Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

高峰秀子「私のインタヴュー」

2015-11-28 09:27:38 | 読書
高峰秀子 河出文庫 (2015/11).

「婦人公論」連載.1958 年に中央公論社から刊行されたが,その後何度か出版社を変えたのち,文庫入り.

インタビューの相手は普通の人たち.主として女性で,二人以上のことが多い.

- アメリカから帰った原爆乙女
- 芸者さん
- 「親探し運動」で再会した親子
- 産児調節運動者
- 希交会の女中さん
- 灯台を守る人たち
- 街の美容師さん
- 撮影所の裏方さん
- セールスウーマン
- サーカスの女性たち
- ニコヨンさん
- 日本を碧い眼でみる

最初のインタビューはぎこちないが,次第に慣れてきたようだ.

原爆乙女,灯台守り.ニコヨンさんなどは,時代の証言という感じ.インタビューする側よりされる側に興味が行く.これが本来のインタビューというものなんだろう.しかし,現代の読者には原爆乙女もニコヨンもなんのことかわからなくて当然.文庫化に際してはそれなりの解説が欲しかった.写真も小さすぎるが,原本でも小さかったのだろうか.

高峰さんは相手と同じ目線で話そうとしているが,女中さんたちが相手のときには,(女中さんを)使う立場から発言しているのが面白い.
ときに触れて,女優の肉体労働が大変だとか,養女に出されて子役として稼がされたというような,被害者の立場からの発言が飛び出す.

「はじめに」にあるように,高峰さんは映画界に馴染めなかったらしい.その結果引退するのだが,それでも文筆活動は続いた.ひとこと言わずにはいられない性格だったのだろう...世間との接触を完全に断ち切ってしまった原節子の場合と対照的.


追記(12/4)

最後のインタビューには武谷三男夫人が登場する.

高峰さんは「一等」をしばしば副詞として使う.例えば
「二人で働いて蔵が建つと言われると一等腹がたつ」
など.この用法,この頃あまり出会わないが,西日本では使わないのだろうか.それとも近頃になって廃れたのだろうか - 理由は空間的 ? それとも時間的 ?

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 臨書 宮沢賢治 | トップ | 喜びも悲しみも幾歳月 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事