アダム・カバット「妖怪草紙―くずし字入門」柏書房 (2001/07).
「 シリーズ日本人の手習い」の一冊.著者はニューヨーク生まれ.近世・近代日本文学と比較文学が専攻.向田邦子「思い出トランプ」などの翻訳も.現在は武蔵大学教授.はしがきによれば「日本人の学生を相手に,日本語を教えるという大胆不敵な試みに最初は緊張しましたが,よい学生たちに恵まれいまは楽しくやっています」とのこと.うらやましい.
われわれにとっては,江戸時代の本を読むのと,英語の本を読むのは大して変わらないかも.
妖怪を「ナビゲーター」として,前半ではくずし字を「現在の仮名とほぼ同じもの」「似てすこし違うもの」「まったく形がちがうもの」の三つに分けて解説している.後半の応用編では十返舎一九作画のストーリーを読む.
現在の仮名文字とくずし字が一対一に対応していないところが難しい.たとえば「わ」は「和」起源のものと「王」起源のものがある.「は」にいたっては六つくらい起源がある.
文例が現在のいいまわしに近ければ,「まったく形がちがう」くずし字でも前後の脈略から読めてしまうが,そうでない場合は字は読めたと思っても自信が持てない.
見慣れないせいか,妖怪の絵に,怖いとかカワイイとかの思い入れは生じない.
とくにモチベーションがないので,「ああおもしろかった」で終わってしまいそうなのはちょっと残念.江戸時代のエロ草紙に挑戦してみようか.
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