路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【HUNTER 18.03.16】:森友疑惑の原点

2021-06-23 06:30:30 | 【事件・未解決事件・犯罪・疑惑・詐欺・闇バイト・旧統一教会を巡る事件他】

【HUNTER 18.03.16】:森友疑惑の原点

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER 18.03.16】:森友疑惑の原点

kagoike-thumb-530x964-24025.jpg 学校法人「森友学園」への国有地売却問題が急展開した。近畿財務局に文書偽造を指示したとみられている佐川宣寿前国税庁長官の国会招致が確実となる中、これまでに自殺がしたことが明らかとなっていた同省職員とは別の職員が、今年1月に自殺していたことが判明。森友絡みで2名の犠牲者を出すという異常な事態となり、安倍首相への辞任圧力が強まる状況となっている。
 憲政史上に類を見ない政・官が引き起こした事件。原点をたどれば、やっぱり“この人”の軽はずみな言動が発端だったと言うしかない。

 

 ◆昭恵夫人“関与”の証拠
 森友疑惑が噴き出した昨年2月の国会で、安倍首相は「私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめる」と答弁。以来、一貫して自身と昭恵夫人の関与を否定してきた。

 しかし、2015年11月に昭恵夫人付き官邸職員の谷査恵子氏が、森友学園との交渉状況について財務省に問い合わせていたことが発覚。今月になって公表された財務省が偽造する前の森友関連文書には、「安部昭恵総理夫人」「安部首相夫人」などの記述が5か所あり、ごっそり削除されていたことが明らかになった。

 明確に「関与」を示す証拠が出てきたというのに、政府・与党は昭恵夫人の国会招致を拒否。首相は、現在も「妻は関与していない」として見苦しい強弁を続けている。

 問題の国有地に関する森友と財務省の契約は2件。最初の段階で結ばれた定期借地契約と、土地の鑑定価格からゴミ撤去費として8億2,000万円を値引きし、1億3,400万円で売却された時の契約書だ。

 籠池被告が近畿財務局を訪れ、土地取得の意向を表明したのが2013年6月。じつは、それから異例の売買契約が成立した2016年7月までの約3年間の節目ごとに、昭恵夫人の関与を裏付ける証拠が残されている。

森友.png 度々報道されてきたことだが、昭恵夫人は森友学園が運営している幼稚園に行って園児の激励に涙を流し、学園が建設を予定していた小学校の名誉校長にも就任していた。当時は、「教育勅語」を園児に暗誦させるという時代錯誤の教育方針を激賞していたほどだ。

 森友との親密な関係の上に、夫人付き官邸職員の“財務省への問い合わせ”がある。ご主人様=昭恵夫人の指示なり依頼なりがなければ秘書役の役人が動かないことは、永田町と霞が関の常識。昭恵夫人の関与を裏付ける証拠は、十分過ぎるほど揃っている。

 ◆今も残るフェイスブックの投稿写真
 そうした意味で、下の1枚の写真は森友疑惑の原点と言うべきものだ。この写真をフェイスブックに投稿したのは昭恵夫人本人で、一緒に写っているのは森友学園の前理事長・籠池泰典被告とその妻、諄子被告である。

kagoike.jpg もう一度上掲の表を確認すると、この写真がフェイスブックに投稿された約1年後には、森友学園と近畿財務局が定期借地契約を締結。昭恵夫人付きの官邸職員が、森友との交渉経過を財務省に問い合わせした5か月後には、8億円以上値引した1億3,400万円という非常識な金額で国有地が売却されてたことが分かる。

 これだけ国有地売却への関与をうかがわせる証拠が出ているというのに、政府・与党は昭恵夫人の国会招致を拒否。安倍首相は「妻に聞いたが、関与していないと言っている」と主張してきた。残念のことに、潔白を証明する根拠は何も示されていない。

 ◆“軽はずみ”が歪めた政治と行政
 国有地の売却契約が締結された時の理財局長で、関連文書の偽造を指示したとみられている佐川宣寿前国税庁長官が来週にも国会に招致される見通しとなったいま、昭恵夫人だけを特別扱いする理由はなかろう。総理夫人だから特別というなら、それこそが森友に格安で国有地を払い下げた論拠と同じということになる。総理夫人が名誉校長に就任する予定の小学校をつくるという森友に、財務省が過剰に反応したことは容易に想像がつく。そこに夫人付き職員からの問い合わせとくれば、「催促」ととるのが役人の常なのだ。

 ただし、言われてきた「忖度」で動くほど霞が関は甘くない。加計学園の獣医学部新設も森友への土地売却も、霞が関を動かすだけの力を持った権力者からの「指示」がなければ実現していなかったはずだ。

