森田真生「偶然の散歩」ミシマ社 (2022/9).
ミシマ社の本は2冊目.造本が独特である.右下の写真のように,カバーを取ると背には署名も著者名もなし.表紙にはカバーの挿画がパターンとして連続している.右上の写真のように,様々な紙が用いられている.装丁 寄藤文平 (文平銀座).
AMAZON の紹介****
思索、数学、子供との時間、今という瞬間…
偶然の日々の中で一度きりのすぐ近くにある、永遠をつかみたい--
その思いを胸につづられ、あふれでてきた、詩のような言葉たち。
散歩は、子どもたちとの本当の散歩のときもあれば、先人や先達との、時空を超えた思索の散歩のこともあった。二度とない偶然の散歩を、心に刻みつけるように書いた(まえがきより)
偶然の日々の中で一度きりのすぐ近くにある、永遠をつかみたい--
その思いを胸につづられ、あふれでてきた、詩のような言葉たち。
散歩は、子どもたちとの本当の散歩のときもあれば、先人や先達との、時空を超えた思索の散歩のこともあった。二度とない偶然の散歩を、心に刻みつけるように書いた(まえがきより)
日経新聞「プロムナード」全25回ほかを収録。『数学の贈り物』から3年半、著者に訪れた大きな変化の感覚が息づくエッセイ集。
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Wikipedia には,著者は数学をテーマとした著作・講演活動などを行う「独立研究者」とある.国内外で「数学演奏会」「数学ブックトーク」などのライブ活動を行っているそうだ.
もともとは文系人らしい.「心が降り立つ」「未来の種」「生きがい」「ともにあること」「遅々として,遠くまで」...といったエッセイのタイトルを見ていたら,この本を敬遠していただろう.「数学」を期待したので満足度は3割くらい.でも最近では,どんな本に対しても最近の満足度は3割くらいかもしれない.ぼくにとっての3割の例を以下に挙げると...
「船上に 26 匹の羊と 10 匹のヤギがいる.船長は何歳でしょう ?」という問題に,フランスでは大多数の子供が 36 歳と答えた.アメリカの某教育者は小学 5 年生の息子にこの質問をしたところ「36.こういう問題のときは数字を足すか引くか掛けるんだよ」と言われた.おもしろい !
数字を覚えはじめた子どもは,1と2と3を混同するが,これらと0と8とは別なものと認識する.トポロジーでは1と2と3は位相同型だからだろう.
漢字の数字 一,二,三についてはこの本では言及がなかった.
天命反転住宅 (HP によれば,全部で9戸の集合住宅で,内外装に 14 色が使われ,個々の部屋の色の組合せが全部異なることから,瀬戸内寂聴「極彩色の死なない家」と言った) のことが書いてあった.
言語学習アプリ Duolingo が紹介されている.この Duolingo が考えたことは,誰も翻訳したことがない文章を課題として学習者に与え,解答から正しい訳を選んで翻訳ビジネスとすることであった.見返りとして翻訳者=学習者には学習環境を与える.
5分ほどハングル語を学習してみた.
5分ほどハングル語を学習してみた.
数学の証明の間違いが 20 年後に発覚した.証明は機械にチエックしてもらう時代が来るかも.ならば機械にわかりやすい数学の基礎言語が必要.ヴォエヴォドスキーが牽引した「ユニヴァレントな基礎付け」プロジェクトがそれである.
etc.
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