九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

新聞の片隅に載ったニュースから(番外編ⅩV)    大西五郎

2014年06月19日 10時46分41秒 | Weblog
 集団的自衛権 総選挙で民意示せ 元衆院議長 河野洋平(14.6.18 毎日新聞)

 安倍晋三首相が性急に集団的自衛権の行使容認を進めようとする背景を考えてみる。「圧倒的な支持を得ているから、いまやってしまおう」。もしくはその逆で「実態はそんなに支持されていないから急ごう」。そのどちらかだろう。いまの閣僚には、そんな安倍首相に反対することは無理だ。極論すれば、閣僚の人事権、罷免権を持つ首相の一存で行使容認は決まる。それは衆院の小選挙区制とも深く関わる。
 中選挙区制の時代は、同じ党の候補者たちがいろいろな意見を戦わせ、党内でも活発な議論の下地があった・小選挙区制導入を決めた私にも責任のあることだが、この制度の下では選挙で訴える政策は一本化され、党内で重層的な政策論議が起きにくくなる。だから「自分の一存で憲法解釈を変えてしまおう」という党首に反対する意見が党内に少ないわけだ。
 とはいえ、多くの国民が行使容認を許しているわけではない。実際、自民党が多くの議席を獲得した2012年総選挙で、自民党公認候補の小選挙区の得票率は43%、比例代表は27%しかなかった。なのに、小選挙区制だから、自民党は大勝した。行使容認へ向かう状況をいま変えることは難しいかもしれない。
 それなら有権者の皆さんは民意と離れてしまう政治をどうすればいいのか、次の総選挙で投票行動に移してほしい。講師容認を止める方法は次の選挙にかかっている。私も白髪を染め、外に出てがんばろうと思う。
(毎日新聞は集団的自衛権について識者に聞く「私の意見」を連載、その5回目です)
□□――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――□□  
自民党の元総裁を務めたこの人から見ても、安倍首相の暴走とそれを止められない現在の自民党議員たちの状態が嘆かわしいものに写っているのですネ。
しかしこれは勇気のある発言だと思います。公職から身を退いたとはいえ、現在の政治状況を真正面から批判するということは、自民党からの次の仕打ちを覚悟して、「正義のためには言わなければならない」という気持が伝わってきます。安倍首相と自民党議員たちは元総裁の言葉を真摯に受け止めるべきです。
朝日新聞も「集団的自衛権 元議員は問う」というシリーズを12日からはじめましたが、その第一回に自民党の幹事長でもあった加藤紘一元議員が登場しました。加藤氏は「僕は(戦争の)体験者から直接話を聞いた人間として発言し続ける。政府が与党に示した集団的自衛権などの15事例なんて、官僚の小細工だ。官房長官、防衛庁長官も経験したが、集団的自衛権が使えず、日本の安全が保てなかったという経験はない」と明言しています。
中日新聞も「われわれの憲法 集団的自衛権を考える」というシリーズを始めており、改憲論者だった小林節慶応大学名誉教授が「憲法九条は一項で侵略戦争を放棄していますが、自衛戦争は放棄していない。だけど、二項で戦争当事国として海外で振舞う資格をなくしている。このように読むべきです。間違っても自衛隊を海外に出さないというのが憲法上の条件」と述べています。
それにしても日本のテレビはサッカーのW杯ほど大事なニュースはないと思っているのでしょうか。集団的自衛権の問題のニュースなどは後景に押しやられています。特にNHKがひどいです。放送ジャーナリズムの危機を後輩たちにどう訴えていくかを考えています。
                                    大西 五郎
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「よたよたランナーの手記」(53) 試行錯誤の故障明け  文科系

2014年06月18日 03時58分29秒 | 文芸作品
 前回11日はこう書いた。アキレス腱痛を管理しながら走っていたが、20日以上痛みが引かないので医者に行った。言われたことは「長引く。少しは走ってもよいが、基本は安静」。この瞬間に最低一週間は走らないと決めて、その後3日から12日まで結局9日間我慢した。その間、アキレス腱ストレッチとかアイシングとかに励んでいた。そして、13日と16日におそるおそる走ってみた。我慢した甲斐があったというもの、ほぼ治っていると分かった。残る痛みも、アキレス腱周囲炎症と言うよりも、運動後の筋肉痛のようなものらしい。

 13日には40分かけて4・3キロを、「ほぼ歩いた」。その痛みも2日後にはアイシングで消える程度と分かったので、16日には「ほぼ走ってみた」。45分で5.6キロになった。時速にすれば13日は6.5キロ、14日には7.5キロほどになる。わずか時速1キロの違いだが「ほぼ歩いた」のと「ほぼ走った」のでは大違いだ。それなのに16日は事後もほとんど痛みはない。故障回復末期でこわごわ実験したにも等しい試みが、見事成功したと分かった時は、我ながら嬉しかった。あとは、この1ヶ月にわたって強いられた脚筋力弱化を回復していく努力だけになった。と言っても、日々新たな加齢の中、未体験の実験的鍛錬ゾーンであるのは変わりない。やり過ぎ失敗は回復不能のような泥沼をも招きうるおっかなびっくりの試行錯誤だ。60過ぎて着手し、その諸効能に感じ入ってきたせいもあってランニングに執着してきたからなのだろうが、今の喜びもこのおっかなびっくりの程度も思いの外大きかった。

 ランニング直後に芝生に仰向けになり目を閉じてしばし寝そべっていたら、雲が僕の足の方から覆い被さってきて、草の香りを乗せた一陣の風。「…極楽、極楽……」、口をもぐもぐさせつつ喜びに浸って、全力で走っている脚のリズムを思い描いていたものだ。
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ザックジャパン(164) DFライン上げ、遠藤の実践と言葉  文科系

2014年06月17日 14時39分11秒 | スポーツ
 昨年11月オランダ戦以降の最近好調だった5連戦、4連勝とコートジボアール戦不出来との、なんと大きなギャップ! これをどうしても分析し切らずには、ギリシャ戦は闘えないだろう。この日本4連勝の中には6月3日の対コスタリカ3対1勝利もあって、この相手コスタリカは本番で強豪ウルグァイを撃破したばかりだ。D組でビリ予想チームがトップ予想チームを破った快挙は15日の第162に報告した通りだ。このコスタリカにあやかるべきは、敗戦からこそ日本も学ぶべきということだろう。