 原発反対を唱えたり、居酒屋の経営に乗り出したりと、何かと物議をかもしてきた昭恵夫人。軽はずみな行動が多く、宰相の妻としては歴代最低と言うべきだろう。その軽はずみが、日本の政治と行政を歪めた可能性が高い。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・社会 【社会ニュース】  2018年03月16日  08:55:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER 18.02.21】:【検証・森友疑惑(下)】 唐突に「国」の意向 官邸関与か

2021-06-23 06:30:20 | 【事件・未解決事件・犯罪・疑惑・詐欺・闇バイト・旧統一教会を巡る事件他】

【HUNTER 18.02.21】:【検証・森友疑惑(下)】 唐突に「国」の意向 官邸関与か

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER 18.02.21】:【検証・森友疑惑(下)】 唐突に「国」の意向 官邸関与か

0000-国.jpg 財務省が今月9日に国会に提出した20件、319ページに上る森友学園関連文書は、それまで同省の佐川宣寿前理財局長(現・国税庁長官)が国会で「廃棄した」と明言していた国有地払い下げに至る森友学園側との交渉記録が含まれるものだった。「経緯」と題する文書には、平成25年6月28日から27年4月2日までの、近畿財務局と森友側のやり取りが詳細に記録されている(19日既報)。
 国会には、昨年12月に大学教授の情報公開請求によって明らかとなった5件分・89ページの文書も提出されおり、一連の文書を精査すると財務相が森友側の要求を次々に受け入れていく不自然な交渉過程が浮き彫りとなる。“国の意向”が唐突に登場するほか、12月開示の文書の中には、財務省が否定していた土地価格の事前交渉を証拠立てる文書も含まれていた。

 ■不自然な交渉過程 平成27年4月に「国」の意向
 新たに国会に提出された文書は、財務省近畿財務局が森友学園と小学校建設予定地(大阪府豊中市 8,770.43平米)の賃貸契約を結ぶ交渉をしていた平成25年9月から27年4月までに同局内部で作成されたもの。森友側との交渉窓口になっていた管財部が、契約内容や方針について法務担当の部署に照会し、法務担当が回答する形となっている。19日に報じた交渉過程の記録「経緯」は、照会文書に添付されていた。

 森友学園との交渉経緯をたどると、“8年間を賃貸借し、学校経営が安定した後に売買”するという当初案から、法的な理由で“10年間を賃貸借し、学校経営が安定した後に売買”へと移行。この間、問題の土地が軟弱地盤であることや、当初見つかった産廃の処理費用を巡って、森友側がしつこく賃料の減額を求めていたことが分かる。

 問題の土地が軟弱地盤であることが分かり、賃料の減額を要求された平成27年。困惑した様子の近畿財務局の管財部は3月31日に、「『無理に本地を借りていただかなくてもよい』と投げかけることも考えている」という交渉テクニックについて法務担当に照会。4月2日付けの回答文書で、法務担当から「『本地を借りていただかなくてもよい』との表現の適切性については、再考を要する」として、たしなめられていた。この時期、法務担当は訴訟リスクを指摘しながら、「契約条件が整わない場合に相手の要請を受諾する義務はない」という回答も行っている。法務担当の部署に限って言えば、“忖度”が働いた形跡はない。

 財務局管財部の姿勢が変化するのはこの頃。地盤や産廃の問題を持ち出し減額要請を繰り返す森友学園の姿勢に多少なりとも反発していた同部が、訴訟リスクの指摘を受けた4日後の4月6日、突然 「国としては平成28年4月開校に協力する姿勢は堅持したい」として、積極姿勢に転換する。
(*下が「国」の意向を示した文言が出てくる文書。赤いアンダーラインはHUNTER編集部)

0000-国.jpg 注目すべきは「国としては」という文言だ。この表現は、全20件の中の19件目の文書に初めて出てくるのだが、主語がなかった照会文書に突然“契約主体=国”が現れた形。財務省の範疇を超えて「国」の意向が示されたということは、総理官邸から何らかの指示があったと見るべきだろう。「国としては」は、加計学園の獣医学部新設を巡る問題で登場する「官邸の最高レベル」や「総理のご意向」と通底する。

 ■価格の事前交渉を示す1枚の文書
 その後、10年間の事業用定期借地による貸付けが実現。平成28年3月に、地下から新たな産廃や家庭ゴミが出てきたとして森友学園が騒ぎ出し、同年6月20日に森友学園が総額1億3,400万円という“ただ同然”の価格で問題の土地を取得するに至る。昨年12月、大学教授の情報公開請求によって存在が明らかとなった5件、89ページの文書は、平成27年6月から28年5月までの、まさに疑惑の契約が行われる直前までの法律相談の記録だった。その中に、「事前の価格交渉は行っていない」と断言してきた佐川前理財局長をはじめとする財務省側の主張を、完全に否定する重要な文書が含まれていた。それが下の1枚である(赤い囲みはHUNTER編集部)。

