Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

連作のこだわり 「心臓と左手」

2008-01-11 11:11:36 | 読書
石持浅海「心臓と左手」光文社 カッパノベルズ (2007/9)

7編の短編集だが,パターンが決まっている.まず2ページほどで事件が示され,一転して警視と「彼」が新宿の大型書店で落ち合い,飲食店の個室に移動し,そこで彼が安楽椅子探偵ぶりを発揮する.事件もたいてい過激派とか新興宗教とかが絡んでいる.しかし彼が指摘した犯人が逮捕されることはない.
このように,パターンにこだわった連作,大好き.

最後の作品だけがこのパターンを踏襲していないところもよい.ただし,この最後のはミステリとしてはものたりない.

この連作は,長編
石持浅海「月の扉」光文社 カッパノベルズ (2003/8) ...昨年文庫化
で良いところをみせた座間味くんが「彼」である.月の扉そのものは,SFあるいはファンタジーっぽい部分が中途半端だったが,座間味くんはかっこよかった.すこし老けてしまったが,再登場してくれて嬉しい.作品としてもこんどの短編集のほうがずっと良かった.

しかし警察官というのはしょっちゅう新宿であんなに美味そうなものを食べているのだろうか.
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