 さて、この好調5連戦の前2戦、2対2と挽回したオランダ戦、3対2勝利のベルギー戦はヨーロッパ中を沸かせ、現代表にとって刺激的この上ない戦いだった。後半出場して形勢を変えたと言える遠藤の言葉を聞いてみるべきだ。ナンバー849号から取った物である。
『オランダ戦は、全体的に後ろに下がりすぎだった。もう少し我慢して相手の前に立って守備をすれば、相手もバックパスや横パスしか出せなくなる。そしたら前にラインを上げられる。だから俺が出た時は、前戦と最終ラインの間の中途半端な位置にポジションを取った。居残る感じでボランチとしてはリスキーなプレーだけど、俺が前にいることで相手も簡単に前に出られなくなっていたし、逆に日本はラインを10mぐらい前に上げられた。オランダ戦はそれが有効だった。
 ベルギー戦の前半は、ハセと蛍がずっとフリーだった。だから後半は、自分がボールをもらう位置にセンターバックを行かせて、俺がひとつ前に出て、圭佑をさらに前に押し出すようにした。俺の位置が高かったのはそのせいで、これがうまくハマった』(47ページ)

 さて、コートジボアール戦後半のザックも、上記2戦の「遠藤の再現」を、この教訓を夢見たのは間違いない。「DFラインを上げるためには、中盤も上がって、敵パスを押さえねばならない」。今回はどうしてこれが成功しなかったか。ここが最大問題である。

正解はおそらくここだ。中央が下がらなくとも、どちらかのサイドで押し込まれ始めることがある。このゲームでは日本左サイドで負けはじめたから、DFラインがずるずると下がり始めた。左サイドに良いパスを通されるから、DFラインが我慢しきれなくなったのである。事実、左サイドに深いパスを通されて、そこから速いクロスで2失点という結末になった。

『もう少し我慢して』
『俺が前にいることで相手も簡単に前に出られなくなっていた』
 香川・長友は、この遠藤の言葉のように出来なかったのだろうか。そして、左が押し込まれるなら、右で押し返すことは出来なかったのだろうか。前後半とも、内田は良く攻めて、敢闘していたように見えたが・・・・。いずれにしても、両軍拮抗していて人数掛けた中央攻撃などは思いも寄らぬ接戦だったのだから、両サイドとも攻められなかったら敗戦は時間の問題という情勢ではなかったか。この闘いを前にしたら、最近の3連勝などは中央攻撃などを連発したりして、ずい分安易に勝っていたという印象さえ抱くのだ。ここでも何か大きいギャップを感ずる。人数掛けた中央攻撃と、両サイドさえ上がれない押し込まれ方!

「人数掛けた中央攻撃など、特に前半は使えない。どちらかのサイドから執拗に攻め、崩し、逆サイドでの抜け出し得点に結び付ける」これが僕の提起だった。日本には、ドイツ代表のエース、トーマス・ミュラー(バイエルンミュンヘン、13得点ランク11位)よりも今シーズン2点も多く点を取った岡崎慎司(15得点7位)がいる。全ドイツSBのなかで1対1の戦勝率第2位という内田もいるではないか。今期実績では、問題なく日本右サイドの方が素晴らしい成績であると、改めて強調したい。右から崩して香川で得点などと、もっともっと自信を持って良いはずだ。謙虚に、しかしちょっと怖くても我慢強くディシプリンは守って。コロンビアは、コスタリカが勝ったウルグァイよりも低い順位。勝てないわけもないのである。

 最後に、サッカーの名手であるだけでなく分析も名手、名文と見たリトバルスキーが、ナンバー7月17日号でこんなことを語っている。WCに3連続出場、優勝1回という実績からの言葉と読んで欲しい。
『ギリシャの守備陣をこじ開けるには、前線でも数的優位を作ることが重要になる』。こう語った上で、両サイドバックの攻め上がりやポジション交換を提案している。
『(コロンビア戦は)忌憚なく言えば、試合前半は、フラストレーションがたまるだろう。だが個の戦いー球際の強さや、一対一の勝負で絶対に負けないようにしていけば、少しずつ活路は開けてくる。そして試合の終盤、残り20分あたりで勝負をかける。(中略)仮に僕が日本の選手にメッセージを送るとするなら「自分たちは優秀だということを忘れるな」と言いたい』

 
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新聞の片隅に載ったニュースから(152)  大西五郎

2014年06月17日 13時23分31秒 | Weblog
解釈改憲反対 超党派215人連携 地方議員ネット設立 (14.6.16 中日新聞)

 憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認に反対しようと、二十七都道府県の超党派の地方議員でつくる「自治体議員立憲ネットワーク」の設立総会が十五日、東京都内で開かれた。安倍晋三政権に対抗する政治勢力として、市民と連携して地方から立憲主義と平和を守る方針を確認した。
 北海道から九州までの民主や社民、生活者ネット、緑の党、無所属の都道府県議や区市町村議ら二百十五人が参加。中部六県では長野六人、愛知三人、滋賀二人、岐阜、三重、福井各一人の計十四人が名を連ねた。
 共同代表の角倉邦良群馬県議(民主)は「閣議決定や法改正に歯止めをかけたい」と訴えた。学者でつくる「立憲デモクラシーの会」共同代表の山口二郎法政大教授(政治学)は講演で「集団的自衛権や憲法改正に慎重な国民の思いを代弁する大きな政治勢力が必要。地方議員から反対ののろしを上げてほしい」と期待した。ネットワークは今後、各議会で解釈改憲に反対する決議を目指すほか、来春の統一地方選挙で連携する議員を増やすための政策提言をまとめる。
                           (一部朝日新聞と重なるため省略)

岐阜自民、首相に「待った」 県内全議会に意見書要請(14.6.16 朝日新聞)