000000―森友文書.jpg 平成27年12月1日付けで財務局管財部によって作成された法律相談に添付の「売買契約締結までの事務処理手順(案)」には、『売買金額については、できる限り学校法人との事前調整に努めるものとする』と明記されていた。売買金額の事前調整とは、即ち“価格交渉”。財務省の国会答弁は、真っ赤な嘘だったことになる。政府はいまだに事前交渉を否定しているが、実際に、問題の土地の価格は地下の産廃撤去を理由に約8億円も減額され、1億3,400万円という信じられない額となっていた。

00000000.png 問題の土地の価格を巡っては昨年11月、会計検査院がごみの撤去費分として約8億円値引きされて売却された問題についての検査結果を公表。“森友側との協議記録など重要な文書が廃棄されており、8億円値引きの根拠もない”という結論を出している。この検査にあたって、一連の財務省新文書は提出されておらず、その内容は検査結果に反映されていない。財務省の組織的な隠ぺいが、国と首相周辺の犯罪行為を闇に葬ろうとしている。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・社会 【社会ニュース】  2018年02月21日  20:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER 18.02.19】:【検証・森友疑惑(上)】 これが財務省の「交渉経緯」

2021-06-23 06:30:10 | 【事件・未解決事件・犯罪・疑惑・詐欺・闇バイト・旧統一教会を巡る事件他】

【HUNTER 18.02.19】:【検証・森友疑惑(上)】 これが財務省の「交渉経緯」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER 18.02.19】:【検証・森友疑惑(上)】 これが財務省の「交渉経緯」

DSC05741.JPG 財務省が今月9日、同省の佐川宣寿前理財局長(現・国税庁長官)が国会で「廃棄した」と明言していた、国有地払い下げに至る学校法人森友学園側との交渉内容が含まれる新たな文書20件を国会に提出した。
 麻生太郎財務相は、「交渉に関して法的な論点について近畿財務局内で検討を行った法律相談の文書で、交渉記録ではない」と釈明。意図的な隠ぺいを否定しているが、HUNTERが独自に入手した財務省文書の記述内容を精査してみると、麻生・佐川答弁の虚偽が浮き彫りとなる。
 財務省が開示した文書には、廃棄されたはずの「交渉経緯」そのものが添付されていた。

 

 ■その名もズバリ「交渉経緯」
 財務省が参院予算委員会の理事会に提出したのは、同省と学園が小学校建設予定地(大阪府豊中市 8,770.43平米)の賃貸契約を結ぶ交渉をしていた平成25年9月から27年4月までに省内で作成された文書。問題の土地を森友学園側に貸す場合の契約内容や同省が採るべき方向性などについて、法律的な問題点を内部で検討した際に作成されていた。国有地が格安で払い下げられるまでの経緯に、大きくかかわる内容だ。文書は、1件ごとに国有財産の管理を所管し森友側との交渉を担った管財部が、法務担当の部署に事案を照会し、法務担当が回答する形。計20件、319ページに上る。

 このなかに、佐川前理財局長をはじめ財務省側が一貫して存在を否定してきた森友学園側との“交渉過程”を記した文書が含まれていた。近畿財務局は文書の中で、「交渉経緯」という言葉を使っている。

 まず、平成27年3月31日付けの文書。一定期間の賃貸借が予定されていた問題の土地が“軟弱地盤”と判明し、森友側が国に工事費の負担などを要請してきたため、管財部統括国有財産管理官が法的な問題点について統括法務監査官に照会した時のものだ(下がその照会文書)。赤いアンダーラインで示した通り、『相手方との交渉等に関する経緯については別紙のとおり』とある。

111-森友5.jpg 添付された『別紙』が下の3枚。タイトルは「経緯」で、平成25年6月28日に森友学園の前理事長・籠池泰典被告=詐欺罪などで起訴=が近畿財務局を訪れ、小学校用地の取得を検討しているとして相談。財務局が手続きについて説明した日から、平成27年3月31日に問題の土地のボーリング調査について財務局が行った設計業者への聞き取り結果までが記録されていた。

00森友1.jpg
00森友2.jpg
00森友3.jpg 交渉経緯を記した文書は、その数日後に作成された別の照会文書に添付される形で、ほぼ同じ内容のものがもう一度登場する。前述した軟弱地盤に対処する工事に絡め、森友側が土地の賃借料を減額するよう求めてきたことを受け、交渉窓口の管財部が再度法務担当に見解を求めたもの。平成27年4月6日の日付となっている。 

111-森友6.jpg 『相手方との交渉経緯については別紙のとおり』――。3月31日付けの照会文書にあった『相手方との交渉等に関する経緯』から“等に関する”が削られ、『相手方との交渉経緯』にと変わり、より明確になっている。ここで添付された「経緯」と記された文書は、6日前に発出された「経緯」とほぼ同じ内容。4月2日の記録として、森友が建設を計画していた小学校の設計業者が、基礎工事で用いる杭について財務局に説明したことが加筆されている。

