Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

香月 婦美子「夫の右手」

2023-05-17 08:02:37 | 読書

香月 婦美子「夫の右手 - 画家 香月泰男に寄り添って」求龍堂 (1999/3).
A5変型 標準よりやや縦長の美しい本.

BOOKS データベースより*****
主人は口下手でしたから、シベリヤでの体験は絵で語るしかなかったのではないでしょうか。今日も鮮烈な、戦争の抑留体験を描いた「シベリヤ・シリーズ」の画家・香月泰男を支えたのは、妻・四人の子ども・義母が暮した温かな家庭だった。幼いころ家庭に恵まれなかった画家が、自分の家族に注いだ、無垢で不器用なあふれる愛情。夫一筋に生きてきた妻が、没後二十五年の月日を経、喪失感をのり越えていま語る。*****

帯には <主人の喜びが,私の喜び>.古き良き時代の理想の夫婦像...かな.
全4章で,第2章以下はほぼ時系列.各章は6-15 の節に分かれている.各節にはタイトルがついていて,このプログではそのうちのいくつかを <....> で引用する.<主人の喜び...> もそのひとつ.各章の扉には <子どもみたいに喜んでこしらえた『おもちゃ』> たちがあしらわれている.

帯にはまた「ファン垂涎の『母子のシリーズ』30 点一堂掲載」とある.上・左,カバータイトルは「母と姉妹」,その下の表紙は「餌」.母子像群がネットに散在してはいるが,もしかしたら油彩画を一堂に鑑賞できるのはこの本だけかもしれない.
このシリーズはモノクロに統一されていると思っていたが,そうでない作品もあった.でも下のようにバックは統一されている.
<爺様になって描いた『母子のシリーズ』> によれば6人の孫がいたそうで,「孫たちが邪魔をして仕事にならないから,孫を描いてもとをとってやる」だそうだ.母子ではあるが,子・孫のシリーズでもあったのだ.

シベリヤ・シリーズの「佐官」は家の壁をレンガで補修に来た職人がモデル.婦美子さんは <黙って描いていた『シベリヤ・シリーズ』> だったので,この絵がシベリヤと結び付かなかったそうだ.でも.婦美子さんには「レンガが羊羹ならばと思った」とも言ったとか.
「そんな物を作るからまた戦争になる」と言って子どもが工作でグライダーを作るのをゆるさなかったとも書いてある.

画家の出身地,山口県大津郡三隅町に近いせいか,広島のデパートの絵画市には香月作品がよく出てくる.この本の会話は山口の言葉だろうが,広島弁に近い.

ちなみに,Amazon に引用されている「BOOK テータベース」とは,こういうもの.「MARC データベース」は,こういうもの
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