Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

父「永六輔」を看取る

2020-04-20 09:09:05 | 読書

永千絵,宝島社 (2017/7).

Amazon の紹介*****

2016年7月7日、昭和を代表する「才人」が逝った--。
永六輔、享年83。本名、永孝雄。ラジオ・テレビ番組の演出、作詞家、ラジオパーソナリティーなど多彩な才能で知られた。逝去から1年。長女が10年におよぶ笑いあり・涙ありの介護の日々を、初めて綴る。

「世に知られた〝六輔〞としてしか存在しなくなってしまったように思える父を、〝孝雄〞だった父として少しでも自分のほうへ引き戻すことができるのではないかと思った。自分自身の精神安定のためにもそうしなければ、と思った。」(本書はじめに より)

タレント「六輔」と父「孝雄」の間で揺れていた長女が、介護を通じて初めて真正面から向き合った父と娘の物語--。*****

 

16トンが知っているのは「上を向いて歩こう」あたりの永六輔だが,晩年の彼はもっぱらラジオパーソナリティーだったらしい.パーキンソン病になり,言語が不明瞭になっても,死の一年半前まで番組を続ける...ラジオは凄い! 

大腿骨骨折で車椅子に乗り,せん妄が現れるときが,現在の16とんの年齢.著者の目線というより,その父親の目線で読んでしまい,娘がいるのを羨ましく感じた.娘にわがまま言って甘えているばかりだ ! 死の前年あたりからは,手術する・しない,家に帰って在宅介護してもらう・もらわない,といった決断も自分では下さなくなる.娘ふたりの大舟に載っている気分だが,著者は「奥床しい」と言ってくれる.著者の御夫君は六輔のマネージャーだったそうだが,今はどうしておられるのだろうか.

これが一人暮らしの孤老だったらどうなっただろう.「尊厳死」が頭をよぎったが,そんな言葉は著者には論外だったようだ.

介護保険への不満も書いてあるが,故人の収入?のおかげで介護費用は潤沢だったと言えそう.寝返りをうたないと床ずれができてしまうのだが,深夜に「体位変更」のサービスを提供する会社があることも,この本で初めて知った.

PSA 値が低くても前立腺癌が背骨に転移することがあるそうで,これが死につながったようだ.担当医師によれば「死因は肺炎とするが,老衰と言っていい状況」の,穏やかな最期だったという.

 

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