111-森友1.jpg111-森友2.jpg111-森友3.jpg111-森友4.jpg ■財務省に隠蔽、虚偽答弁の疑い
 交渉経緯を示す文書によれば、森友学園は、平成25年6月に問題の土地を小学校用地として取得する意向を財務局に伝えたあと、“一定期間を借り受け、経営が軌道に乗ったところで買い取る”と方針転換。その後、建築計画を進める上で必要となるボーリング調査で、土地が軟弱な地盤であることが分かったとして賃料の値引きを要請していた。学園側の要求はエスカレートし、次には《土壌汚染対策費を言い値で支払え》――。財務省はその都度、学園側に振り回されながら、《売払いを前提とした貸付けには協力する(平成26年6月2日の記録)》などとして、計画の実現に力を貸す姿勢を崩していなかったことが分かる。また、27年1月9日には、麻生財務相が完全否定していた“金額の提示”についての記述も。《不動産鑑定士からの貸付料鑑定結果が出たことから、当局が学校法人を訪問し、国の貸付料の概算額を伝える》は、財務相答弁に虚偽の疑いを生じさせるものだ。

 法務相談の際に“別紙”として添付された2件の文書は、まぎれもなく森友学園と財務省側との交渉過程の記録。国会で「廃棄した」と断言した佐川前理財局長の答弁が、間違いであったことは明らかだ。国会に開示された一連の文書が、麻生財務相が国会で述べてきた「法律相談の文書」であるのは確かで、大臣答弁が嘘とは言えない。しかし、重ねて述べるが、法務相談の際に“別紙”として添付された2件の文書は、森友学園と財務省側との交渉記録。文書全体の性格は「相談文書」であっても、「交渉経緯」は読んで字のごとしである。正確な答弁のできる日本人なら、「法律相談の文書のなかに、交渉の記録が残っていた」と言うべきだろう。麻生氏の主張は、ただの強弁。さらに財務省の文書を読み解くと、同省が、組織ぐるみで隠ぺいに走った疑いが濃くなる。

(以下、次稿)

  元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・社会 【社会ニュース】  2018年02月19日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:赤木ファイル 「黒塗り」開示、許されぬ/05.12

2021-06-23 06:27:00 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

【社説】:赤木ファイル 「黒塗り」開示、許されぬ/05.12

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:赤木ファイル 「黒塗り」開示、許されぬ/05.12 

 これほど注目された問題の文書を探すのに、なぜ1年以上もかかったのか。都合が悪いから隠そうとしたのか。そんな疑念が拭い切れない。

 森友学園への国有地売却を巡る問題で、財務省による決裁文書改ざんの過程をまとめた文書「赤木ファイル」である。不正に加担させられ、自殺に追い込まれた近畿財務局の元職員、赤木俊夫さんがつづっていた。その存在を国が初めて認めた。

 赤木さんの妻が国側に損害賠償を求めた訴訟で、6月23日に大阪地裁で開かれる次回の口頭弁論に、国はそのファイルを出す。ただ、第三者の個人情報が含まれているので「黒塗り」などのマスキングをするという。

 遅くなった上、隠し立てすることは許されない。黒塗りせず、ファイルは全面開示しなければならない。非公開にするかどうかは、国ではなく、裁判所が判断すべきである。

 ファイルは、改ざんについて時系列でまとめた文書や、財務省理財局と近畿財務局との間でやりとりされたメールと、その添付資料などだという。

 その存在は、書いた赤木さん自身が妻に伝えていたほか、元上司の証言でも明らかである。

 にもかかわらず、国は「確認されていない」とごまかしてきた。あるかどうか、今月6日までに答えるよう大阪地裁に促され、ようやく存在を認めた。

 麻生太郎財務相はおとといの衆院予算委員会で、存在を確認した時期について「かなり前の方からだ」と明かした。事実だとしたら不誠実極まりない。

 ところが、きのうは一転、「4月20日ごろ報告が上がってきた」と軌道修正した。3週間前に知ったなら、「かなり前」とは言うまい。何を隠すつもりなのか。疑念は一層深まった。

 しかもファイルは赤木さんが個人的に作成したもので、職務上の行政文書ではないと主張する。理解できない。上司の指示で改ざんを強いられた以上、業務に関わる公文書である。それを個人の文書だと強弁するとはあきれるほかない。もし赤木さんの私的文書だと言うなら、すぐ妻に返すのが筋である。

 改ざんの経緯について、財務省は2018年、調査報告書を公表した。当時の安倍晋三首相が17年2月、森友学園への国有地売却について、妻の昭恵氏も含め関与を全面否定したことなどをきっかけに、交渉記録が廃棄された。当時の佐川宣寿理財局長が主導して、改ざんが進められたと結論付けていた。

