ググッたら、こんな記事に出合いました。
中島聡さんが、2013年02月26日に載せた「安倍総理に講演の場を与えたCSISとは何か」より。
オバマ大統領との会見のためにワシントンDCを訪れた安倍総理だが、同日に、保守系のシンクタンクである CSIS (Center For Strategic & International Studies)が開催するフォーラムで40分の講演をした点は注目に値する(ビデオはここで見ることが出来る)。
CSISは表向きは民間のシンクタンクで、政府や軍需産業のための調査・研究をするコンサルタント会社だが、実際には、政権交代で政府を出た高級官僚が次の政権交代で復活するまでの間準備をしたり、政府の外から影響力を公使(ロビー活動)するための場所である。
その典型的な例が、ブッシュ政権下で国務副長官を務めたリチャード・アーミテージで、国務副長官の職を離れた後も、CSISを通じ、オバマと大統領選を争ったマケイン候補のための戦略を立てたり、日本政府に対して「原発を捨てると日本は二流国に成り下がる」と警告を鳴らした「アーミテージ・ナイ報告(参照)」を書いたりと非常に積極的な政治活動をしている。
Right Web (軍事マフィアによる米国政府への影響力を監視する団体)によれば、CSIS はレーガン政権時代に作られた「米国は世界の警察官であるべき」という信念の元に各種メディアを通じて米国内外に多大な影響力を持つネオコンのフロント組織である(参照)。
「日本再占領」の作家である中田安彦は、彼らを「ジャパン・ハンドラーズ」と称して警告をならしている(参照)。
CSISに関しては、外務審議官・対米全権大使を務めた加藤良三の娘、加藤和世が「ワシントン・ジャパニーズ・ウィメンズ・ネットワーク」にそこで働いた経験談を書いているので一読をお勧めする(参照)。彼女は現在は笹川平和財団の研究員の1人だが(参照)、今でも CSIS のフェローの1人でもある(参照)。
笹川平和財団はCSISへの助成事業としてSPFフェローシッププログラムを進めたり(参照)、CSISが去年発表した「アーミテージ・ナイ報告書」のプロモーションを手伝ったりと(参照)、CSISとの関係を強めている。
ちなみに、CSISに自分の子供を送り込んだのは、加藤良三だけではない。小泉純一郎が次男の小泉進次郎を、渡辺恒三が長男の渡辺恒雄を送り込んでいる。
CSISは昨年、日経新聞と「日経・CSISバーチャル・シンクタンク」なる組織を日本に立ち上げ、そこを通じた保守系政治家のサポート、若手政治家の育成、政策提案、などのロビー活動をしている。アドバイザーとして自民党の石破茂、民主党の前原誠司他、数多くの霞ヶ関OBが名を連ねる、日本版 CSISである。
安倍首相はCSIS主催のフォーラムでの講演で「アーミテージ・ナイ報告」を引用して「日本は二流国にはならない」と宣言したが、参考までに、下に「アーミテージ・ナイ報告」に書かれた日本への提言を外務省が翻訳したものを添付しておく。
この報告書が去年の8月に書かれたものであるにも関わらず12月に発足した安倍政権の政策とほぼ完全に合致している点は注目に値する。これを偶然の一致と解釈するのか、(CSISを通じた)米国保守派勢力の内政干渉と解釈するのかは読者次第だが、今後、自民党が日本のエネルギー政策をどうするのか、ホルムズ海峡が閉鎖された場合に何をするのか、などを予想するにはとても良い材料になる。
【日本への提言(アーミテージ・ナイ報告)】
(1)原子力発電の慎重な再開が日本にとって正しくかつ責任ある第一歩である。原発の再稼動は、温室効果ガスを2020年までに25%削減するという日本の国際公約5を実現する唯一の策であり、円高傾向の最中での燃料費高騰によって、エネルギーに依存している企業の国外流出を防ぐ懸命な方策でもある。福島の教訓をもとに、東京は安全な原子炉の設計や健全な規制を促進する上でリーダー的役割を果たすべきである。
(2)日本は、海賊対処、ペルシャ湾の船舶交通の保護、シーレーンの保護、さらにイランの核開発プログラムのような地域の平和への脅威に対する多国間での努力に、積極的かつ継続的に関与すべきである。
