広島市立基町高等学校創造表現コースが平成19年度より毎年,被爆体験者の証言を「聴き描き」する「次世代と描く原爆の絵」シリーズの展示.広島国際会議場.現在までに137点の作品が完成しているとのことだが,展示されているのは今年制作された11点を含む37点.一枚ごとに丁寧な和文英文による解説つき.主催者の意図に従っているかどうか,不明だが,Youtube のこの動画に展示作品のほとんどが紹介されているようだ.
この午後は冒頭の写真のように,高校生作家・OG作家によるギャラリートークがあった.一般には絵画すなわち自己表現だが,この場合は自己を殺して被爆体験者として描かなければならないのか,ということが問題だろう.ひと筆ごとに注文をつける体験者がいた一方,「あの閃光は人によって赤く見えたり白く見えたりしたのだから,あなたの好きな色にしてください」と言う体験者とペアになった場合もあるようだ.
一気に勢いで描いた絵はなく,どの絵も苦心の末に完成にこぎつけた感じ.プロの画家の絵と違ってどこか稚拙だが,それゆえにかえって生々しい迫力が感じられる.
構図は紙芝居的だし,絵の大きさと画材も統一されているようだ.創造表現コースの生徒さんたちは将来も美術関係の仕事につきそう.何年か経ってから,好きな画材・好きなサイズで,ただし今度は被曝体験者とは独立に,もう一度同じテーマに挑戦されてはいかがだろう.
この取り組みは
として書籍化されている.
県立美術館などで全137点の展示を期待したい.
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