 しかし改ざんは、誰が何のため、具体的にどう指示したか、詳細な経緯は不明のままだ。そうした空白部分に、赤木ファイルは光を当てることができるかもしれない。真相解明と再発防止のため、全面開示が必要だ。

 森友学園の問題は、国有地売却での8億円を超す異例の値引きが発端だった。その理由をはじめ、財務省による内部調査では、疑問が数多く残されている。第三者による徹底的な調査を、国は決断すべきである。

 国会の責任も重い。森友問題に関する政府答弁のうち、事実と異なる答弁は安倍政権下だけで139回もあったという。事実に基づかぬ議論で良いはずがない。開会中の通常国会にファイルを出させ、国権の最高機関として、改ざんの空白部分の解明に努めることが求められる。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年05月12日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:赤木ファイル 真相究明へ全面開示を/05.11

2021-06-23 06:26:50 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

【社説①】:赤木ファイル 真相究明へ全面開示を/05.11

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:赤木ファイル 真相究明へ全面開示を/05.11

 森友学園への国有地売却を巡る財務省の決裁文書改ざん問題で、国が存否を明らかにしなかった「赤木ファイル」の存在を認めた。

 自殺した近畿財務局の元職員赤木俊夫さんが改ざんの経緯を記したとされる。

 赤木さんの妻雅子さんが国側に損害賠償を求めた訴訟で、6月23日に大阪地裁で開かれる口頭弁論に提出される。

 国は第三者の個人情報が含まれるとして、黒塗りなどのマスキングをした上で提出するという。

 森友学園が開設予定だった小学校の名誉校長には安倍晋三前首相の昭恵夫人が一時就任していた。

 前首相が自身と夫人が国有地の値引きに関与していれば「総理も国会議員も辞める」と国会で答弁したことで、官僚が前首相側を忖度(そんたく)し、前代未聞の改ざんに至ったとの疑いが拭い切れない。

 ファイルは真相究明に向けた重要な証拠となる可能性がある。黒塗りで事実を覆い隠すことなく、全面開示すべきだ。

 国が存在を認めたのは、改ざんの経過を時系列にまとめた文書や、財務省理財局と近畿財務局の間で送受信したメールなどだ。雅子さんが昨年3月の提訴時に、ファイルの証拠提出を求めていた。

 麻生太郎財務相はきのうの衆院予算委員会でファイルの存在を確認した時期を問われ、早い段階で把握していたことを示唆した。

 だが、公式に存在を認めるまで1年以上もかかっている。

 今年3月下旬に大阪地裁からファイルを提出するよう提案されなければ、存在すら認めずに闇に葬るつもりだったのではないか。

 財務省が2018年6月に公表した調査報告書は、佐川宣寿元理財局長が改ざんの方向性を決定づけ、理財局幹部らが昭恵夫人に関わる記述を削除したと認定した。

 一方、改ざんの具体的な指示の有無や動機は判然としていない。

 国は地裁への意見で、ファイルは赤木さんが個人的に作成したもので、職務上の行政文書ではないと説明したが、苦し紛れの言い訳だろう。

 菅義偉首相は佐川元理財局長らの処分をもって決着済みとし、再調査を否定し続けている。

 ファイルを基に、改ざんの全容だけでなく、森友問題の核心である8億円の国有地値引きの経緯も究明が求められよう。

 裁判へのファイル提出は今国会が閉幕する6月16日に間に合わない。早期に国会にも示し、立法府による検証を行う必要がある。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年05月11日  05:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:赤木ファイル 「森友」解明へ全面開示を/05.11

2021-06-23 06:26:40 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

【社説】:赤木ファイル 「森友」解明へ全面開示を/05.11

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:赤木ファイル 「森友」解明へ全面開示を/05.11 

 この問題に決着をつけるときである。解明の機を逸してはならない。

 森友学園への破格の国有地売却問題で、決裁文書改ざんの経緯を記したとされる文書「赤木ファイル」の存在を、財務省がようやく認めた。民主主義の根幹を揺るがす前代未聞の不祥事の真相を明らかにするため、文書の全面開示が求められる。

 文書は、改ざんを強いられたとして自殺した元近畿財務局職員赤木俊夫さんが書き残した。同局と所管の財務省理財局が交わしたメールなども添えられ、改ざんの指示系統や過程が時系列で分かるという。

 赤木さんの妻が国側に損害賠償を求め大阪地裁に提訴した昨年3月、証拠提出を求めた。「探索中」としていた財務省は地裁が回答期限とした今月6日になり、その存在を認め、来月23日に提出する考えを示した。

 そもそも文書の存在確認に1年以上を要した理由が釈然としない。財務省は文書の特定に時間がかかったなどとしている。赤木ファイルが伝えられている通りの内容であれば、2018年に実施した省内調査でも重視すべきはずの文書である。

