スティーヴン・ミルハウザー,柴田元幸 訳「私たち異者は」白水社 (2019/6).
装丁 緒方修一,装画 手塚リサ.字体がよい.
日本人のぼくには,ミルハウザーという語感は悪くないので,何となく著書を手に取ってしまうらしい.「ホーム・ラン」「魔法の夜」に続き,これで3冊目.でも,前の2冊の内容は覚えていなかった.
出版社による説明*****
短篇集の文学賞「ストーリー・プライズ」受賞
表題作ほか、さらに凄みを増した最新の 7 篇
驚異の世界を緻密に描き、リアルを現出せしめる匠の技巧。表題作や「大気圏外空間からの侵入」ほか、さらに凄みを増した最新の7篇。
平凡なものが奇怪になる瞬間
職人的に精緻な筆致で、名匠が切り拓く新たな地平。蠱惑的な魔法に満ちた7篇を収録した、最新の傑作短篇集。
翻訳者の柴田元幸氏は、「ミルハウザーといえば『驚異』がトレードマークとなってきたが、この短篇集では(中略)驚異性はむしろ抑制され、ごく平凡な日常生活に小さな異物を(あるいは異者を)挿入することで、日常自体に蠱惑的な魔法を息づかせ、と同時に日常自体の奇怪さを浮かび上がらせている」と、本書の魅力を指摘する。
通りすがりの男がいきなり平手打ちを食わせてくる事件が続発する町の動揺を描く「平手打ち」。放課後も週末もいつも一緒にいる仲の彼女が決して話したがらず、だからこそ僕は気になって仕方ない「白い手袋」。いつのまにか町に現われ、急速に拡大していく大型店舗の侵食ぶりを描く「The Next Thing」。ある日目覚めると、ベッドに横たわり動かぬ自分を見下ろしていた私は、事態を呑み込めないままさまよいだす。やがて出会ったある女性との奇妙な交流とその行方を描く表題作など、どの作品も筆が冴えわたっている。
本書は、優れた短篇集に授与される《The Story Prize》を受賞している。
*****
最新という惹句だがそれほど新しくはない.
2011 年刊行の 14 編の短編集 We Others, New and Selected Stories から未訳の7篇を集めており,比較的長めの4編がやはり読み応えがある.
日常生活に突然おかしな事態が起こる ; 通りすがりの男がいきなり「平手打ち」を食わせてくる事件,彼女が決して外さない「白い手袋」,急速に拡大していく大型店舗「The Next Thing」,そして「私たち異者は」では主人公は突然死んで幽霊になってしまう.登場人物たちの右往左往ぶりと,自体の発展は丁寧に描かれるが,何の説明もなく,いつも突然終わってしまう.
リアルに感じられたのが「The Next Thing」.ベストは「私たち異者は」かな.「異者」は幽霊たちで,主人公は生身の女性 (たち) と交流する.
装丁 緒方修一,装画 手塚リサ.字体がよい.
日本人のぼくには,ミルハウザーという語感は悪くないので,何となく著書を手に取ってしまうらしい.「ホーム・ラン」「魔法の夜」に続き,これで3冊目.でも,前の2冊の内容は覚えていなかった.
出版社による説明*****
短篇集の文学賞「ストーリー・プライズ」受賞
表題作ほか、さらに凄みを増した最新の 7 篇
驚異の世界を緻密に描き、リアルを現出せしめる匠の技巧。表題作や「大気圏外空間からの侵入」ほか、さらに凄みを増した最新の7篇。
平凡なものが奇怪になる瞬間
職人的に精緻な筆致で、名匠が切り拓く新たな地平。蠱惑的な魔法に満ちた7篇を収録した、最新の傑作短篇集。
翻訳者の柴田元幸氏は、「ミルハウザーといえば『驚異』がトレードマークとなってきたが、この短篇集では(中略)驚異性はむしろ抑制され、ごく平凡な日常生活に小さな異物を(あるいは異者を)挿入することで、日常自体に蠱惑的な魔法を息づかせ、と同時に日常自体の奇怪さを浮かび上がらせている」と、本書の魅力を指摘する。
通りすがりの男がいきなり平手打ちを食わせてくる事件が続発する町の動揺を描く「平手打ち」。放課後も週末もいつも一緒にいる仲の彼女が決して話したがらず、だからこそ僕は気になって仕方ない「白い手袋」。いつのまにか町に現われ、急速に拡大していく大型店舗の侵食ぶりを描く「The Next Thing」。ある日目覚めると、ベッドに横たわり動かぬ自分を見下ろしていた私は、事態を呑み込めないままさまよいだす。やがて出会ったある女性との奇妙な交流とその行方を描く表題作など、どの作品も筆が冴えわたっている。
本書は、優れた短篇集に授与される《The Story Prize》を受賞している。
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最新という惹句だがそれほど新しくはない.
2011 年刊行の 14 編の短編集 We Others, New and Selected Stories から未訳の7篇を集めており,比較的長めの4編がやはり読み応えがある.
日常生活に突然おかしな事態が起こる ; 通りすがりの男がいきなり「平手打ち」を食わせてくる事件,彼女が決して外さない「白い手袋」,急速に拡大していく大型店舗「The Next Thing」,そして「私たち異者は」では主人公は突然死んで幽霊になってしまう.登場人物たちの右往左往ぶりと,自体の発展は丁寧に描かれるが,何の説明もなく,いつも突然終わってしまう.
リアルに感じられたのが「The Next Thing」.ベストは「私たち異者は」かな.「異者」は幽霊たちで,主人公は生身の女性 (たち) と交流する.
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