 安倍政権が今国会中にも閣議決定を目指す集団的自衛権の行使容認について、自民党岐阜県連が「性急すぎる」として、県内全42市町村議会議長に、慎重な議論を求める意見書を議会で採択するよう要請したことがわかった。県議会でも同様の意見書を採択し、政府へ提出する方針。
 意見書は集団的自衛権について、「議論を否定するものではないが、国防、安全保障の根幹に関わり、国民生活に影響を及ぼす重要な問題」「全国で公聴会を開くなどの方法で、結論を出すべきだ」としている。(以上一面、以下三面)

   統一選へ 公明に配慮か
 岐阜市内で15日にあった同県連女性部が主催するセミナー。あいさつに立った県連幹事長の猫田孝県議は、「党本部や官邸がやっていることがすべて正しいわけではない。性急というか、慎重さに欠ける」と安倍政権を批判。「公明党との関係もぎくしゃくし、統一地方選にも影響する。公明党の票がなかったら危ない議員もいる」と述べた。(以下略)

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 各種世論調査でも解釈改憲による集団的自衛権の行使には反対が多数です。こうした国民の声を無視して“改憲へ前のめり”の安倍首相に対して、学者らによる「立憲デモクラシーの会」が結成されたり、地方議会から“前のめり”にストップをかけようとする動きなどがあちこちに見られるようになりましたが、今度は足元の自民党岐阜県連から「国民の声を聞く慎重な取り組み」を求める動きが顕在化しました。安倍首相はこれらの動きを真摯に受け止めるべきです。

                                       大西 五郎
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朝鮮日報より   らくせき

2014年06月16日 17時14分03秒 | Weblog
サッカーにはほとんど関心がないので、日本は負けたんだ!という程度しか感想はありません。
わずかな時間に同じような失点をしたのは致命的だと思いました。
一点なら引き分け出来たのに・・・

朝鮮日報に、ちょっと興味深い記事があったので紹介します。
読者の質問に記者が答えるという、日本ではあまり見かけないスタイルです。


■質問:慰安婦という用語について(質問者:イ・ジェグァンさん)


 先日の朝鮮日報に、慰安婦被害者のペ・チュンヒさんが亡くなられたという記事が掲載されていましたが、この「慰安婦」という言葉は以前から気に入らなかったので質問します。「慰安婦」という言葉はそもそも非常に良い意味で使われる言葉と感じます。日本の立場からすればこの言葉を使いたいのでしょうが、被害者であるわれわれが「慰安婦」という言葉を使うのはいかがなものでしょうか。むしろ非常に屈辱的でプライドは傷つきますが、「性奴隷」や「性被害者」などが適切な表現と思います。以前は米国でも「性奴隷」という言葉を使っていたようですが、(慰安婦という言葉は)日本に免罪符を与え、日本の責任意識を弱めるような印象です。政府やメディアがこの言葉を選んだ理由が気になります。もちろん被害者女性を辱める意図は全くありません。日本に対する怒りが強いが故の質問です。


■回答:「慰安婦」という言葉は、「性奴隷」などの言葉を使った場合に被害者が感じる苦痛を考慮したもののようです(李在鎮〈イ・ジェジン〉記者)


 読者が指摘されたように、海外のメディアでは性奴隷を意味する「セックススレーブ」という言葉を使っています。海外メディアがこのような表現を使うのは、加害者が被害者に与えた身体的、精神的苦痛をより強調するという意図があるようです。これに対して韓国メディアは「慰安婦」という言葉を使っていますが、その理由は「性奴隷」という言葉が持つ語感が、被害者にとって新たな衝撃となりかねないという点と、韓国人の国民感情から「性奴隷」という言葉が与えるマイナスのイメージが原因ではないかと思います。実際に海外メディアによる海外の被害者へのインタビューを見ると、「自分は性奴隷だった」などと自然に使っています。しかし韓国の被害者が「自分は性奴隷だった」と口にするケースは非常に珍しいでしょう。もちろんたとえそうだとしても、日本に免罪符を与えるとか責任を軽くするということは決してありません。ご質問ありがとうございます。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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ザックジャパン(163) 専門家2人の総括文を拠り所に  文科系

2014年06月16日 11時53分59秒 | スポーツ
 この初戦敗戦はもう茫然自失、きちんと総括せずには眠られないというわけで、しっかり勉強した。その結果を少々。中日新聞の全二面をつかった報告、総括が実に為になった。スポーツを文化として扱っていることがよく分かる記事である。ただ、これを読むだけではあまりにも多くのことが書かれすぎていて、本当のところは分からないはずなのだ。さて、

 サッカーのような敵味方22人が組織的に絡み合ったボールゲームの総括は本当に難しい。勝敗を分ける原因にも「幹、大枝、小枝」とあって、この区別、整理が僕も含めて普通の人にはまず出来ないからてんで勝手なことを語ることになってしまう。総括の幹にあたることよりも大枝はもちろん、小枝を第一視点にして語ることさえ起こるのである。特に日本のように組織力中心のチームが強力な個人技を武器とするアフリカ勢と戦った時には、日本代表組織論に通じていないと正しいゲーム総括などはまず望むべくもない。そこで、僕のような素人にはこれが一番。「全体が見える」監督経験者だったり、それに相当する過去の名選手(ただし、全体が見える人でないとダメ)、しっかりした専門スポーツ記者だったりの視点を借りて総括するのである。

 さて、本日の中日新聞には専門記者の長文の記事以外にも、大木武氏と奥寺康彦氏お二人の「目」が載っていた。それぞれかなりの長文だが、前者はJリーグ監督も多く務めた南ア大会代表コーチ、後者はドイツでも活躍した元代表、世界的名選手だったマルチプレーヤーである。まず、このお二人が敗因を見た「目」をば、合体させることから始めてみよう。以下「 」は大木の、『 』は奥寺の言葉だ。

