大学の研究所に行って何やってるの? と聞かれるけれど,これがなかなか説明しにくい.
行っているのは加速器の研究所で,加速器は素粒子に高エネルギーに与えるもの.ぼくの場合素粒子は電子,エネルギーはこの業界では大したことはなく,数十MeV.ビームを標的にあてたときに起きる化学反応の研究に用いる.
電子ビームを極端に短い時間に詰め込むのがここの加速器の特徴で,当面の時間の目標はフェムト秒(10の-15乗秒)を切ること.ちなみに1フェムト秒の間に光が進む距離は100nm, 1mmの1万分の1だ.電子ビームのパルス幅の逆数fを E=hf に換算したとき,これが標的のイオン化エネルギー程度になると,ビームは電離現象に対して一個の巨大粒子のようにふるまう.電荷Zeを持つ一個のイオンに対する標的の阻止能はZの2乗に比例する.従 ってN個の電子からなる超短電子ビームに対する阻止能は, ZをNで 置き換えたものになるからNの2乗に比例する. Nは10の何乗という天文学的な数.ふつうは電子ビームの阻止能は単一電子の阻止能のN倍でしかない.
図のように電子ビームはイオンビームに比べ透過力が大きい...というと聞こえが良いが,何もしないで標的のを突き抜けてしまう.ビームのパルス幅を極端に短くすれば大きな阻止能を受ける結果,突き抜けるどころか標的のほんの表面で全エネルギーを失う.ここにHigh-energy-densityすなわち,近頃話題の高エネルギー密度状態...言うなれば核融合が起きてもおかしくない状態...が生じるというのが,捕らぬ狸の皮算用.
まだ計算の段階.ちなみに実験では,100フェムト秒のビームパルスができた段階.クラスタービームというものがあって,1970年代から同様な現象が期待され,その計算法も研究されてきた. これを電子ビームに焼き直せば良いのだが,相対論だの,量子論だのが入ってきて難しいね...というのが現状.
ここまで読んで下さったかた,お退屈さまでした.
行っているのは加速器の研究所で,加速器は素粒子に高エネルギーに与えるもの.ぼくの場合素粒子は電子,エネルギーはこの業界では大したことはなく,数十MeV.ビームを標的にあてたときに起きる化学反応の研究に用いる.
電子ビームを極端に短い時間に詰め込むのがここの加速器の特徴で,当面の時間の目標はフェムト秒(10の-15乗秒)を切ること.ちなみに1フェムト秒の間に光が進む距離は100nm, 1mmの1万分の1だ.電子ビームのパルス幅の逆数fを E=hf に換算したとき,これが標的のイオン化エネルギー程度になると,ビームは電離現象に対して一個の巨大粒子のようにふるまう.電荷Zeを持つ一個のイオンに対する標的の阻止能はZの2乗に比例する.従 ってN個の電子からなる超短電子ビームに対する阻止能は, ZをNで 置き換えたものになるからNの2乗に比例する. Nは10の何乗という天文学的な数.ふつうは電子ビームの阻止能は単一電子の阻止能のN倍でしかない.
図のように電子ビームはイオンビームに比べ透過力が大きい...というと聞こえが良いが,何もしないで標的のを突き抜けてしまう.ビームのパルス幅を極端に短くすれば大きな阻止能を受ける結果,突き抜けるどころか標的のほんの表面で全エネルギーを失う.ここにHigh-energy-densityすなわち,近頃話題の高エネルギー密度状態...言うなれば核融合が起きてもおかしくない状態...が生じるというのが,捕らぬ狸の皮算用.
まだ計算の段階.ちなみに実験では,100フェムト秒のビームパルスができた段階.クラスタービームというものがあって,1970年代から同様な現象が期待され,その計算法も研究されてきた. これを電子ビームに焼き直せば良いのだが,相対論だの,量子論だのが入ってきて難しいね...というのが現状.
ここまで読んで下さったかた,お退屈さまでした.