(3)環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加に加え、経済・エネルギー・安全保障包括的協定(CEESA)など、より野心的かつ包括的な(枠組み)交渉への参加も考慮すべきである。
(4)日本は、韓国との関係を複雑にしている「歴史問題」を直視すべきである。日本は長期的戦略見通しに基づき、韓国との繋がりについて考察し、不当な政治声明を出さないようにするべきである。また、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)や物品役務相互提供協定(ACSA)の締結に向けた協議を継続し、日米韓3か国の軍事的関与を継続すべきである。
(5)日本は、インド、オーストラリア、フィリピンや台湾等の民主主義のパートナーとともに、地域フォーラムへの関与を継続すべきである。
(6)新しい役割と任務に鑑み、日本は自国の防衛と、米国と共同で行う地域の防衛を含め、自身に課せられた責任に対する範囲を拡大すべきである。同盟には、より強固で、均等に配分された、相互運用性のある情報・監視・偵察(ISR)能力と活動が、日本の領域を超えて必要となる。平時(peacetime)、緊張(tension)、危機(crisis)、戦時(war)といった安全保障上の段階を通じて、米軍と自衛隊の全面的な協力を認めることは、日本の責任ある権限の一部である。
(7)イランがホルムズ海峡を封鎖する意図もしくは兆候を最初に言葉で示した際には、日本は単独で掃海艇を同海峡に派遣すべきである。また、日本は「航行の自由」を確立するため、米国との共同による南シナ海における監視活動にあたるべきである。
(8)日本は、日米2国間の、あるいは日本が保有する国家機密の保全にかかる、防衛省の法律に基づく能力の向上を図るべきである。
(9)国連平和維持活動(PKO)へのさらなる参加のため、日本は自国PKO要員が、文民の他、他国のPKO要員、さらに要すれば部隊を防護することができるよう、法的権限の範囲を拡大すべきである。
中島聡さんが、2013年02月26日に載せた「安倍総理に講演の場を与えたCSISとは何か」より。
オバマ大統領との会見のためにワシントンDCを訪れた安倍総理だが、同日に、保守系のシンクタンクである CSIS (Center For Strategic & International Studies)が開催するフォーラムで40分の講演をした点は注目に値する(ビデオはここで見ることが出来る)。
CSISは表向きは民間のシンクタンクで、政府や軍需産業のための調査・研究をするコンサルタント会社だが、実際には、政権交代で政府を出た高級官僚が次の政権交代で復活するまでの間準備をしたり、政府の外から影響力を公使(ロビー活動)するための場所である。
その典型的な例が、ブッシュ政権下で国務副長官を務めたリチャード・アーミテージで、国務副長官の職を離れた後も、CSISを通じ、オバマと大統領選を争ったマケイン候補のための戦略を立てたり、日本政府に対して「原発を捨てると日本は二流国に成り下がる」と警告を鳴らした「アーミテージ・ナイ報告(参照)」を書いたりと非常に積極的な政治活動をしている。
Right Web (軍事マフィアによる米国政府への影響力を監視する団体)によれば、CSIS はレーガン政権時代に作られた「米国は世界の警察官であるべき」という信念の元に各種メディアを通じて米国内外に多大な影響力を持つネオコンのフロント組織である(参照)。
「日本再占領」の作家である中田安彦は、彼らを「ジャパン・ハンドラーズ」と称して警告をならしている(参照)。
CSISに関しては、外務審議官・対米全権大使を務めた加藤良三の娘、加藤和世が「ワシントン・ジャパニーズ・ウィメンズ・ネットワーク」にそこで働いた経験談を書いているので一読をお勧めする(参照)。彼女は現在は笹川平和財団の研究員の1人だが(参照)、今でも CSIS のフェローの1人でもある(参照)。
笹川平和財団はCSISへの助成事業としてSPFフェローシッププログラムを進めたり(参照)、CSISが去年発表した「アーミテージ・ナイ報告書」のプロモーションを手伝ったりと(参照)、CSISとの関係を強めている。