「両サイドバックの内田と長友は守備でもっと前に出て行くべきだった」
「(そのような)積極的な守備をせずにいたことで、香川と岡崎のMFが帰陣して対応せざるを得ない場面が多くなった」
『細かいボール回しから相手を崩す、日本の攻撃的なパスサッカーができなかった』
『香川は自分を使ってくれる味方がいることで輝く選手。(中略)ボールが回ってこず、パスをもらおうと下がったことで長所が消えてしまった』

 さて、ザック戦術を一応まとめたことがある人なら、上のお二人の言葉がこの敗戦のすべての「幹」を物語っていると分かるはずだ。
① 「前半の残り20分ぐらいから守りに入って(これはザックや選手らの言葉)」、両サイドバックが下がりぎみになった。その場合に香川と岡崎も敵SBに着いていくことになって、両サイドが押し込まれ、基本戦術コンパクト布陣が採れなくなった。これは、ここでも再三述べてきたように、得意な攻撃戦術をも殺してしまい、日本負けパターンの典型形となる。以下②のように。

② ①は日本の攻撃にもこんな欠陥をもたらす。コンパクト陣型が崩れると、まず敵ボールを追い回すだけで奪えないから、疲労だけが溜まる。この場合、トップの大迫と本田、両サイドバックなどが特に疲れる。次いで、ボールが奪えた時でもその位置が低すぎたり選手間の距離も遠かったりしてボールをつなげず、悪い形でボールを失うことも多くなって逆襲を喰らいやすいということだ。こうしてそもそも、ボール保持率で43対57では、この相手には勝てない。疲労で後半勝負も出来なかったのだし。

 この二つがザックの講評でも「幹」であると分かる。ここに「大枝」が二つ加わってきた。
③ ザックが自ら述べているように、彼の采配ミス。長谷部と大迫の交代はパスをさばけるようにとの意図からだが、これは誤りである。長谷部は効いていたし、大迫は攻守に孤軍奮闘、頑張っていた。そしてなによりも、DFラインが下がったままでは、パスがさばけるわけがない。左サイドからだけでもなんとか上げる道はなかったかを探るのでなければならなかった。

④ 『コートジボアールの速さには驚かされた』と奥寺氏も語っていたが、これは選手たちにとってはなおさら脅威であったろう。ジルビーニョなんかもう、速すぎる。①②などからこの脅威に押しつぶされつつあった後半17分に、ドログバ。見事な采配である。彼にロングボールを集めてこれをキープさせ、延びた日本陣地がさらに殺されてしまっては、失点は時間の問題であった。
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新聞の片隅に新聞の片隅に載ったニュースから(151)    大西五郎

2014年06月15日 19時15分37秒 | Weblog
次期規制委員田中氏「知識生かす」 議員らとの面談も示唆(14.6.14 毎日新聞)

 9月に任期満了を迎える原子力規制委員の後任への就任が国会で同意された田中知・東大教授(64)=原子力工学=と石渡明・東北大学教授(61)=地質学=が13日、就任決定後初めて報道陣の取材に応じた。原子力事業者から寄付金を受け取っていることなどを指摘された田中氏は、「原子力教育の研究に関与したのは事実だが、その知識を生かしてしっかりやっていく」と述べた。
 規制委や東大によると、田中氏は2011年度に東電の関連団体から50万円以上の報酬を受けたほか、田中氏の研究室が05~11年、原子力事業者など計3社から計710万円の寄付を受けた。また四つの原子力関連団体の役員なども務めた。
 田中氏は「規制委が社会から孤立しないよう関係者とコミュニケーションをとっていく」と述べ、独立性確保のため、原則として規制委員が議員や首長との面会をしていない方針を変える可能性を示唆した。

□□――――――――――――――――――――――――――――――――――――――□□

 田中知氏の原子力規制委就任についてはその適格性に疑問が出されていました。2012年に原子力規制委員会が発足するのに当たって内閣官房原子力安全組織等改革準備室が出した「原子力規制委員会委員長及び委員の要件について」の欠格要件には、「就任前直近3年間に、原子力事業者及びその団体の役員、従業員であった者」とあります。田中氏は2011年から2012年まで日本原子力産業協会の役員を務めていて、原子力行政、原発事業推進の立場をとっていた原子力ムラの一員でした。菅官房長官は「その要件は民主党政権の下で作られたもので、自分たちは縛られないと云っています。しかし衆議院でも参議院でも承認を求める政府案の採決に全野党7党が反対票を投じました。衆議院では河野太郎議員が採決のための本会議を欠席しました。
また記事にもあったように原子力事業者から多額の研究費を受け取っており、その中立性に疑問の声が上がっていました。
 この人事も“安倍流”です。安倍首相は、歴代政府によって憲法9条が集団的自衛権を禁止しているとしていたのを、政府の解釈変更によって行使できるようにするため、法律に基づかない首相の私的懇談会(安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会)を設置して、自分と同じ考えの者ばかりを集めて集団的自衛権を行使すべきだという結論を出させたり、「集団的自衛権の行使は憲法違反」という見解を示してきた内閣法制局の長官に行使容認派の外務官僚を選任したり、NHKの経営委員に右派の百田尚樹氏と長谷川三千子氏を任命し、この二人が加わった経営委員会が籾井勝人氏を会長に選任しましたが、一連の人事は自分の考え方に近い人物を重要なポストに就け、自分の望む政策を強引に推し進めようとしていることです。
 新聞社などの世論調査では、原発を再稼働することには過半数を大きく超える反対がありますが、安倍首相は国民の声が聞こえているのかいないのか、「戦後レジームからの脱却」に向けて突っ走っています。これをとめるためには一人ひとりが声を出していくことが必要ですね。
                                 大西 五郎
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ザックジャパン(162) また番狂わせ 文科系

2014年06月15日 07時09分52秒 | 文芸作品
スペインが1対5で負けてサッカーマニアでは大騒ぎになったが、さきほどまた番狂わせが起こった。専門家たちが推奨して止まなかったウルグァイが、コスタリカに1対3で敗れたのだ。しかもこの勝者・コスタリカは、この3日に日本が3対1で勝ったばかりのその相手。日本が負かしたばかりのコスタリカが、ウルグァイに勝ったという本日の結果だけから単純に言えば、日本がウルグァイに勝てないわけはないということになる。
ちなみに、本日のコスタリカはほんとうに守備が良かった。守備の時に選手らの組織的ポジション取りが良くって、相手ボールに非常に厳しく対することが出来ていた。1対1の守りでどんどん足も出していくから、強豪ウルグァイが上手くボールを回せないどころか、すぐにボールをかっさらわれていた。そして、スピードに乗った激しいカウンターを喰らう。このコスタリカが先日はどうして日本にあれだけ攻められたんだろうかと、不思議に感じたほどだ。まー日本の攻撃組織がコスタリカのこの守備力を凌駕していたと見るしかない。それにしても?

