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Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

中年宮本武蔵

2007-02-04 10:07:07 | 読書
鈴木輝一郎「中年宮本武蔵」双葉社 2003/10

図書館で借りてきてすぐ読んでしまった.このとき武蔵は53歳.当時の常識では中年というより老年.時代に受け入れられないスーパーマンという設定.このとき息子(じつは武蔵とはかってのホモ関係ということになっている)の伊織は九州小倉藩の家老で,小説はこの伊織の視点で描かれる.伊織という常識人,というより20代で家老職をつとめる能吏が,非常識・傍若無人な武蔵の尻ぬぐいをしてまわるうち,朝鮮通使命暗殺の陰謀に巻き込まれ,柳生一族・伊賀者と,100(以上)対3で闘うことになる.3は武蔵と伊織ともうひとり,「りく」という名のおんなのこ.

柳生十兵衛,荒木又右衛門,細川三斎などが登場するが,メインは100(以上)対3の闘争というより戦争.いくら「ちぎっては投げ」を連発しても勝てるわけはないので,はなしはどんどん荒唐無稽になる.あとがきには,資料できっちり裏は取っているように書いてあるが,じつは武蔵に関する資料なんかないので,何を書いても構わないということだろう.
「ものすげえ」などという形容詞がときどき地の文に出てくるのは著者のくせなんだろうか.

ストレス解消には最適.もっとストレスが溜まったときに読んだらもっとすかっとしただろう.
吉川英治の説教くさい宮本武蔵から3/4世紀.このようにふざけた小説が世に出るということは,にほんの文化もとにかく成長しているということだろうか.
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