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中央日報より   らくせき

2015年08月02日 09時05分51秒 | Weblog
先月23日(現地時間)、米ワシントンのペンタゴンのブリーフィングルームを訪れた時だ。米国防総省が炭疽菌配達事故調査の結果を発表する席だった。ブリーフィングを待っている時、数人の米国人記者がドナルド・トランプが韓国を非難し、これに韓国メディアが反発したという話を交わしていた。

米大統領選挙に飛び込んだトランプは遊説で韓国を「一日に数十億ドル稼ぐ」国と表現した後、「しかし安保は米国に頼る」と批判した。これをめぐり「狂っている(crazy)」と繰り返し語った。韓国は米国で自動車・携帯電話・テレビを販売してドルを稼ぎながら、自分たちの安保は米軍に頼っているという無賃乗車論は、すでに米国で以前から続いてきた主張だ。しかしなぜ大統領候補という人物の口から出てくるのか、あきれてしまう。

在韓米軍が韓国の安保の核心であるのは間違いない。在韓米軍が撤収すれば北朝鮮の挑発の脅威だけでも韓国株式市場が大きく落ちるだろう。しかし在韓米軍の駐留は決して米国だけが犠牲となる一方的な関係ではない。韓国は在韓米軍駐留費用として毎年防衛費分担金を出している。政府の統計を見ると、2010年の7904億ウォンから今年は9320億ウォン(約1000億円)と、1兆ウォン近くまで増えた。

さらに重要なのは、在韓米軍は韓国戦争(朝鮮戦争)当時に米軍3万7000人が戦死したという事実とともに、韓米同盟を維持する軸という点だ。血で結ばれた過去と安保の責任を共に負う現在が結合し、韓米同盟は韓国の対外政策の枠であり北東アジアの秩序を維持する根幹だ。トランプはこれが何を意味するのか分かっているのだろうか。

今まで韓国は例外なくほとんどすべての国内外懸案で米国側を後押しした。国際的に対立する懸案ではいつも米国側に立ち、エボラウイルス撲滅やイラク難民救護など米国が主導すれば厳しい環境でも資金を準備して参加した。イラク戦争でも盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権は当時のブッシュ政権に応じて米国・英国に次ぐ3番目の規模で派兵した。

年初にイスラム国(IS)が日本人2人を残酷に斬首し、日本国民が言葉で表せない苦痛を経験したが、韓国はすでに派兵当時の2004年、ある若者がイスラムテロ団体に斬首されるぞっとする経験をした。外交部のブリーフィング室で殺害された事実を知らせる当時の当局者の表情は今でも忘れられない。これに先立ちベトナム戦争では韓国軍5000余人が戦死した。在韓米軍が韓国の安保の一定部分の責任を負った後には、韓国も米国と一緒に進むという同盟関係が厳格に存在する。

作用は反作用を呼ぶ。そんなはずはないだろうが、米国内で安保無賃乗車論が強まれば、韓国でも反発を招く。最も極端な反発は、米軍の核の傘をもう信頼できないという独自核開発論だ。これは北東アジアを核競争へ向かわせるほか、北朝鮮の核も正当化する。現実性もなく、現実化してもならない。しかしこういう話が太平洋を挟んで行き来するほど韓米同盟には亀裂が生じる。このため同盟はお金で計算するべきでない。

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「従米か愛国か」 孫崎享書評 (4)  文科系

2015年08月02日 07時54分39秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
7 今後の日本に関わって

①孫崎享の提言

『アメリカに潰された政治家たち』の終章は『本当の「戦後」が終わるとき』となっている。そして、その最後のセクション4ページちょっとが『民意が変われば政治が変わる』と題されているから、これが孫崎の今の日本国際政治への望みなのだろう。以下は、そこから抜粋する。最初に言っておけば、外務省の国際情報局長を経て防衛大学教授だった人がこういう考えを持っているというのは、ちょっと嬉しいことと感じたものだ。