 さて、このウルグァイ、コスタリカ、イタリア、イングランドのD組から、日本が予選を勝ちぬいた場合に最初に当たる相手が出てくるのだから、この組の順位予想について評論家達は姦しかった。ほとんど誰もがこう語っていたはずだ。「勝ち残りは、まずウルグァイ。次は、イタリアだろう。コスタリカは最も落ちる」と。世界順位では、コスタリカ28位、ウルグァイ7位である。やはり、南米とヨーロッパの国々の世界順位は高すぎると、改めて感じ直したものだ。強豪が揃っているこれらの地域ではちょっと勝つとすぐに上に行けるが、強豪がいないアジアなどの地域の順位はなかなか上がらず実力よりもかなり低めになるということだろう。強い国がアメリカとメキシコしかいない中米の順位も低くなりがちなのだと思った。

 さて、以上から僕が言いたかったことは、これ。「コロンビア、コートジボアールも恐れるに足らず」と。なんせ、ウルグァイ7位、コロンビア8位と、二国は「同格」のチームなのである。対するに日本の評論家達はどうも南米のチームを評価し過ぎている。その組織性の弱さを度外視して、個人能力ばかりに目を奪われているのだとも。日本は自分が思っているよりも強いのである。世界一の国スペインの代表監督デル・ボスケや、イタリア往年の歴史的名将アリゴ・サッキらが日本についてそう語っているのをつい最近テレビなどで見たことがある。

 コートジボアールなどアフリカ勢には、南米に輪をかけて「組織が弱く個人能力頼み」の国が多い。肝心な大事なゲームになると、大きい穴も出てくるということだ。あと数時間後には日本に歓喜の声が満ちていることを期待したい。
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ザックジャパン(161) 内田篤人の凄さ  文科系 

2014年06月14日 15時35分35秒 | 文芸作品
 今、BS1で内田篤人の「アスリートの魂」を見終わったところ。凄いね。こんな数字があった。

 ドイツの協会では、走行距離とか一定以上の高速走行回数とか、全選手1シーズンのいろんな個人数字記録を取っているのだけれど、内田にはこんな数字があるという。1対1全場面の勝ち負け数字で本年度勝率は6割近く、これをサイドバック全員で見ると2位だという。何せ18チームなら30人以上、ドルトムントの2人のサイドバックも彼の後塵を拝しているのだ。

 あの身体でどうしてと思うけれど、やはりスピード、テクニックスピード、当たり方のテクニックなど色々あるんだろう。長友もそうだが、1対1闘争の「強さ」って身体の大きさや単なる筋力ではないって、サッカーでも全く同じなんだ。相撲でもそうだが、大きい奴の腰辺りに肩をぶつけると確かに常に勝てる。内田が「まるで鉄板」と評するリベリーにぶつかる時は、タイミングを一瞬ずらす。映像を見ていたら、こうだった。ぶつかりそうな内田に対してリベリーが一瞬身体を構えた瞬間のほんの一瞬後に、バーンと低く当たっていたね。これで対等になった後は、スキルスピードでやり合っていた。

 南ア大会の土壇場で守備型チームに切り替えた後全く出られなくなった彼の悔しさを知っている者にとっては、こういう結末へと生かして来た内田の努力はほんとうに感動物。あの時は岡田武史監督からこう引導を渡されたのだった。「守備型のチームにするから使えない。これからもっと守備を鍛えよ」、と。その時のことも回想した二人の最近の対談をやはりテレビで見たが、今の岡田を見た内田の顔が誇らしげだったこと! 岡田から大勲章を受けたような感じだったんだろう。

 ちなみに、1ゲーム平均の一定基準以上の高速走行回数(例えば、時速15キロ以上の速度で10メートル以上の距離を走るというような)では、岡崎は多分1位になるのではないか。
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随筆紹介 「犬のいる暮らし」   文科系

2014年06月13日 15時04分24秒 | 文芸作品
 犬のいる暮らし S.Yさんの作品

 飼い犬のボブが闘病生活になった。
 といっても本人(本犬)は、すこぶる元気である。食欲旺盛で活発、機敏に動き回り、排泄も順調そのもので、今までとなんら変わりはない。
 ことの発端は散歩中に少量の血尿が見られたことだった。たまたま日曜日だったので、かかりつけ医は休診。休日診療をやっているクリニックを受診すると精密検査が必要と言う。ボブが十才を過ぎているので、おそらく前立腺の病気を疑われたのだろう。
 結果は膀胱に腫瘍が三つ見つかった。それもかなり大きい。前立腺肥大もある。
 検査をした女性獣医師は「辛い検査だったけど、ボブ君、お利口にがんばりましたよ」そう私たち夫婦に告げた。おお、そうだろう、そうだろう。超音波検査で腫瘍は発見できたが、その後の細胞採取や検査は尿管からだ。さぞかし痛かったことだろう。
 なおも女性獣医は続けていう。「摘出となると大掛かりな手術になるので当院では限界があります。動物の高度先進医療センターを紹介します」。
 そのセンターの予約をした。そのあとのことはあまり覚えていない。目の前が暗くなり、底なし沼に落ちていくような感覚だった。
 こんなに元気なボブが悪い病気だって? 信じられない。
 大きな腫瘍ができていたなんて、なんで早く気付いてやれなかったんだろう。
 ボブの子どもが欲しかったので去勢をしてこなかったことを悔いた。少なくとも前立腺の病気は防げたはずだ。

