Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

黒本の問題

2020-08-02 10:27:23 | ジャズ
黒本とは,黒い表紙の
納浩一「Jazz Standard Bible 1,2」リットーミュージック
のことで,ジャズ セッションに必携らしい.ネットセッション Syncroom (Netduetto)では,この本の1(2) の何ページなどと,曲を指定することになっている.著者は洗足学園音大の先生と認識している.

これがなかった時代にも,Realbook 多数,千一,青本,赤本など,いろいろあったが,どれも権威がなく,たいへんだった.でも,黒本にも多少の問題はある.作曲者の名前が小さいのはどうかと思うが,そのほかに


- 収録曲 黒本にないとマイナー曲扱いされる.St. Louis Blues, Django あたり,あって然るべき.
版を改めるごとに曲は増えている.いっぽう削除された曲もあるが,著作権の問題から らしい.

- キー 例えば Straight No Chaser はオリジナルは Bb だが,F で載っている.マイルズが F だったから? まぁブルースならキーはどうでもいいんだけど. Here's That Rainy Day は昔の RealBook は F だがここでは G.コード進行がほとんど同じ What is this thing called love と Hot house だが,前者はハ長調,後者はフラットふたつ.多分意味があるのだろう.赤松敏弘氏はブログで,モーニンをフラット4つで書くか (黒本) 1つで書くかを問題にしておられる.

- 曲の構成 Round Midnight はマイルズではなくモンク版.でもモンクの曲のコード進行がマイルズ流で載っていることもある.
先日のネットセッションでは Agua De Beber で混乱.INTRO とある部分はじつは A メロじゃないの? と思う.

- コード進行 以前にからあちこちでコピーしてきたのがファイルしてあるのだが,黒本と一致しないことが多い.ピアニストとベーシストが現場で喧々諤々したことがあった.
Georgia ... については Taki(さん)'s blog に分かりやすく書いてある.


ソングブックというスマホ・タブレット用の黒本的アプリが登場したときは,無料だったので ! 多いに感激した.でもすぐに有料になったので忘れることにして,忘れてしまった.

結論 : 黒本さんにはいつもお世話になっていますが,これが唯一の標準とされるのには抵抗があります.


8/3 付記
この記事を Facebook に転載したところ,そちらにコメントをいただいた.
「出版物に関するアフターケア」として,作曲者の訂正,楽譜の訂正が示されている.キーも vol.1 では第6版以降でよく演奏されているものに変更したとのことである.

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1 コメント

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そもそも黒本の存在意義はほぼ皆無とか書いてしまうと納さんに恨まれるかな? (なまえ)
2021-05-14 11:16:38
real bookが今も昔もグローバルスタンダードでしょ。あまり昔のことは知らないけれど40年ほど前には既に労せずして手に入れられるようになっていたはず。音楽分野に限らずこの国のベテランたちはnoobに対して薄情というか冷たすぎる。持てる見識を広めようとしないから無駄なことばかり増えて混乱が収まらない。
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