芸術新聞社 (1996/06).古書で 500円.
著者 (1930-2007) は東京芸術大学で梅原龍三郎に師事.Wikipedia によれば「裸婦美人画家として...その絵はカレンダーやポストカードとなり画集は広く親しまれた。」
前世紀,つくばの研究所に勤めていたとき,年末にエフ機工がこの高塚省悟のカレンダーを配ったことがある.おやじさんは画鋲持参で勝手に自社のヌードカレンダーを各部屋に貼りつけてまわった.しかし芸術的すぎると,評判はイマイチだったため,翌年は水着アイドルカレンダーに変わってしまった.
「BOOK」データベース (Amazon) によれば*****
油絵の中に日本的美意識を込める画家・高塚省吾が、画家として半世紀の経験を吐露。絵の描き方、見方、モデルとのいろいろな出合い、デッサンのこつから、東西の美意識や現代の文明と美術文化論まで思うままに綴る美術のうらのはなし。高塚絵画のルーツに触れる一冊。絵の好きな人必読の書。*****
精神訓話めいたところもあるが,チェスで人間が計算機に勝ったと聞いて理屈をつけているのが時代を感じさせる.
ウォーホルやリキテンシュタインの作品については,何を引用しようとそれが独自の思想に転化されれば「創造的表現」としている.絵画について書作権を問題にするときのマスコミの対応は,多くの場合自らの文化的教養の低さを露呈しているだけだという.
ヌードモデルの頼み方とか報酬とか,写真モデルとの比較とか,手をあげるポーズはモデルが疲れるとか,ストリップとの違いとか...,「不必要な犯罪」という小説は画家から見るとどうなんだろうと思った.ちなみに「不必要…」のカバーは高塚画伯.
実戦的な部分もあり,J 子が熟読.
同じ著者の若いときの
「しらける 高塚省吾絵ッ声集」 ブロンズ社 (1970)
が全部ネットで鑑賞できる.これに比べると「絵の話」は,なにを偉そうに...という感じ.
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