 先住犬のラブラドールのハナを亡くしてからまだ一カ月と経っていない。
 十六年以上もハナは私たち家族と暮らしを共にした。大型犬の寿命はせいぜい十二才ぐらいなのに長生きをしてくれた。晩年は散歩や排泄、食事の世話がほんとに大変で目が離せなかった。それだけに彼女の存在感やいとおしさは格別なものであった。
 私だけでなく家族みんなが、ハナがいなくなったことをまだ受け入れられずにいた。寂しさと哀しさと喪失感でいっぱいであった。立ち直るにはまだまだ歳月が必要なのにその矢先にボブの発病とは、何かを呪いたくなる。同時に、ハナの介護中心で、ボブの体調をまったく気遣ってやれなかった自分をも責めてしまう。
 今はとりあえず先進医療センターの専門医師の予約待ちである。犬にもそんな機関があるなんて驚きだ。当然、医療費も破格の高額である。
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随筆紹介 「納得できる人生のことわざ」  文科系

2014年06月12日 21時36分41秒 | 文芸作品
 「納得できる人生のことわざ」  H・Sさんの作品 
                                 
「明日には明日の風が吹く」は、映画「風と共に去りぬ」の主人公スカーレット・オハラが、絶望から立ち上がる時、自分を奮い立たせるために用いた台詞。二十歳でこの映画に出会ったわたしは原作より映像の持つ迫力に圧倒され、これほど感動を受けた映画はないと、時を経た今も思い入れが強い。ラストシーンのこの台詞は、置かれた理不尽な状況に刃向かう凛とした姿の主人公スカーレットの映像とともに、心に深く刻み込まれている。
 二十五歳で結核に罹患。ひっきりなしに大喀血を繰り返した日々。こんなに大量の血液が体の中から失われている。こんなことで生きられるはずがない。命の終わりが迫っている。明日まで生きられるかどうかわからないなどなどの心細さに震え、気持ちはどんどん落ち込んでいった。
「命のあるなしなど誰にもわからないことだ。心のシャッターを降ろして無駄な詮索をするな」と大声でだれかのお叱りを受けた。この身体の中から湧き出た声の正体は今でも不明だが、驚きではっとした瞬間、落ち込んだ心が軽く浮き上がってきたことは確かだった。このお叱りはわたしにとって本当に有り難いものだった。
 それを取っ掛かりにして、
「明日には明日の風が吹く」、記憶のどこかに隠れ住みついていたのか自覚のないわたしなのに、この言葉があぶりだしのようにするすると蘇ってきた。
 スカーレット・オハラとは似ても似つかぬ状況にあるのに、言葉はわたしに寄り添ってくれた。一日の終わりに、今日はここまでとだれかさんに教わった通り心のシャッターを降ろす。「明日には明日の風が吹く」と毎日呪文のように唱え、明日のことは考えない。なにがなんでも眠るのだと自分に言い聞かせ、希望のない歳月をやり過ごした。闘病は三年に及んだが、病はわたしの体から逃げ去った。

 身内の揉め事に取り込まれ、気が付けばトランプカードのジョーカーを引き当てている自分に気づく。誰かに押し付ければいいと思っても、兄弟はがんで闘病中、緩和ケア病棟にいる。どこにも持っていきようがない状態に押し込まれ、一人で向き合うしかない。理不尽な辛いことが続く日々、この言葉でわたしは自分を励まし、気持ちを癒しながら乗り越えてきた。辛いことも理不尽なことも死ぬまで続くことはなく、納得いかないままで終わりを告げることが多かったが、苛酷で辛かったこの体験は無駄ではなく、人生の肥料の役割を果たすこともわかってきた。
 あんな辛いことがあっても生きられたんだ。今回も何とかなるだろう。修羅場が来ると構えて受け止めることが出来るようになり、慌て方が軽度になってきた。
 それにしても、こんなにもわたしの辛い出来事に寄り添ってくれたたった十二文字の言葉に出会っていなかったら、わたしはもっと悲壮な歳月を送ったことだろう。

 映画や物語の中の言葉は、登場人物を語るためだけに用意されたものである。物語は作り物のはずだ。なのに、全然違う状況に置かれた場合でも、わたしは自分なりにすり替えて使うことによって、勇気づけられ、癒されてきた。
 言葉には、苛酷な状況にある人の心を落ち着かせ、よき方向に案内出来る力がある。これは確かな事だとわたしは確信している。

 バカの一つ覚えのように、先の見えない真っ暗闇の中、毎日呪文のように、この言葉を唱え、苛酷な時間から気持ちを逸らし、何とか抜け切った経験から、
「明日には明日の風が吹く」は、わたしにとって納得できる人生のことわざだと言える。人は誰でも、人生のことわざになる言葉を一つや二つ持ち合わせながら困難に対処しているのだろうと推測している。 

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ザックジャパン(160) 「ザックコンセプト」と本番の課題②  文科系

2014年06月11日 17時14分36秒 | スポーツ
 前回に159で標題のことをエントリーしたら、1970さんとカジュさんがとても良いコメントを書いてくれて、3人を中心として今現在合計22ものコメントが行き交った。非常にレベルの高い討論と感じたから、ちょっとまとめてみる。その内容は当然前回を引き継いで、標題の通りのものになる。

① まず、ザックの狙いの大本に関わって、この点で3人は完全に一致している。これを特に強調してきたのは1970さんだが、カジュさんが他のサイトから持って来た引用文で示してみよう。
『日本代表について、これまでの価値観ではないサッカーを展じてると思います。これからの未来のために、日本サッカーの礎となる戦い方を示していると思います。守り勝つには限界があり、相手より多くのゴールを奪うことを主体とした攻撃的スタイル。グループステージ惨敗もあり、ベスト8もあり得る、不安定さとスペクタクルを持った、ある意味魅力のある代表になりそう』
 この点は、サッカー協会も専門家諸氏も多くが見抜いた上で、大賛成している。1970さんはこれをこう表現した。『オレとしてはギリシャから2点獲るよりはコートジボワールから3点の方がまだハードルは低い(笑)。だから失点しても慌てないことだよね。ワントップには大迫希望なんだが』
 僕はここをこういう言い方にしている。『ザックコンセプトが、ちょっと上のチーム相手に3対1か2で勝つ狙いということは第一』
 こうである以上ちょっと転べば上の論者のように『グループステージ惨敗もあり、ベスト8もあり得る』。これは、ファンも覚悟していなければならないと思う。なんせ、今回のC組は、相対的な強者も弱者もいないから勝ち抜きオッズが再接近という意味で、死のグループなのである。