 そうした文書を探しもせず、目も通さずに調査を終えたのならば、調査の信頼性そのものを疑わざるを得ない。仮に存在を知りながら、調査結果に反映せず、隠していたのなら、国民に対する背信行為だと言える。

 財務省は早くも当該文書の一部を黒塗りで開示する考えを示している。容認できない。

 森友問題では、理財局長だった佐川宣寿氏が学園との価格交渉の記録について「廃棄した」と国会で虚偽答弁している。そうした経緯も踏まえれば、財務省の恣意(しい)的判断ではなく、原則全てを明らかにするべきだ。

 改ざんは、安倍晋三前首相が「私や妻が関係していたなら首相も国会議員も辞める」と国会で答弁した直後に始まった。

 財務省の調査報告は改ざんの目的を「国会審議が紛糾することを懸念した」などとした。公務員の本分に背く行為の動機としてはかなり薄弱だろう。改ざんに至る全体像をつまびらかにしない限り、この問題で指摘される政権と官僚との「支配と忖度(そんたく)」の実相には迫れない。再発防止もおぼつかないはずだ。

 赤木ファイルの存在が確認された以上、国会の調査も仕切り直しが不可欠だ。今国会は延長しなければ6月16日までで、赤木ファイルが裁判所に提出される前に閉会する可能性もある。

 野党は会期中の国会提出を求めている。欺かれたのは国会であり、国民である。与党も国権の最高機関としての矜持(きょうじ)を共有して対応すべきだろう。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・コラム 【社説】  2021年05月11日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:赤木ファイル「存在」 黒塗りせず全面開示せよ/05.10

2021-06-23 06:26:30 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

【社説】:赤木ファイル「存在」 黒塗りせず全面開示せよ/05.10

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:赤木ファイル「存在」 黒塗りせず全面開示せよ/05.10

 ファイルは、やはり存在した。財務省近畿財務局の元職員赤木俊夫さんが改ざんの過程をまとめた文書「赤木ファイル」の存否すら明らかにしなかった国側が一転して認め、開示する方針を示した。

 公文書は、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的財産である。その公文書を改ざんした過程を示す「赤木ファイル」の黒塗り提出は許されない。全面開示し、公文書改ざんの真相を究明してもらいたい。
 事の発端は2016年、大阪府の国有地が学校法人「森友学園」に評価額より8億円以上安く払い下げられた問題にある。安倍晋三前首相夫人の昭恵氏が一時、名誉校長に就任していたことを追及された前首相は、国会で「私や妻、事務所が関わっていれば総理も国会議員も辞める」と明言した。この答弁をきっかけに文書改ざんが始まった。
 前首相答弁直後に財務省理財局は昭恵夫人らの名前が記載された書類の存否を調べ、近畿財務局に伝えて交渉記録を廃棄した。
 財務省が18年6月に公表した調査報告書によると、理財局長だった佐川宣寿氏が改ざんの方向性を決定づけ、理財局幹部らが昭恵夫人に関わる記述を削除するなどした。
 近畿財務局側の関与も記されているが、赤木さんが強いられたとされる作業の詳細は明らかにされていない。赤木さんの妻雅子さんが国側に損害賠償を求めた訴訟で、赤木さんが改ざんの過程を記したとされる「赤木ファイル」の提出を要請していた。
 国側は意見書で「赤木ファイル」は「行政文書」ではなく「個人的に作成」したと説明している。このため文書の存否を回答する必要はないが「裁判所から任意提出の要請があった」ため開示するのだという。公文書に対する基本認識が抜け落ちている。
 「財務省行政文書管理規則」によると、「行政文書」とは「財務省の職員が職務上作成し、又は取得した文書」と定義している。赤木さんは、上司の指示に従って「職務上」作成したのである。何が「行政文書」かどうかを、省庁の都合によって恣意(しい)的に判断することは許されない。
 国はファイル提出に当たって、黒塗りなどマスキングする方針を伝えている。黒塗りにすれば文書改ざんの経緯、官僚による政治への過剰な忖(そん)度(たく)の背景が解明できない。裁判所は国に対し、全面開示を求めるべきだ。
 国は裁判所だけでなく国会にもファイルを提出しなければならない。「森友学園」の国有地売却問題を巡る国会質疑で、麻生太郎財務相、佐川財務省理財局長(当時)らが計139回事実と異なる答弁をしている。行政を監視する国会の軽視であり、三権分立の原則を定めた憲法に反する。
 裁判所とは別に国会でも調査特別委員会を設置して真相を徹底究明すべきだ。森友問題はまだ終わっていない。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年05月10日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:赤木ファイル 国側は全てを開示せよ/05.09

