Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

日本おとぼけ絵画史

2018-07-03 09:15:22 | 読書
金子信久「日本おとぼけ絵画史―たのしい日本美術」講談社(2016/03).

目次*****
禅画 別世界の住人たち / 俳画 おかしみを芸術にする / 南画 アカデミックの上をいく / かたちが心をゆるませる / 苦い江戸絵画 / 素朴という感じ方 / お殿さまの絵ごころ / 大正時代のおとぼけ芸術 / ヘタウマ 乱暴きわまりないこの言葉*****

日本の非主流絵画史.白隠,仙厓などがさらさらと描いたものや,蕭白などのごてごてとエネルギーを注いだものと,なかなかバラエティに富んでいる.

若冲というと極彩色の細密描写を思い浮かべるが,下左の伏見人形図のような作品もある.本書によれば,技巧をこらして
「いかにも民芸品(の人形)らしく見せるために,肌の部分にきらきら光る雲母を塗り,着物には,金のようにも見えるざらっとした荒い粉状のものを蒔いている.そして全体のフォルムは,左右対称を崩して,斜めにかしいだ形に表している」
のである.



本来はまともとされる画家のおとぼけ作品も面白い.三岸好太郎がルソーにかぶれた時期があるそうで,上右は彼の「兄及ビ彼ノ長女」.
最後のへたうま代表は,蛭子能収と湯村輝彦であった.

僕的ベスト2は,狩野山雪「松に小禽梟図」の梟と,10代将軍家治の長男・徳川家基による「洋犬図」.



著者は府中市美術館学芸員.めでる国芳ブックシリーズ,江戸かわいい動物,旅する江戸絵画 など,似たような本をたくさん書いておられる.
図書館本.☆☆☆☆

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