村木 美涼「窓から見える最初のもの」早川書房(2017/11).
第7回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作.巻末に選評.審査員は北上次郎,鴻巣友季子,藤田宜永氏、清水直樹・ミステリマガジン編集長.
Amazon の紹介*****
心療内科に通う女子大生、購入した油絵の真贋を疑う経営者、喫茶店の物件探しを依頼された不動産屋の女性、自分の名前を騙った失踪人に戸惑う会社員。年齢も性別も境遇もちがう4人の人生に待ち受けていたのは……細部の描写、精緻な構成が光る日常のミステリ。*****
上記4人にそれぞれ7章ずつが割り振られ,4つのストーリーが交代に (順序は多少不規則) 現れ,最後に統一される趣向. こういう形式って他にあるのだろうか ? 連載小説を取っ替え引っ替え読むようなもので,すぐには前を思い出せなかったり.
殺人はあるが会話に出てくるだけ.登場人物に悪人はなく,ほのぼのと恋愛小説的に終わる.やや強引なところはあるが,ていねいに書いてある.著者は若い女性と思ったら,1967 生の主婦とのこと...十分お若いですが.
実際にこの社会で起こっていることは,一見独立しているようでも,こんなふうに絡みあっているのだな,という感慨は残った.
装画 中島梨絵.読んでいる途中はおもしろかった.図書館で借用.