2021-06-23 06:26:20 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

【社説②】:赤木ファイル 国側は全てを開示せよ/05.09

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:赤木ファイル 国側は全てを開示せよ/05.09

 森友問題で、自殺した元財務省近畿財務局職員赤木俊夫さんが決裁文書改ざんの過程を記したとされる「赤木ファイル」。国はその存在をようやく認めた。法廷で全面開示し、真相を解明してほしい。

 妻の雅子さんが「夫は改ざんの強制を苦に死を選んだ」と国と佐川宣寿元国税庁長官に損害賠償を求めた訴訟で、雅子さん側は二〇二〇年三月の提訴時、国側にファイルの提出を求めた。
 国側は「探索中」としてファイルの存否を明らかにしてこなかった。雅子さん側は一年近くたった今年二月、ファイル提出を国に命令するよう大阪地裁に申し立て、地裁が国に「五月六日までに存否の回答を」と求めていた。
 森友問題は、国有地が八億円も値引きされて学校法人森友学園に払い下げられたことが発覚して社会問題化した。後に財務省が公表した調査報告書によると、安倍晋三前首相が「私や妻が関係していたら首相も国会議員も辞める」と答弁した直後の一七年二月から、前首相の昭恵夫人らに関わる記述が文書から削除された。
 生前の手記で赤木さんは、「佐川氏らの指示で改ざんの実行を強いられた」と述べている。雅子さんはふさぎこんだ夫から「過程を事細かく書き、ファイルにとじている」と聞かされていたという。
 赤木さんの元上司が、雅子さんに「ファイルには本省の指示や修正箇所、改ざんの過程が一目で分かるように整理されていた」と話した音声データも残っている。
 改ざんが発覚した一八年三月に赤木さんは自殺した。財務省の報告書は、佐川氏が改ざんの方向性を決定づけたとしている。しかし、赤木さんが強制されたとされる作業の詳細には触れておらず、自殺の背景はうやむやのままだ。
 国側は訴訟で、存否確認が遅れた理由を「対象の文書量が著しく膨大」「コロナ禍で業務を縮小した」としたが、とても誠意ある回答とは言えない。「不利な証拠を出したくない」との思惑があったのではないか。隠蔽(いんぺい)ととられても仕方がない。
 雅子さん側が証拠提出した元上司の音声データが、地裁の訴訟指揮につながったとみられる。ファイルは六月の口頭弁論で示されることになったが、国側は「行政内部のやりとりなど職務上の秘密を黒塗り処理する必要がある」としている。指示の流れなど真実を解明し、無念の死に至った赤木さんの名誉を回復するためにも、ファイルの全面開示が不可欠である。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年05月09日  07:17:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①》:森友の「赤木ファイル」 ごまかさずに全面開示を/05.07

2021-06-23 06:26:10 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

《社説①》:森友の「赤木ファイル」 ごまかさずに全面開示を/05.07

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:森友の「赤木ファイル」 ごまかさずに全面開示を/05.07

 学校法人「森友学園」への国有地売却を巡り、財務省の決裁文書が改ざんされた経緯を記したとされる「赤木ファイル」の存在を国が認めた。

 改ざんに加担させられたとして自殺した近畿財務局職員の赤木俊夫さんがまとめた文書だ。妻が昨年3月、国などを相手に訴訟を起こし、開示を求めていた。

 国側は「回答の必要がない」「探索中」などと文書の存否を明らかにしてこなかった。

 裁判所の求めでようやく存在を認めたが、これまで隠蔽(いんぺい)してきたと受け止められても仕方がない。

 国側は今後、ファイルを開示する方針という。ただ「公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがある」箇所などは「黒塗り」にすると説明しており、全面開示にはならない見通しだ。

 森友問題の発端は、国有地が異例の安値で売却されたことだ。

 財務省は鑑定価格から約8億円値引きした理由を、大量のごみの撤去費などがかかるためと説明してきた。

 森友学園と安倍晋三前首相の妻昭恵氏との関わりも表面化した。国会で追及された安倍氏は、大幅な値下げ売却などについて「自分や妻が関与していたら首相も国会議員も辞める」と言い切った。改ざんはその後に始まった。

 財務省の調査報告書によれば、当時理財局長だった佐川宣寿氏が改ざんを主導したというが、動機は不明で、指示系統もはっきりしていない。

 麻生太郎財務相は動機について「それが分かれば苦労しない」と人ごとのように語った。

 ファイルには上司の詳細な指示内容や改ざん前後の記録がまとめられているという。赤木さんの元上司は妻に「これを見たら我々がどういう過程で(改ざんを)やったのか全部分かる」と話した。

 改ざん問題の解明には、赤木ファイルの全面開示が不可欠だ。

 森友問題の政府対応に国民の不信は根強い。昨年6月には、第三者委員会による調査を求めて約35万筆の署名が政府に提出された。

 赤木ファイルの存在が確認された以上、ごまかし続けることは許されない。

 森友問題は終わっていない。政府は再調査すべきだ。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年05月07日  02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:河井元法相に実刑判決 カネもらった罪も問え