② その上でまず、コートジボアール戦ではここが見所、問題になってくることになった。この相手が日本の苦手なブロック守備型で来るか、中盤で打ち合い型で来るかが。これについて、カジュさんも1970さんも結局こう述べたことになり、これは僕も賛成せざるをえなかった。相手が、走り負けて引いて守ることなどもあって結局実質ブロック守備・放り込みやカウンター狙いになるのではないかと。すると当然、双方の決戦場はこうなってくる。

③ 敵ハイボールからの1発と、そのセカンドボールを拾われて押し込まれる時間の長さ。この点では、お二人とは僕の見解はちょっと違う。僕は、テストマッチと違って日本が前半を危機管理的に攻撃すると観ているから、相手の良い放り込みは少なくなるし、釘付けされるほどには相手に前で繋がせないと強調した。よく走り、ポジションが良くって、潰しも上手い山口もいることだし、さらに具体的にはこういう事だ。
 センター攻撃や冒険的縦パスなどはテストマッチほど無理せず、前半はキープして繋ぎ、押し込み続ける方向に比重が高まるはずだと。こんな場合の攻撃は、SBが上がった左などの崩しと裏抜けとの得点狙いが主になるとも。無理攻めは少なくなり、ボールを捕られた場合のリスク管理を重視した攻勢的な布陣と繋ぎになるということである。
 もっとも、①を強調する1970さんが言うように『撃ち合い上等のチームをこっちも作った』のだから、長友が上がった左の崩しからの中央攻撃などは当然前半からあるだろう。ただ、その回数と人数かけがテストマッチよりも減ると僕は観ているわけだ。また、本番用にと監督がいくらセーブしても攻めるというのが、今の選手たちの良いところとも言える。こうして、選手全員での「本番用危機管理攻め」というものを僕は興味深く観ていたいと思っている。何せ日本CBが1対1になったら弱いというのは、覚悟の上でこうやってきたのだから。1対1重視ならば別のCBが選ばれたはずであって、その場合は今のコンセプトを変えねばならぬのである。これは1970さんを筆頭にみんなの暗黙の前提だ。

④ それにしても、次のギリシャも含めて、ブロック守備の相手から本番ではどう得点するのだろう。日本のオランダ・イタリア戦などを検討するなら、カウンターが上手いコロンビアでさえがブロック陣型で来るかも知れない。これは、前のコメントのまとめと言うよりも僕の新たな提起なのだが。
 得意の「長友も上がった左の崩しから右で得点」と「裏への抜け出し得点」が最も可能性が高い。それには二つの前提がある。ザックが口を酸っぱくして言ってきたことなのだが、ワントップが敵CBを下げさせて敵陣に深さを作り、上がったSB一人と左右ウイングのうちの二人が敵陣を横に拡げていることである。その上で左の崩しなどに敵を集めてから、抜けだし得点、それでダメならサイドを崩してからの中央なだれ込み得点。これへの期待として、前回のコメント最後を僕としてはこう書かせていただいた。
『シュート時の気負いって、日本人は凄いよね。でも例外が三人いると思う。前から気負わないのが香川で、最近そうなったのが大久保と岡崎。
 上を踏まえて1970さんへのお応えなんだけど、今の代表ワントップはやはり2列目生かし(と自身の得点狙い)と「半々」でよいと思う。香川と岡崎がいるのだし。なんせ二人とも「ドイツでも名を馳せた点取り屋」だからね』

 ここでは全くの余談だけど、今こんな朗報を観た。開幕戦のブラジル対クロアチア戦を、日本の西村雄一主審ら3人が担当すると発表された。日本にとってこの上ないビッグニュースだよね。
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「よたよたランナーの手記」(52) 我慢  文科系

2014年06月11日 00時09分36秒 | 文芸作品
 アキレス腱痛を管理しつつ走り始めて20日を超えたが、その状況を前回4日にはこう書いている。
『ちょっと間を置いた28日は、痛みを恐れてこわごわと30分で4キロをゆっくりと走った。が、アキレス腱痛で、中断。痛みが引くのが早くなった31日には調子が良かったので9.5キロ時までスピードを上げたのがいけなかったらしく痛みが出て25分で中断、3.6キロ。3日には外コース4.5キロほどを40分で、と走ってきた』
以降今日まで、6日にはサイクルツーリング、7日には整形外科医に初診。レントゲンも撮った診断の結果が「典型的なアキレス腱周囲炎で、長引きます。安静が第一で、いつ治るかは難しいところ、言えないです」。かと言って、「痛まない程度で1~2キロなら走っても良い」とも言われたし、とても複雑で、難しい局面にいると了解した。取りあえず、3日から1週間は走るのは控えて様子を見ようと10日現在までは走っていなくて、右下肢ストレッチに努めている。サイクルツーリングでは全く患部の痛みを感じないので、これは不幸中の幸い。右膝も含めて右下肢以外は鍛えられるから、外出などでちょくちょく乗っている。

 この程度の痛みなら管理して走るなどと、これはもう少し若いときの対処法だったのだ。そう思い知らされた。とにかく老いというものは自分にとってすべてが新世界であり、この新世界の迎え方でまた失敗したのだなと、反省している。まーぼつぼつやるさ。慢性心房細動・心臓カテーテル手術と進んだ9~12年3年間のブランクも乗り越えてここまで来たわけだから、それを振りかえればなんということはない。例えあの時より3才ほど年をとっているとしても。
 身体の老いと戦う道はとにかく色々あるのだ。ギターレッスンでもいま、これを実感している。足かけ2年ほどの後退を苦労してちょっと回復へと変えられた。長時間をかけて根気よく、色々分析しつつ試行を重ねて、確かな前進拠点を見つけることができたようなのだ。今月末にある教室発表会に、いくらか余裕を持って臨めそうな気がしてきた。
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書評「暴露 スノーデンが私に託したファイル」③  文科系

