言われてきましたが、福島原発はこのことにやや微妙な翳を落とした気もしますが、いかがでしょうか」という問いに、吉本隆明は「都市を中心として人間の住まい方の様相が転換期を迎えていると思います」と直接に答えることはなかった。
「原発については、僕は吉本隆明さんの考えに説得されてきた人間です」と、次のように語ったのは加藤典洋氏。
「情緒的な反科学は反動ですから、情緒的な反原発には反対、という立場を持してきました。しかしいろんな反原発の言説ががある、そこの違いに耳を傾けなかった。(中略)そこでいろいろなものをチェックし続けた上で吉本さんの命題を受け取るべきだったところ、それを怠ってきた。何もしなかった。何ということをしてしまったか、させてしまったか。強い自責の念に襲われました。
以上は、『思想としての3、11』河出書房新社
3、11以降も、彼は「私は推進論者ではない。ベストミックスを志向しているのです」(『東洋経済』)と中立を表明してきましたが、浜岡原発停止の事態が起こるや、一転「浜岡の停止で拍手を送るなんてトンデモナイことです」(サンデーモーニング)と中立の装いをかなぐり捨て、8月14日の同番組でも「〈脱原発〉を口にすることが、あたかもポジティブであるかのような風潮は悲しむべきこと」と発言し、同席者一同を白けさせました。
寺島氏の原発問題に対する表向きの立ち位置は、村上春樹に対する反論によく表れています。(報道ステーション)
「私たちは、効率とか便宜とかに惑わされずに、被爆国としてノーを叫び続けるべきだった」【村上】
「いや、核兵器を持たずに平和利用に徹して日本こそ、世界の原発の管理者にならなければならないのです」【寺島】)
この寺島発言に司会の古館は、「これは命をとるか、金をとるかの問題だと思います」と一蹴しましたが、寺島は何故これほどまでに原発の擁護をしなければならないのでしょうか。
彼はエネルギー庁の原子力委員として〈原子力立国計画〉を策定、鳩山政権では有力ブレーンとして原発の増基を強力に進めようとしましたが、鳩山退陣を受けて「管追い落とし」の一翼を担うようになりました。
寺島実郎氏が「バランスのよい知的リーダー」(『時代の深層テイリュウ読む』東洋経済社)と評価しているのが、吉本隆明氏。
「核爆弾と原子力発電の問題は捉えるべき視点は違う、と吉本さんは言われてきましたが、福島原発はこのことにやや微妙な翳を落とした気もしますが、いかがでしょうか」という問いに、吉本隆明は「都市を中心として人間の住まい方の様相が転換期を迎えていると思います」と直接に答えることはなかった。
「原発については、僕は吉本隆明さんの考えに説得されてきた人間です」と、次のように語ったのは加藤典洋氏。
「情緒的な反科学は反動ですから、情緒的な反原発には反対、という立場を持してきました。しかしいろんな反原発の言説ががある、そこの違いに耳を傾けなかった。(中略)そこでいろいろなものをチェックし続けた上で吉本さんの命題を受け取るべきだったところ、それを怠ってきた。何もしなかった。何ということをしてしまったか、させてしまったか。強い自責の念に襲われました。
以上は、『思想としての3、11』河出書房新社