昨年11月オランダ戦以降の最近好調だった5連戦、4連勝とコートジボアール戦不出来との、なんと大きなギャップ! これをどうしても分析し切らずには、ギリシャ戦は闘えないだろう。この日本4連勝の中には6月3日の対コスタリカ3対1勝利もあって、この相手コスタリカは本番で強豪ウルグァイを撃破したばかりだ。D組でビリ予想チームがトップ予想チームを破った快挙は15日の第162に報告した通りだ。このコスタリカにあやかるべきは、敗戦からこそ日本も学ぶべきということだろう。
さて、この好調5連戦の前2戦、2対2と挽回したオランダ戦、3対2勝利のベルギー戦はヨーロッパ中を沸かせ、現代表にとって刺激的この上ない戦いだった。後半出場して形勢を変えたと言える遠藤の言葉を聞いてみるべきだ。ナンバー849号から取った物である。
『オランダ戦は、全体的に後ろに下がりすぎだった。もう少し我慢して相手の前に立って守備をすれば、相手もバックパスや横パスしか出せなくなる。そしたら前にラインを上げられる。だから俺が出た時は、前戦と最終ラインの間の中途半端な位置にポジションを取った。居残る感じでボランチとしてはリスキーなプレーだけど、俺が前にいることで相手も簡単に前に出られなくなっていたし、逆に日本はラインを10mぐらい前に上げられた。オランダ戦はそれが有効だった。
ベルギー戦の前半は、ハセと蛍がずっとフリーだった。だから後半は、自分がボールをもらう位置にセンターバックを行かせて、俺がひとつ前に出て、圭佑をさらに前に押し出すようにした。俺の位置が高かったのはそのせいで、これがうまくハマった』(47ページ)
さて、コートジボアール戦後半のザックも、上記2戦の「遠藤の再現」を、この教訓を夢見たのは間違いない。「DFラインを上げるためには、中盤も上がって、敵パスを押さえねばならない」。今回はどうしてこれが成功しなかったか。ここが最大問題である。
正解はおそらくここだ。中央が下がらなくとも、どちらかのサイドで押し込まれ始めることがある。このゲームでは日本左サイドで負けはじめたから、DFラインがずるずると下がり始めた。左サイドに良いパスを通されるから、DFラインが我慢しきれなくなったのである。事実、左サイドに深いパスを通されて、そこから速いクロスで2失点という結末になった。
『もう少し我慢して』
『俺が前にいることで相手も簡単に前に出られなくなっていた』
香川・長友は、この遠藤の言葉のように出来なかったのだろうか。そして、左が押し込まれるなら、右で押し返すことは出来なかったのだろうか。前後半とも、内田は良く攻めて、敢闘していたように見えたが・・・・。いずれにしても、両軍拮抗していて人数掛けた中央攻撃などは思いも寄らぬ接戦だったのだから、両サイドとも攻められなかったら敗戦は時間の問題という情勢ではなかったか。この闘いを前にしたら、最近の3連勝などは中央攻撃などを連発したりして、ずい分安易に勝っていたという印象さえ抱くのだ。ここでも何か大きいギャップを感ずる。人数掛けた中央攻撃と、両サイドさえ上がれない押し込まれ方!
「人数掛けた中央攻撃など、特に前半は使えない。どちらかのサイドから執拗に攻め、崩し、逆サイドでの抜け出し得点に結び付ける」これが僕の提起だった。日本には、ドイツ代表のエース、トーマス・ミュラー(バイエルンミュンヘン、13得点ランク11位)よりも今シーズン2点も多く点を取った岡崎慎司(15得点7位)がいる。全ドイツSBのなかで1対1の戦勝率第2位という内田もいるではないか。今期実績では、問題なく日本右サイドの方が素晴らしい成績であると、改めて強調したい。右から崩して香川で得点などと、もっともっと自信を持って良いはずだ。謙虚に、しかしちょっと怖くても我慢強くディシプリンは守って。コロンビアは、コスタリカが勝ったウルグァイよりも低い順位。勝てないわけもないのである。
最後に、サッカーの名手であるだけでなく分析も名手、名文と見たリトバルスキーが、ナンバー7月17日号でこんなことを語っている。WCに3連続出場、優勝1回という実績からの言葉と読んで欲しい。
『ギリシャの守備陣をこじ開けるには、前線でも数的優位を作ることが重要になる』。こう語った上で、両サイドバックの攻め上がりやポジション交換を提案している。