2014年06月10日 12時46分52秒 | Weblog
 この著作は期せずして、こんな点も同時並行で描いていくことになった。

①政府とマスコミ
 マスコミがいかにして「体制内マスコミ」にされているかという手口が描かれている。重大な記事は必ず、事前に関係部局に弁護士を通じたりしてお伺いを立てねば後でどんな不法な報復があるかわからないので闇雲には進めないのだし、このお伺いに対して当局は待ったを掛けてスクープ発表をちょっとでも先延ばしにしようとする。まるでその度合い、お伺いの丁寧さと先延ばし期間の長さとで、そのマスコミが体制的か否かが決まると言えるほどだ。
 スノーデンが英国に本社があるガーディアンとその専属のようなジャーナリストに、告発機会を長く待ってでもあくまでも拘った理由もそこにある。なおガーディアンは、この内部告発発表でピューリツァー賞を受けている。なおガーディアンや著者への報復は、前回に一部述べた通りである。

②告発者への人格攻撃
 これは内部告発者に対して常に必ず、大々的に行われることである。攻撃の強さによって、体制内の程度が分かるというほどに。
『言うまでもなく、スノーデンへの攻撃は熾烈を極めた。そして、その攻撃は奇怪にも同じ類のものばかりだった。(中略)(スノーデン自身のマスコミ告発があってから)数時間後には、スノーデンの性格や動機についての誹謗中傷ゲームが既に始まっていた。彼の行動は信念に基づくものではなく、名声を求めたナルシズムによるものだ、と彼らは口をそろえて唱えた。』

 著名マスコミ人によって実際に発されたスノーデンへのマスコミ発言はこんなものだ。
『ほかの人間より自分が賢いと思い込んでいるナルシスティックな若者』(CBSニュース司会者)
『刑務所行きがお似合いの誇大妄想型ナルシスト』(ニューヨーカー)
『(スノーデンは)男の服をまとった”赤ずきんちゃん”として歴史に名を残し』(ワシントン・ポストのリチャード・コーエン)
『高校もろくに卒業できなかった」「どこまでも孤独な人間」』(ニューヨーク・タイムズのコラムニスト)
『「社会に募る不信、痛烈なまでの皮肉、社会構造のほころび、個人主義に拘泥して他者との関わりや公益のほんとうの意味を理解できない人々」の象徴だ』(同上)
『高校を中退した負け犬』(政治メディア「ポリティコ」)

 因みに、過去の内部告発者では、こんな例もある。
 ニクソン時代にペンタゴン文書を告発したダニエル・エルズバーグ。
『政府はエルズバーグの精神科医の診療室に不法侵入してカルテを盗み、彼の性生活まで調べ上げた』
 ウィキリークスの創始者ジュリアン・アサンジも同じである。
『アサンジは髪を染め、偽名を使ってホテルにチェックインし、ソファや床で眠り、クレジットカードを使わず、友人に金を借りてまで現金払いにこだわる。その振る舞いは横柄かつ奇妙であり、被害妄想に取り憑かれているとしか思えない。今や多くの人々がアサンジは合衆国への復讐を求めているだけだと非難している』(ニューヨークタイムズ記者)

③この告発への世界の反響
 メルケル首相がオバマ大統領に電話盗聴を抗議するなど、世界の反撥があったことは有名だ。
 また、この本自身が世界24ヵ国同時翻訳書刊行という事実によって証明されるように、価値あるものとして世界の話題になっている。
 また、先にも述べたように、スノーデンのこの内部告発シリーズによって英紙ガーディアンはピューリッツァー賞を受けた。

(これで終わりです)
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そろそろ逃れられない『フクシマの甲状腺癌』  文科系

2014年06月09日 17時05分02秒 | 国内政治・経済・社会問題
 週刊現代最新号にフクシマ甲状腺癌の多さと、標記を告発した記事が載った。フクシマ(政府側)関係専門家や、チェルノブイリ事件後に詳しい専門医師らの発言もきちんと取材した、しっかりとした記事である。
 フクシマ県民健康管理調査検討委員会の「闇」を暴いた毎日新聞記者・日野行介氏の著作をここで何度も紹介してきたが、その内容とも一致している。この週刊現代記事を要約してみよう。

①子どもの悪性甲状腺癌がチェルノブイリでは1万人に1人の発生割合だったが、フクシマでは既に6000人に1人になっている。チェルノブイリの甲状腺癌急増は事故後4~5年頃からだったが、フクシマはあと1年足らずで4年経ったことになり、これから急増するのではないか。

②チェルノブイリ甲状腺癌は乳頭癌がほとんどだったが、フクシマも同じ。放射線由来甲状腺癌は、乳頭癌になるということなのだ。

③厚生省に75~08年甲状腺癌数字があって、15~19才で100万人に5人であった。20万人に1人となり、いくらこれが発生率ではなくて発現率なのだと言ってみても、フクシマで異常に甲状腺癌が多いことは確かである。

④そもそもフクシマで手術したのが50人という数字が、深刻さを物語っている。チェルノブイリでは子ども甲状腺癌について6人に1人に肺転移があったが、その不安があったのではないか。

⑤以上①~④から、フクシマで未だに事故放射線由来甲状腺癌ということを認めないのはおかしいのではないか。

⑥東京、千葉、茨城、栃木でも事故後の11年3月に水道水から放射性ヨウ素が検出されて、子どもに水道水を飲ませないようにと警告が出た自治体が存在する。これらの地の健康調査などをやらないでいてよいのか。確率がフクシマよりかなり低いとしても、人口密度がはるかに高いから、警鐘を鳴らしたい。

⑦大人の甲状腺癌も、調べなくて良いのか。こちらは脳と骨に転移が多いはずだが。
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