現在使われている12音平均律は和音の響きがイマイチで,響きを理想化すると純正律になる.平均律では全音は2半音,オクターブは12半音だが,純正律には複数の半音・複数の全音が存在する.転調にそなえるためである.このため鍵盤楽器の鍵盤は,今のピアノのような一次元配列ではすまない.
理工系の方には,ヘルムホルツはコイルの名称,あるいはエネルギー保存則,あるいは流体力学での渦定理などでおなじみだが,音楽研究の先駆者でもある.ドイツの彼のもとに留学した田中正平は26鍵の純正律オルガンを発明し,ドイツ政府からも日本政府からも賞金を得たそうである.
図(b)が田中正平のオルガンの鍵盤の1オクターブである.その鍵に割り振られた音は,(a)のオイラー格子の音に対応する.この図(a)は先日のブログに示したオイラー格子から,上4段を取り出し,左右に拡張したもので,26の音がある.段が異なると異音同名になるので,図では3段目より上では,2段目の各音にに"+",1段目の各音には"++"をつけ,また下の4段目の各音には"-"をつけた.
このオイラー格子の 26 音を図 3.14(b) のように鍵盤 にわりつける.F,C,G,D+.A+,E+ が純正律の長音階を構成する.これら を (b) の白鍵に割り付ける.(a) の 1 段目と 4 段 目では,どちらかの段の音が一括して黒鍵に割り付けられる.鍵盤では,シャープ系の調性の曲では 1 段目,フラット系の調性 の曲では 4 段目を使うように一括して切り替える.
転調が激しい曲の 演奏はやはり困難らしい.また,切り替えても実現できる音は 26 に過ぎないから,実現できる調性は限られる.複雑な鍵盤デザインのわりには演奏できる調性が 少ないという批判もある.
下の写真は浜松市楽器博物館のもの.
理工系の方には,ヘルムホルツはコイルの名称,あるいはエネルギー保存則,あるいは流体力学での渦定理などでおなじみだが,音楽研究の先駆者でもある.ドイツの彼のもとに留学した田中正平は26鍵の純正律オルガンを発明し,ドイツ政府からも日本政府からも賞金を得たそうである.
図(b)が田中正平のオルガンの鍵盤の1オクターブである.その鍵に割り振られた音は,(a)のオイラー格子の音に対応する.この図(a)は先日のブログに示したオイラー格子から,上4段を取り出し,左右に拡張したもので,26の音がある.段が異なると異音同名になるので,図では3段目より上では,2段目の各音にに"+",1段目の各音には"++"をつけ,また下の4段目の各音には"-"をつけた.
このオイラー格子の 26 音を図 3.14(b) のように鍵盤 にわりつける.F,C,G,D+.A+,E+ が純正律の長音階を構成する.これら を (b) の白鍵に割り付ける.(a) の 1 段目と 4 段 目では,どちらかの段の音が一括して黒鍵に割り付けられる.鍵盤では,シャープ系の調性の曲では 1 段目,フラット系の調性 の曲では 4 段目を使うように一括して切り替える.
転調が激しい曲の 演奏はやはり困難らしい.また,切り替えても実現できる音は 26 に過ぎないから,実現できる調性は限られる.複雑な鍵盤デザインのわりには演奏できる調性が 少ないという批判もある.
下の写真は浜松市楽器博物館のもの.
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