Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

安徳天皇漂海記

2009-02-25 08:41:08 | 読書
宇月原晴明 著 中公文庫 (2009/01)

前から気になっていたのが,文庫化されたので購読.

*****内容 (「BOOK」データベースより)*****
壇ノ浦の合戦で入水した安徳天皇。伝説の幼帝が、鎌倉の若き詩人王・源実朝の前に、神器とともにその姿を現した。空前の繁栄を誇る大元帝国の都で、巡遣使マルコ・ポーロは、ジパングの驚くべき物語をクビライに語り始める。時を超え、海を越えて紡がれる幻想の一大叙事詩。第19回山本周五郎賞受賞作。
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古事記をネタにした伝奇小説.2部構成で,第1部は源実朝が中心.和歌のほかに,吾妻鏡,明月記,古今著問集などが原文のままで,適当に短く引用される.大学受験以来の古文にすっかり韜晦されてしまった.

第2部はマルコ・ポーロが中心.ここまで来ると,「うつろ舟」という章があったりして,澁澤龍彦「高丘親王航海記」の影が濃い.解説(皆川博子)の言うように,確かに,幼いまま成長しない安徳天皇と,やはり幼い南宋の皇帝のふれあいは胸を打つ場面だが,全体的には SF によくあるパターン.

第1部だけで良かったんじゃないの,と思ったが,一冊でふたつの小説が楽しめるということもできそうだ.

カバーデザインは単行本と同じ,ミルキィ・イソベ.
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