Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

武満徹・音楽創造への旅

2016-04-03 08:49:12 | 読書
立花 隆, 文藝春秋 (2016/2).

雑誌「文学会」に約6年にわたって連載された,伝説の超ロングインタビューがついに書籍化という宣伝文.770 ページ,厚さ 4.3cm の大著.図書館で借用.
(物理的に) 重すぎる.分冊で文庫になったら買おう.

Amazon のページには二部構成 66 項目の目次が全部改行付きで並んでいる.どこから読んでもよく,どのページも面白い.この本は (どの本も,だけれど) 要約困難.

著者=立花氏と現代音楽という組み合わせに違和感があったのだが,全くの認識不足だった.材料の取捨選択,取材が武満の周辺に巻いて行き届いていること,その他目の付け所が音楽評論家と違う.しかも音楽そのものの記述が堂に入っている.文章も平易で読みやすく.つい著者のフィルタを通した武満像であることを忘れてしまいそう.

前半生の若い頃の方が,戦後という環境も手伝って面白い.町を歩いていてピアノの音が聞こえると,その家に上がりこんでピアノを弾かせてもらったというエピソードが再三登場する (他にも重複する記述は多い).「二つのレント」などの初期の作品は楽譜が残っていないというのも,今の情報社会からは考えられない.

武満は本来は破滅型に分類される.モンクとかコルトレーンとかビル・エヴァンスのご同類という印象である.武満の場合,夫人がうまくコントロールしてくれた.本人はおかげで幸福な一生を送れたが,そうでなかったら彼の音楽は違うものになっていたかもしれない,のだそうだ.
コメント
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