ちなみに、CSISに自分の子供を送り込んだのは、加藤良三だけではない。小泉純一郎が次男の小泉進次郎を、渡辺恒三が長男の渡辺恒雄を送り込んでいる。
CSISは昨年、日経新聞と「日経・CSISバーチャル・シンクタンク」なる組織を日本に立ち上げ、そこを通じた保守系政治家のサポート、若手政治家の育成、政策提案、などのロビー活動をしている。アドバイザーとして自民党の石破茂、民主党の前原誠司他、数多くの霞ヶ関OBが名を連ねる、日本版 CSISである。
安倍首相はCSIS主催のフォーラムでの講演で「アーミテージ・ナイ報告」を引用して「日本は二流国にはならない」と宣言したが、参考までに、下に「アーミテージ・ナイ報告」に書かれた日本への提言を外務省が翻訳したものを添付しておく。
この報告書が去年の8月に書かれたものであるにも関わらず12月に発足した安倍政権の政策とほぼ完全に合致している点は注目に値する。これを偶然の一致と解釈するのか、(CSISを通じた)米国保守派勢力の内政干渉と解釈するのかは読者次第だが、今後、自民党が日本のエネルギー政策をどうするのか、ホルムズ海峡が閉鎖された場合に何をするのか、などを予想するにはとても良い材料になる。
【日本への提言(アーミテージ・ナイ報告)】
(1)原子力発電の慎重な再開が日本にとって正しくかつ責任ある第一歩である。原発の再稼動は、温室効果ガスを2020年までに25%削減するという日本の国際公約5を実現する唯一の策であり、円高傾向の最中での燃料費高騰によって、エネルギーに依存している企業の国外流出を防ぐ懸命な方策でもある。福島の教訓をもとに、東京は安全な原子炉の設計や健全な規制を促進する上でリーダー的役割を果たすべきである。
(2)日本は、海賊対処、ペルシャ湾の船舶交通の保護、シーレーンの保護、さらにイランの核開発プログラムのような地域の平和への脅威に対する多国間での努力に、積極的かつ継続的に関与すべきである。
(3)環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加に加え、経済・エネルギー・安全保障包括的協定(CEESA)など、より野心的かつ包括的な(枠組み)交渉への参加も考慮すべきである。
(4)日本は、韓国との関係を複雑にしている「歴史問題」を直視すべきである。日本は長期的戦略見通しに基づき、韓国との繋がりについて考察し、不当な政治声明を出さないようにするべきである。また、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)や物品役務相互提供協定(ACSA)の締結に向けた協議を継続し、日米韓3か国の軍事的関与を継続すべきである。
(5)日本は、インド、オーストラリア、フィリピンや台湾等の民主主義のパートナーとともに、地域フォーラムへの関与を継続すべきである。
(6)新しい役割と任務に鑑み、日本は自国の防衛と、米国と共同で行う地域の防衛を含め、自身に課せられた責任に対する範囲を拡大すべきである。同盟には、より強固で、均等に配分された、相互運用性のある情報・監視・偵察(ISR)能力と活動が、日本の領域を超えて必要となる。平時(peacetime)、緊張(tension)、危機(crisis)、戦時(war)といった安全保障上の段階を通じて、米軍と自衛隊の全面的な協力を認めることは、日本の責任ある権限の一部である。
(7)イランがホルムズ海峡を封鎖する意図もしくは兆候を最初に言葉で示した際には、日本は単独で掃海艇を同海峡に派遣すべきである。また、日本は「航行の自由」を確立するため、米国との共同による南シナ海における監視活動にあたるべきである。
(8)日本は、日米2国間の、あるいは日本が保有する国家機密の保全にかかる、防衛省の法律に基づく能力の向上を図るべきである。
(9)国連平和維持活動(PKO)へのさらなる参加のため、日本は自国PKO要員が、文民の他、他国のPKO要員、さらに要すれば部隊を防護することができるよう、法的権限の範囲を拡大すべきである。