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六興出版(1978/12).これも昔買った本だが,完読せずに放り出したもの.富士正晴編集.
著者は1931年,川崎重工の創業者の川崎家に生まれた.19歳のときの作品「落ちてゆく世界」は自らが属した華族の家柄の没落を描いている.「ドミノのお告げ」と改題され,芥川賞候補となった.その後次々に小説,戯曲などを発表したが,1952年の大晦日,六甲駅で阪急の特急電車に飛び込み,21歳の短い生涯を終えた.
40何年前の初読では,痛々しさが先に立ち,ページが進まなかった.最後の「幾度目かの最後」を読んだだけだったと思う.でも今「灰色の記憶」などの自分自身を描いた作品を読むと,あの痛々しさが,若いときはそう言うもの...と一般化され,共感するところが多かった.
「華々しき瞬間」は富士正晴によれば軽薄な作品.この中ではいちばん小説らしい小説だが,この,2組の夫婦とヒロインとの五角関係を書くには著者は若すぎたと思う.
出版された「ドミノのお告げ」は編集者の職業的指導で変にあくどくなっているのだそうで,この本は富士の意向で最初の形を収めている.
他に「久坂葉子の誕生と死亡」「入梅」を収録.
この本の作品のいくつかは,「幾度目かの最期」 (講談社文芸文庫 2005/12) に収められている.
著者は1931年,川崎重工の創業者の川崎家に生まれた.19歳のときの作品「落ちてゆく世界」は自らが属した華族の家柄の没落を描いている.「ドミノのお告げ」と改題され,芥川賞候補となった.その後次々に小説,戯曲などを発表したが,1952年の大晦日,六甲駅で阪急の特急電車に飛び込み,21歳の短い生涯を終えた.
40何年前の初読では,痛々しさが先に立ち,ページが進まなかった.最後の「幾度目かの最後」を読んだだけだったと思う.でも今「灰色の記憶」などの自分自身を描いた作品を読むと,あの痛々しさが,若いときはそう言うもの...と一般化され,共感するところが多かった.
「華々しき瞬間」は富士正晴によれば軽薄な作品.この中ではいちばん小説らしい小説だが,この,2組の夫婦とヒロインとの五角関係を書くには著者は若すぎたと思う.
出版された「ドミノのお告げ」は編集者の職業的指導で変にあくどくなっているのだそうで,この本は富士の意向で最初の形を収めている.
他に「久坂葉子の誕生と死亡」「入梅」を収録.
この本の作品のいくつかは,「幾度目かの最期」 (講談社文芸文庫 2005/12) に収められている.
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