『(コロンビア戦は)忌憚なく言えば、試合前半は、フラストレーションがたまるだろう。だが個の戦いー球際の強さや、一対一の勝負で絶対に負けないようにしていけば、少しずつ活路は開けてくる。そして試合の終盤、残り20分あたりで勝負をかける。(中略)仮に僕が日本の選手にメッセージを送るとするなら「自分たちは優秀だということを忘れるな」と言いたい』
さて、この好調5連戦の前2戦、2対2と挽回したオランダ戦、3対2勝利のベルギー戦はヨーロッパ中を沸かせ、現代表にとって刺激的この上ない戦いだった。後半出場して形勢を変えたと言える遠藤の言葉を聞いてみるべきだ。ナンバー849号から取った物である。
『オランダ戦は、全体的に後ろに下がりすぎだった。もう少し我慢して相手の前に立って守備をすれば、相手もバックパスや横パスしか出せなくなる。そしたら前にラインを上げられる。だから俺が出た時は、前戦と最終ラインの間の中途半端な位置にポジションを取った。居残る感じでボランチとしてはリスキーなプレーだけど、俺が前にいることで相手も簡単に前に出られなくなっていたし、逆に日本はラインを10mぐらい前に上げられた。オランダ戦はそれが有効だった。
ベルギー戦の前半は、ハセと蛍がずっとフリーだった。だから後半は、自分がボールをもらう位置にセンターバックを行かせて、俺がひとつ前に出て、圭佑をさらに前に押し出すようにした。俺の位置が高かったのはそのせいで、これがうまくハマった』(47ページ)
さて、コートジボアール戦後半のザックも、上記2戦の「遠藤の再現」を、この教訓を夢見たのは間違いない。「DFラインを上げるためには、中盤も上がって、敵パスを押さえねばならない」。今回はどうしてこれが成功しなかったか。ここが最大問題である。
正解はおそらくここだ。中央が下がらなくとも、どちらかのサイドで押し込まれ始めることがある。このゲームでは日本左サイドで負けはじめたから、DFラインがずるずると下がり始めた。左サイドに良いパスを通されるから、DFラインが我慢しきれなくなったのである。事実、左サイドに深いパスを通されて、そこから速いクロスで2失点という結末になった。
『もう少し我慢して』
『俺が前にいることで相手も簡単に前に出られなくなっていた』
香川・長友は、この遠藤の言葉のように出来なかったのだろうか。そして、左が押し込まれるなら、右で押し返すことは出来なかったのだろうか。前後半とも、内田は良く攻めて、敢闘していたように見えたが・・・・。いずれにしても、両軍拮抗していて人数掛けた中央攻撃などは思いも寄らぬ接戦だったのだから、両サイドとも攻められなかったら敗戦は時間の問題という情勢ではなかったか。この闘いを前にしたら、最近の3連勝などは中央攻撃などを連発したりして、ずい分安易に勝っていたという印象さえ抱くのだ。ここでも何か大きいギャップを感ずる。人数掛けた中央攻撃と、両サイドさえ上がれない押し込まれ方!
「人数掛けた中央攻撃など、特に前半は使えない。どちらかのサイドから執拗に攻め、崩し、逆サイドでの抜け出し得点に結び付ける」これが僕の提起だった。日本には、ドイツ代表のエース、トーマス・ミュラー(バイエルンミュンヘン、13得点ランク11位)よりも今シーズン2点も多く点を取った岡崎慎司(15得点7位)がいる。全ドイツSBのなかで1対1の戦勝率第2位という内田もいるではないか。今期実績では、問題なく日本右サイドの方が素晴らしい成績であると、改めて強調したい。右から崩して香川で得点などと、もっともっと自信を持って良いはずだ。謙虚に、しかしちょっと怖くても我慢強くディシプリンは守って。コロンビアは、コスタリカが勝ったウルグァイよりも低い順位。勝てないわけもないのである。
最後に、サッカーの名手であるだけでなく分析も名手、名文と見たリトバルスキーが、ナンバー7月17日号でこんなことを語っている。WCに3連続出場、優勝1回という実績からの言葉と読んで欲しい。
『ギリシャの守備陣をこじ開けるには、前線でも数的優位を作ることが重要になる』。こう語った上で、両サイドバックの攻め上がりやポジション交換を提案している。
『(コロンビア戦は)忌憚なく言えば、試合前半は、フラストレーションがたまるだろう。だが個の戦いー球際の強さや、一対一の勝負で絶対に負けないようにしていけば、少しずつ活路は開けてくる。そして試合の終盤、残り20分あたりで勝負をかける。(中略)仮に僕が日本の選手にメッセージを送るとするなら「自分たちは優秀だということを忘れるな」と言いたい』