2021-06-23 00:05:30 | 【裁判(最高裁・高裁・地裁、裁判員制度・控訴・冤罪・再審請求、刑法39条】

【社説】:河井元法相に実刑判決 カネもらった罪も問え

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:河井元法相に実刑判決 カネもらった罪も問え 

 民主主義の根幹である選挙をカネで踏みにじった。到底許されない犯罪で、厳しい判断が示されるのは当然だろう。

 おととしの参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件で、公選法違反罪(買収、事前運動)に問われた元法相の河井克行被告に対し、東京地裁がきのう実刑判決を出した。

 自民党の新人候補だった妻の案里氏を当選させるため、広島県内の県議や市町議、首長ら100人に現金を配ったと認定して、4年の求刑に対し、懲役3年を言い渡した。弁護側の求めた執行猶予は付けなかった。弁護側は即日控訴した。

 現職の国会議員夫妻が逮捕されるという前代未聞の事件を起こしたことへの反省は見えない。公判の終盤に見せた謝罪はポーズにすぎなかったのか。

 判決は、克行被告が100人に計2901万円を配ったとして起訴されたうち、100人全員の2871万円分が買収に当たるとし、「極めて悪質」と断じた。後を絶たない「政治とカネ」の問題に国民の怒りは高まっている。視線の厳しさが司法にも伝わっているに違いない。

 河井夫妻がともに所属していた自民党の責任も追及されなければならない。とりわけ、克行被告を法相に任命した当時の首相の安倍晋三氏や、初入閣を後押しした菅義偉首相の責任は重い。事件を反省しているのであれば、実行すべきことは多い。

 まずは金権選挙を断ち切るための政治資金規正法の改正だ。「当選祝い」などの名目での政治家同士の現金授受が容認されており、票の取りまとめを狙った「買収」の抜け道にされかねないからだ。

 政治家が都合良く言い逃れられるよう、線引きをわざと曖昧にしているのではないか。河井夫妻側も公判で当初、現金を渡したことを認めた上で、買収目的でなく、「陣中見舞い」などと主張していた。

 抜け道をふさぐため、政治資金の「財布」は政治家1人につき一つに限定する必要がある。カネの流れを1円から透明化し、全て追跡できるようにする規正法の改正が急務である。

 1億5千万円の問題も残されたままだ。党本部が案里氏の陣営に提供した破格の選挙資金である。落選した当時の現職に渡した額の10倍もの資金の提供を誰が何のために、決めたのか。党総裁だった安倍氏はなぜ、説明を避け続けるのだろう。

 巨費の使い道について、克行被告は「一円たりとも買収資金に使っていない」と法廷で述べた。たとえ手持ち資金から買収の金を出していたとしても、潤沢な資金の提供がなければ、これほど大規模にカネをばらまかなかったとも類推できる。

 1億5千万円の大半は政党交付金、つまり税金だった。党本部は、陣営のカネの流れを全て明らかにして国民に説明しなければならない。事件の背景を解明することで、再発防止にもつながるのではないか。

 カネを受け取った側の責任も忘れてはなるまい。ばらまいた側が罪に問われたのに、責任を問われもせず、居座り続けたままでは不公平極まる。検察は起訴して、司法の場で裁くのが本来の姿だろう。多くが自民党の地方議員であり、辞職を促すなり処分するなり、党としても何らかの対応が求められる。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年06月19日  07:37:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【2021年06月21日 今日は?】:宮里藍が日本人として初の女子ゴルフ世界ランキング1位に

2021-06-23 00:00:10 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【2021年06月21日 今日は?】:宮里藍が日本人として初の女子ゴルフ世界ランキング1位に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2021年06月21日 今日は?】:宮里藍が日本人として初の女子ゴルフ世界ランキング1位に

 ◆6月21日=今日はどんな日

  宮里藍が日本人として初の女子ゴルフ世界ランキング1位に(2010)

 2006年の「全米女子プロ」最終日、最終18番ホールをバーディーでしめた宮里藍

 ◆出来事

  ▼ユネスコ総会が日本の加盟承認。戦後の国際社会復帰第1号(1951)▼将棋の最年少棋士、藤井聡太四段が公式戦連勝記録タイとなる28連勝(2017)

 ◆誕生日

  ▼秋元順子(47年=歌手)▼長谷川初範(55年=俳優)▼長谷部徹(63年=ミュージシャン)▼松本伊代(65年=タレント)▼関暁夫(75年=芸人)▼笛木優子(79年=女優)▼高城れに(93年=ももいろクローバーZ)▼馬場ふみか(95年=女優)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・今日は?】  2021年06月21日  00:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

 

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