新聞の片隅に載ったニュースから（150） 大西五郎

ＮＨＫ経営委の皆さん「会長は適格ですか」名古屋放送局ＯＢが質問状 (14.6.7 中日新聞）

　籾井勝人ＮＨＫ会長について、ＮＨＫ名古屋放送局のＯＢ有志が六日、ＮＨＫの最高意思決定機関である経営委員会のメンバー全員に会長としての適格性を問う質問状を発送した。
　代表の遠藤文夫名古屋放送局元報道ディレクターら二十一人が連名で、浜田健一郎委員長らに三項目を問い、二十日までに文書回答を求めた。放送現場のＯＢが組織的に会長に対して批判的な行動を取るのは全国で初めてという。
　質問状では昨年十一月に経営委が定めた会長資格要件の「公共放送の使命を十分に理解」「政治的に中立」などに照らして「適格と考えるか」などとただした。
　有志の一人は「財界人が会長となる例は過去にもあったが、内部役員の理事全員に辞表提出を求め、取材現場への介入が疑われるなど社会常識を逸脱している」と話した。籾井会長をめぐっては、日本ジャーナリスト会議（ＪＣＪ）が辞任を求める声明を出している。

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　ＮＨＫの籾井会長については、１月の就任会見で「国際放送では日本の立場を主張するのは当然。政府が右と云うことを左と云うわけにはいかない」などの発言が「放送の中立性を守るべき会長の資質が問題とされ、会長の任免権を持つ経営委員会の上村達男委員長代行が経営委員会で「籾井会長の発言は間違っている」と批判したことも伝わっています。
　ところでお隣の韓国では「韓国放送公社（ＫＢＳ）」（ＮＨＫと同じ公共放送）で吉桓永社長が旅客船セウォル号の沈没事故などの報道で大統領府の意を受けて現場に不当な圧力をかけたとしてＫＢＳ労組と言論労組が吉社長の辞任を求めてストライキを行いました。
　吉社長が報道の現場に「朴槿恵大統領のニュースを大きく扱い、野党代表のニュースは放映するな」と命じたことを示す記録も記者によって公開されました。
　また「セウォル号の死者数は交通事故の死者数を考えれば多くない」と発言したとて辞任に追い込まれた金時坤前報道局長が、報道局長の発言とされたことを否定し、吉社長から「海洋警察を批判するな。大統領府から指示が降りてきた」と言われたことを暴露しました。
　記者や労働組合の社長退任要求を受けてＫＢＳの理事会が開かれ、理事会として吉社長の解任を議決しました。なおＫＢＳ社長の任命権は大統領にあり、朴大統領の裁量が注目されます。
　ＮＨＫのＯＢの人たちが中心になって組織し、ＮＨＫの番組について意見を表明したりしている「放送を語る会」という組織があり、「ＮＨＫを監視・激励する視聴者コミュニティ」（共同代表・醍醐聡東大名誉教授）などいくつかの団体と共同で、籾井会長の辞任を求める署名活動が全国的に行なわれていますが、ＮＨＫの労働組合（日放労）は会長の資質問題についてはＫＢＳ労組と違って意見や行動を表明していません。会長の資質は国民がＮＨＫの放送の質を判断するもとになるのですが・・・。
　大西　五郎