『 私は1日も早く、1人でも多くの日本人が、アメリカに対する幻想を捨て、対米従属のくびきから逃れてほしい願っています 』
『 自主路線の政治家は再び現れるのでしょうか。いま、政治家に求められる条件とは以下のようなものだと思います。
 第一に、修羅場から逃げないことです。失うことを恐れないこと。今、政界を見渡して、「すべてを失ってもいいから勝負してやろうじゃないか」という政治家はいません。
 第二に、若い候補であることです。国民は古い政治家を見放しています。これは時代の流れです。若い世代の支持を獲得できる政治家が出てこない限り、風は吹きません。
第三に、政策的に国民が求めている「原発再稼働反対」「消費増税反対」「TPP反対」を断固やる、という姿勢です。
 以上の条件を踏まえた上で、実現しないという前提であえて申し上げれば、小沢新党が森ゆうこ議員あたりを首相候補に掲げれば、国民的な風が吹く可能性があります。彼女はそれらの条件をすべて備えているからです 』

 読んでいるうちに、孫崎享が鳩山や小沢のブレインの1人のよう感じられないだろうか。

②僕の総体的感想
──「アメリカは案外もろいのではないか」

 孫崎は、アメリカの日本への基本戦略をこう述べている。
『 前章で述べたとおり、「在日米軍基地の削減」と「対中関係で先行すること」はアメリカの”虎の尾”です。これで怒らないはずがないのです 』
 この虎の尾2本の本質を、この根強さとか永続可能性とかを、そもそもどう捉えたらよいのだろうか。こんなものが一体なぜ、小沢への執拗な抹殺行動へと繋がるのか。普通に考えれば、産軍政複合体が、仮想敵国設定とかそれに向けての経済大国日本の軍事化とかを図って、その自己増殖を遂げていくことがこの虎の尾の動機だと見られよう。が僕は、それだけとはどうしても思えないのである。
 そもそもこれでは、冷戦後のアメリカの指導者たちが、こう考えていたことと合理的に合わないのである。「冷戦体制が終わった今、他国の軍事力などで怖いものはもう存在しない。本当に怖いのは、日本の(今は多分中国の)経済力である。これからは軍事産業から民需経済に変えるべきである」。そう、軍事力だけが強くても、経済が衰えたらその軍事力さえ維持できないのだ。当時そう語った一人が、ポール・ケネディ、「大国の興亡」。アメリカはなぜ民需に変わらなかったのか。この矛盾にこそ僕は、アメリカの不可思議、不条理を見る。経済力に武力で対抗したら、戦争ばかりしていなければならぬことになるのだし、経済の軍事化はやがて経済自身の停滞を呼ばずにはおかないだろう。今時、こんな政権、戦略に永続性があるわけはないだろうと言いたい。そして、この不条理をどうやったら説明できるかということに、僕は腐心してきた。そして、こんな結論に達した。
 アメリカの伝統的ワスプなどのエスタブリッシュメントが、その一方は産軍複合体へ、他の一方は現物経済より手っ取り早いファンドによる金転がしに走っただけなのだと。
 そこにさらに、こんなことも加わるのではないか。「アメリカ西部流マチズモ」。象徴的例示で言えば、全米ライフル協会。その精神がアメリカ議会を席巻しているようなものではないか。いくら銃による悲劇が起こっても、銃への愛着が捨てられない。あげくは「学校自体も銃で武装せよ。要員はわれわれが派遣する」などと言い出す。こういう一種の選民思想と相まって、「アメリカ西部流マチズモ」を他国にひけらかして、相手を押さえつけたような気になる優越感が手放せないのではないか。それだけエスタブリッシュメント2、3,4世が退廃しているのではないかと思いふけっていたものだ。

 定めた目的の実現には恐ろしく強くとも、人間の目的そのものを深くは考えられないとは、アメリカ生まれのプラグマティズム哲学の本質。今のアメリカは退廃し、かつばらばらになっていて、案外もろいと思わざるをえない。
(完)
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